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第6回(王国1)

 登場人物


名前 特徴
ハイダンヴュ 逆転王ハイダンヴュ。テストラシアを治める男爵。生命と行動の自由をなによりも重んじる男。長い間農家をやっていたので教養はないが、なぜか弁舌はさわやか。
サルビア 超人将軍。ハイダンヴュの養女。デイモンの血をひくため、異形の容貌と、亜人間へのとまらない好奇心を持っている。
ハマヌー 鉄の大司教。ハイダンヴュの窮地を何度も救った盟友。自分自身の運命を自ら切り開くために戦う姿勢をくずさないのは、ハイダンヴュと同じ。ジョッドがエラスティルの影響力を拡大する中、ゴラムの教えを布教している。今回は、NPC扱い。
エステル 氷の外交官。頭脳明晰で、計算高く、感情で行動しない。エルフだからなのか、人の生き死にをあまり気にしない。それが最適と思えるときには自ら損な役回りを引き受けることもある。
ダリ― 山鮫(Montainshark)。圧倒的な生存能力で南ブ探を導く半エルフのレンジャー。政治にはかかわりたくないと言いながらも、テストラシアと妹の安全を守るためには、危険を顧みないで行動する。
ヴェテンスカップ 緑帯(Greenbelt)の魔法使い。テストラの頭脳。王室顧問としてハイダンヴュにさまざまな政治的進言を行っている。ヒルナリックと並んで、真の施政者と称されている。



レストヴ国からハイダンヴュ宛ての手紙が来たのは、年の瀬も押し迫ったころだった。手紙の内容は、最近ヴァンホールド国の様子がおかしいということと、そのため現地を調査し、さらに問題があれば解決してほしいということだった。どうやら、定期的にあった連絡が途絶えてしまったらしい。ハイダンヴュはもちろん、依頼を受けると返事し、使者をレストヴに帰した。建国したばかりの小国テストラシアには、大国レストヴの要請に対して「イエス」以外の選択肢など実質的にないのだ。ヴュは早速閣議を開いてこの件を話し合うことにした。以下は、その内容。

エステル「これ絶対うさんくさいですよ。_だってレストヴの方がヴァンホールドに近いんですもん。_わざわざうちにやらせる意味なんてないですよ。絶対意味わかんない。」

ヴェテンスカップ「とはいえ、一旦引き受けてしまったことだし、やっぱり無視するわけにはいきませんよね。」

サルビア「うーん、今から使者を追っかけてって拿捕しちゃいましょうか?」

ハマヌー「.....」

ヒルナリック「国王様、テストラシアは年末・年初の記念祭や、新年度の給与調整、歳出・歳入の確定などで忙しいんですよ。ご自分でお出かけになるなんていわないでくださいね!」

ハイダンヴュ「じゃ、とりあえず斥候でも送ってみようか、ヴァンホールドの中でも一番ここから近いアリカヒルまで。で、何も分からなかったら、その後、俺達で調べに行こうよ。」

ダリー「ま、いいんじゃないですか。」



斥候に選ばれたのは、ケステンの部下から数名。任務は、アリカヒルまで早馬を駆け、街の様子を探ってくるというものだった。様子がおかしい場合はあまり深入りせずに引き上げてくるように固く言い聞かせておいた。斥候が帰ってきたのは、年も明けた一週間後であった。

斥候「申し上げます!アリカヒルには人っ子一人おりませんでした!」



事ここに至って、ハイダンヴュは自らアリカヒルへと向かうことを決断した。ヒルナリックもしぶしぶこの遠征を認めた。

ヒルナリック「ただし、出来るだけ2週間以内にお戻りになってくださいね。万が一それが無理でも、必ず1ヶ月以内には帰ると約束してくださいませ。それが出来ないなら、私はこれを認めるわけにはいきません!」

ハイダンヴュ「分かったよ。2週間もかからないから心配するな。なに、アリカヒルとヴァンホールドを見てくるだけだからたいしたことじゃないし、連絡もまめにするから大丈夫だ。そうだ、毎日手紙を書くから、それでいいだろ?」

ヒルナリック「そういうことでしたら、異論はございません。ご無事でお戻りになりますよう、お祈りいたしております。」



4712AR 1月初旬、南ブ探(南ブレヴォイ探検隊)はアリカヒルへと出立した。国王不在の場合の内政のことを考え、コア・メンバーのみで向かうこととした。ただし、サルビアが無理やりコボルドのドラッキーを連れてきたため、6人+1匹のパーティ構成となった。ここからは、王様がヒルナリックに送った手紙を参照しながら、旅の様子を見ていこう。



最初の数日は、特に何もなかった。

手紙「ヒルナリック。ダリーのアニマルメッセンジャーで手紙を送るよ。今日は移動だけで特に何もなし。」




2日目の夜にシャドウ・エレミンタル襲われて死にそうになった。

手紙「ヒルナリック。昨日の夜に寝込みを襲われたんだけど、問題なく撃退したよ。」




アリカヒルは、いつもと変わらぬ様子だった。ただし、どこにも人間がいないことを除けば。ダリーが村人の足跡の追跡を試みるが、ずいぶんと時間が経っているらしくて上手くいかない。もうすでに何度か雨が降っているらしく、地面の微妙なくぼみがならされているのだ。

ダリー「王様、僕のアニマル・メッセンジャーって2日分の距離しかメッセージ運べないんですけど」
ハイダンヴュ「え、そうなの?ま、いいか。旅人かなんかとすれ違ったらテストラまで手紙を届けてもらうことにしよう」

手がかりを求めてアリカの家をこじ開けてみたが、何も見つからなかった。部屋の中は、驚くほど「普通」だった。なにもあらされてなく、単に数時間家を留守にしているだけのように見えた。結局良く分からなかったので、ヴァンホールドに向かうこととなった。

手紙「ヒルナリック。アリカヒルに着いたんだけど、誰もいない。ヴァンホールドに向かってみるよ」




ヴァンホールド峠にもうすぐ着くころ、丘サメに襲われて死にそうになった。。

手紙「ヒルナリック。丘サメはあんなに体重が重いのに、どうしてジャンプが得意なのかな?」




ヴァンホールドの西にある峠には、石造りの物見の塔があった。当然調べてみるが、誰もいない。目立ったものは何もない。仕方がないのでそのままヴァンホールドへ向かった。峠からのくだり道の途中で、木々の間からヴァンホールドの様子が見える。ヴァンホールドは不思議な街だった。街の中に(とても渡れそうにない幅の)川がながれていて、しかも橋がかかってない。この街の人たちはどうやって行き来しているのだろう。峠側からみて街の奥の方に小高い丘があって、丘の上に小さな砦があった。あれがこの街の名前の由来のヴァン砦(ホールド)なのだろう。

サルビア「ここは私の(ロングスピアを持ったアース・エレメンタルの)ファミリアの出番ですね!」
DM「え....?どういう出番なんですか?」
サルビア「地中を潜って街に侵入し、トレマー・センスで生き物がいたら察知するんです。」
DM「うわっ、めんどくさいこと言われた」

手紙「ヒルナリック。ヴァンホールド峠まで来たよ。山道だから馬を引かなきゃいけなくて大変だ。」




サルビアのファミリアは、トレマー・センスで生き物を発見する代わりに、街を流れる川のそばにある広場に作られていた落とし穴を発見して帰ってきた。斥候が役に立ったことを喜びつつ、川のほうに向かって歩いていくと、なぜか豚舎で飼われていたと思しきダイア・ボアが、囲みを破って襲ってきた。

エステル「なーぜ、ダイア・ボアが豚舎で飼われてるーの!おっかしいでしょう!これ!」

ダイア・ボアは瞬殺された。豚舎の中を良く見てみると、共食いしたと思しき他のダイア・ボアの死体が転がっている。この豚舎の持ち主は、いったい何者なのだ...?他にもケンタウロスと思われる毛皮を干している皮なめし屋があったり...ヴァンホールドは野蛮人の町なのだろうか。

ヴェテンスカップのスワンボートで川を渡って、広場の近くにある宿屋を訪れてみた。人の気配はしない。入り口に

「NOMEN」

という落書きがされていた。中に人間はいなかったが、やけに背の高い妖精(スプリガン)が、撲殺されて死んでいた。ヴェテンスカップが魔法をかけて市に至る状況を調査するが、結局詳しいことは分からなかった。宿屋の部屋は、ひからびたスープ皿などが残っており、まるで人々が何かの用事ででかけて、そのまま帰ってこなかったような様相であった。宿屋にはどうやら一人の学者が逗留していたらしく、彼はこのあたりのケンタウロスの部族の歴史の研究をしているようだった。彼の本を調査していると、次のような記述を発見した。

「ノーメンというケンタウロスの一族がいて、ボーダカイというものを畏れている」

意味は良く分からなかったが、ノーメンがケンタウロス一族の名前だということは分かった。その後も町の中を調査してみたが、人の姿がどこにも見当たらない。いるものといったら、遠巻きにこちら見ているカラスだけだった。神殿を訪れたところスクロールを何本か発見したので、盗人にとられないよう保護した。そのあと砦に向かったが、そこにいたスプリガンが襲ってきたので叩きのめした。スプリガンが持っていた宝を、盗人にとられないように保護したところ、ヴァーンの剣とあやしい巨人用の指輪、それから上等な魔法の弓を発見した。捕らえたスプリガンにこれらをどこから取ってきたのか聞いたところ、

スプリガン「弓はノーメン・ケンタウロスから盗んだ」

と白状した。ケンタウロスがいる場所も丁寧に教えてくれたので、そこまで足を伸ばすことにした。

ヴェテンスカップ「王様、もう2週間じゃ帰れませんよ。連絡もぜんぜん出来てないみたいだし、いいんですか?さらに進んで。」
ハイダンヴュ「ん?ま、でも、1ヶ月以内に帰ればいいみたいだし、約束したのは手紙を書くことであって、届けることじゃないから、いいんじゃないかな?」

手紙「ヒルナリック。ヴァンホールドにも人はいなかった。これからケンタウロスの集落へ向かう。手紙は毎日書いてるから心配するな」




旅の途中、3体の一つ目巨人と出会い、すぐに戦闘となった。一つ目巨人は恐るべき洞察力を持っていて、巨大な斧を的確に急所に向けて振り下ろしてくるのだ。

DM「じゃ、まず、サルビアのファミリアを殴りまーす」
サルビア「バフってるんで、AC31でーす」
DM「(ややいらっとして)OK、じゃ全員特殊能力をつかってサイコロの目全部20にします。コロコロー。はい、死にました。あまった攻撃はさらにファミリアに。はい、ミンチになりました。」
サルビア「ひぇー!」

サルビアのファミリアが特殊攻撃を全部引き受けてくれたおかげで一つ目巨人を倒すのはそれほど困難ではなかった。

手紙「ヒルナリック。一つ目巨人の目は、右目なのか、左目なのか、どっちなんだろうな?」




ケンタウロスの集落は、広い草原の中にあった。布で出来た移動式のテントで生活しているらしい。なぜか上半身女性のケンタウロスが多かった。スプリガンから取り返した弓を見せると、大変よろこばれ、族長にあわてもらえることとなった。ハイダンヴュはそつなく自分を「ヴァーンの上司筋」と紹介し、ノーメン一族とテストラシアとの不可侵条約を結んだ。ヴァンホールドに人がいないことについて何か知っていることはないかと、訊ねたところ、次のように答えた。

族長「私たちもヴァーンホールドから人が消えたことは知っている。最初はスプリガン達の仕業かとも思ったが、奴らにそれほどのことができるとは思えない。」

彼女はしばらく黙った後、こう語った。

族長「ここから南に行ったところに、私たちにとって禁忌の土地、Olah-Kakanket、あなたたちの言葉で言うなら死者の谷がある。伝承では、私たちはそこを見張る役目を負っているらしい。最近、斥候の一人がその地で不気味な人影が動いているのを見たという報告がある。定かではないが、どん欲な人間達は不用意に死者の谷に踏み込み、そこに眠る者達の怒りを買ったのかもしれない。」

また、ボーダカイという名前を尋ねると、

族長「ボーダカイというのは我々の神の名前ではない。それは、死者の谷で眠っているという、遙か昔のウォーロードの名前なのだ。」

という答えが返ってきた。

結局、ヴァンホールドに何があったかはよく分からなかった。ともあれ、今後の方針を検討する。

ハイダンヴュ「これって、死者の谷に行けって事かな?」
一同「行けってことでしょう」

族長に死者の谷に行くと伝えて集落を経とうとしたところ、去り際にこういわれた。

族長「あ、そういえばうちの娘が死の谷にこっそり行って、帰ってこなくなっちゃったから、見つけたらついでに連れ戻しておくれ」

つまり、ヴァンホールドのことはともかく、行方不明の娘を見つけて来いということらしい。とはいえ、他に手がかりがあるわけでもないのでおとなしく死者の谷へと向かうこととした。

手紙「ヒルナリック。ケンタウロスのおっぱいはあんなに上のほうにあって、子供が乳を飲むのに不便じゃないのかな?」




死者の谷へ向かう途中、「東風のうなり声」と名乗る巨大狼が襲ってきて、ほとんど全滅しそうになったが、からくも撃退した。止めを刺したのはヴェテンスカップだったが、狼はエステルに「東風のうなり声」の称号を渡した。狼から見ると、どうやらエステルが群れのボスに見えるらしい。エステルはこれで「北、南、東風のうなり声」の称号を持つことになった。

手紙「ヒルナリック。この狼はほとんど狼に見えなかったぞ。色も青だし。トカゲみたいだった。」




さらに夜間、「両手がついた黒い雲」のような化け物が2匹襲ってきた。この化け物は、その奇妙な手でなでまわすことにより、触られたものの頭を悪くするのだ。ハイダンヴュとダリーが触られたものの、気が狂うほどダメージを受ける前に退治することができた。

手紙「ヒルナリック。このあたりをうろついている化け物はかなり強いぞ。ヴァーンはこいつらにやられたのかも。」




死者の谷は、巨大な石の墓が何百と連なっている場所だった。谷をさらに奥へ進むと、一つ目巨人のゾンビーが襲ってきた。このゾンビー達は、ゾンビーにあるまじき身の軽さと、一つ目巨人の得意技を身に付けた、かなり強い敵であった。ザコ敵だと思っていた一行は、またしても全滅しそうになる。

手紙「ヒルナリック。あれはゾンビーというより、気持ち悪い一つ目巨人だった」




死者の谷を奥へ進んでいくと、大きな峡谷に行き当たった。峡谷の下をのぞき見ると、はるか下のほうに川が流れているのが見える。峡谷の真ん中には、周りを川に削り取られた土地が、ひょろ長く残っていた。遠目には、川の中から巨大な棍棒をぐいと突き出したように見える。

サルビア「こんなところでは、絶対何かが待ち伏せしてるんですよ」

サルビアが弓を適当にあたりに打ち込むと、果たして2体の翼竜が襲ってきた。なんとか倒すと、フライの呪文を使ってあたりを調査した。すると、翼竜のねぐらと思われる洞窟があり、中には洞窟の中でほのかに光る魔法のグレイヴがあった。

ハイダンヴュ「うわ、すごいじゃん。これ、俺のね。穿窟翼(せんくつよく)と名付けよう。」

さらにあたりを調べると、棍棒の形をした島の根元に、中へとはいっていく入口を見つけた。

エステル「王様、もう17日もたっちゃったし、あんまりじっくり探索してると1ヵ月で帰れないんですけど。」
ハイダンヴュ「あ、そうなの?困ったね。でも、やっちゃったものはしょうがないよね。ここまできたら、もうちょっと奥まで調べて行こうか。ヴァンホールドの手がかりがまだ全然ないし。なんだか心配なんだよね。」

手紙「ヒルナリック。もうすぐ帰るよ。というか、そのつもり。」