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第18回(王国1)

これまでのあらすじ

隣国ピタックスに招待されて参加したラッシュライトトーナメント。警戒しつつも順調に進んだこの競技大会はやはり罠だった。
主要王宮メンバーがいないテストラシアに対し、ピタックスは宣戦布告もなく攻め込んで来たのだ。
夢の中で報せを受けた一行は急ぎテレポートで帰還し、ピタックスの第一陣をどうにか退けたのだった。
 

偵察

テストラシア首脳陣は軍をフォートドレルブに終結させつつ、今後の対応を協議していた。何故アイロヴェティ王は攻め込んできたのか?今回のピタクスの暴挙にどう対応すべきか?戦争するとして果たして勝てるのか?つい最近になって都市国家ピタックスがフォートドレルブの目と鼻の先である事を知り驚いたぐらいなので、ピタックスの国力が如何程なのかなど誰にも当然分からなかった。
 
するとサルビアが立ち上がり、自分が見てくると言い出した。彼女は呪文書を開くと朗々と呪文を唱え始めた。そして……、サルビアの全身の皮膚が剥がれた。彼女が唱えたのはSkinsend、皮膚だけで行動できるようになる魔法で見た目のグロさを除けば低リスクで偵察できる強力な呪文である。
いろいろと最低限な姿になったサルビアはオーバーランドフライトでピタックスへと向かった。

ピタックスはテストラの二倍程の大きさの街だった。スラム街の人気のない廃屋に降り立ち、テレポートできるように記憶するとサルビア(皮)は表へ出て情報収集を始めた。街を行く人々は戦争が近いことを知っていたが、特に変わった様子はなかった。ただ至る所に兵隊が、それもトロールの兵隊が居りこの街が普通でないことを現していた。

まずサルビアは上空から見えた街の中心に建つ大きな建物へ向かった。そこは復習の女神カリストリアの神殿だった。かなり古く手入れが行き届いているとはいえない外観だったがそれでもピタックスにとって重要な施設の様だった。アイロヴェティの拠点を特定したいサルビアはさらなる情報を得ようと街を巡回している兵隊を尾行したが、逆に怪しまれ意識を本体へと戻し偵察は終わった。
 

潜入

現在のテストラシアは軍事宗教国家であり、国民の戦争へのモチベーションはかなり高い。そのため準備は着々と進んでいた。しかし、そんな中で国王ハイダンビュだけは戦争以外の解決方法を模索していた。サルビアの偵察によりピタックスへテレポートできるようになったことでハイダンビュは仲間たちに宣言した、ピタックスへ潜入し直接アイロベティ王に事の真意を問うと。
戦争になれば物資にも人員にも必ず損失が発生するが、相手のトップを直接叩ければこの損失を抑えることができる。仲間たちもハイダンビュの意見に賛成し、かくして南ブレボイ探検隊は密かに敵国に潜入した。

流れの冒険者の振りをして傭兵として雇ってもらう作戦は思いの外うまく行き、一行はヘラルド兵の案内でアイロヴェティの玉座のあるHouse of a Hundred Doorsに簡単に入り込むことができた。
そして、一行はスパイの報告にもあった将軍Avinash Jurrgと面会した。ピタックスには大きな劇場やバードの軍隊があり、この恐ろしいオーガメイジの将軍もキャットギターが得意らしい。将軍は一行の一人一人に名前と何が出来るかを聞いてきた。この問いにハイダンビュはためらいなくブラフ、グレイブ使いのスミスだと名乗った。さらに将軍のテストラシア王もグレイブ使いだとの突っ込みに対してもハイダンビュは自分に憧れて真似をしているのだと平然と受け答えをした。王様に引っ張られる形でほかの面子もどうにかばれずに受け答えできた。多少の変装をしていることもあるが、やはりテストラシア首脳陣の詳細な情報が広まっていないことが大きな助けとなったようだ。無事面接をパスした一行はこの後将軍に消極的に戦闘をふっかけるも忙しいと一蹴され引き下がった。
 

決戦

三日後に出立する部隊に参加するよう言われ返された一行は座して本格的開戦を待つはずもなく、翌日の夜暗がりに潜んでHouse of a Hundred Doorsの様子を窺っていた。夜陰にまぎれて襲撃するためである。第一目標は当然ピタックス王アイロヴェティ、最低でもピタックスの重要人物のいずれかを捕獲ないしは抹殺する事が目的である。インビジやサイレンスをかけて裏口から内部に侵入した一行は警備に立つ二匹のトロールを発見し、目配せをするとこれに襲い掛かった。

音もなく一体を沈め奇襲は成功するかに見えたが、相手も訓練されたトロールの兵士であり同時に二体沈めることはやはり難しかった。取りこぼした一体が深手を負いながらも無音空間を抜けるとHouse of a Hundred Doors全館に警戒の声が響き渡った。

慌しくなる館内、増援としてまず現れたのはなんといきなりキャットギターの得意な将軍だった。将軍は急いで駆けつけたためかろくに取り巻きもつれてこなかったので、即効で集中攻撃され為す術なく倒れた。最低限の目標をクリアしたが依然として余力十分な一行がさらに奥へと進もうとすると、王者ヴィラモアと何故かイメッカス・ストールンを引き連れたピタックス王アイロヴェティが現れHouse of a Hundred Doorsにおける戦いは佳境を迎えた。
一行は一丸となって戦った。キャスター陣は降り注ぐドミネイトやコンフュージョンの対応をし、ダリーは猛威を振るうチャンピオンを引き受け脇目も振らずアイロヴェティを目指すハイダンビュをサポートした。
皆の助けを受けてハイダンビュがアイロヴェティに肉薄するとほぼ戦いの趨勢は決した。ニューメリアのハイテク武器を持つとはいえバードのアイロヴェティと今やストールンランド屈指の戦士となったハイダンビュでは一騎打ちの勝敗は明らかだった。
 

併合

アイロヴェティを討ち取ったことをハイダンビュは高らかに宣言した。それからすぐに一行は今後ピタックスをどうするかの協議に入った。一行の総意がピタックスの併合でまとまるとハイダンビュはピタックスで強い力を持つ四つの家、Cattanei、Liacena、Strocalle、Vascariの代表者を呼び出した。ピタックスの次の領主を彼らの中から選ぼうと言うのである。
Cattaneiの代表からは才気が感じられなかった。アイロヴェティを支持していたStrocalleの代表は一行を憎く思っているようだった。Moondockを統べるVascariの代表者は領主の座に興味がないと言い放ち、残るLiacenaはアイロヴェティによって力を削がれていたためこれを討った一行に感謝してはいたがその代表者は一筋縄ではいかないような老獪な人物だった。
面談を終えた一行は御しやすそうなCattaneiをピタックスの領主に据えることに決めた。一方でRiver Kingdomsとの関係との良好な関係を築くにあたって重要な盗賊会議のピタックス代表をLiacenaの当主バッシンリーに任せることにした。さらにハイダンビュがこの老人を甚く気に入ったため、渋るエステルを説得して彼をテストラシアの外交官に任命した。年の瀬が迫る4714AR10月、長らく懸案であったピタックスとの抗争はこのようにしてテストラシアがピタックスを併合するという形で幕を下ろした。
なお人事異動の際にセポコについてやっとハイダンビュの許可が出たので処刑した。いつの間にか牢屋仲間のアキロスと仲良くなっており、彼の処刑でアキロスはさらに落ち込んだ。
 

探索

戦争が終わり一段落ついたころ、南ブ探は久々に探索に出ていた。この探索で一行はフォートドレルブ西側の未探索地域を見て周った。いくつかの村落を発見したり、付近を荒らしていたEater of Kingsなるワイバーンを退治したりした一行は北西の山間部で不思議な場所を見つけた。その場所には一本の剣が地面に刺さっていた。
グレイブ以外の武器に興味のない王様に代わり、ダリーが剣を抜くべく力を込めると剣から声が発せられた。曰く王以外には抜けぬと。皆の視線がハイダンビュに集まった。興味を取り戻したハイダンビュが触れると剣はするりと抜け、開いた穴から騎士の亡霊が現れた。彼は自らを300年前この地に栄えそして滅んだ国に使えた騎士サンドレックだと名乗った。
余談だが強いグレイブを求めて止まないハイダンビュはこの亡霊つきの剣、+3ホーリーロングソードを半ば本気で棒の先につけてグレイブにしようとしてサンドレックを困らせていた。剣はダリーが使うことになった。
 

騎士

300年前の騎士に出会い、思い当たる節がある一行はテストラシアの地下ジャック(仮)の下へ急いだ。案の定サンドレックはジャック(仮)のことを知っており、彼をハーンダールと呼んだ。ジャック(仮)はハーンダールという名前に聞き覚えはあるようだったが記憶は完全には戻らなかった。しかし、どうやら彼らのような騎士はあと二人いるらしく以前手に入れたハマヌーの持つグレートソードも騎士のものらしい。一行は300年前の真実を求めて残りの騎士二人を探し始めた。

神託の結果、残る二人の騎士の内一人は未だ眠りの国で怪物と戦っており、もう一人はかつての街にいるらしいことが分かった。300年前の街に心当たりはなかったので一行はまず眠りの国で戦う騎士を探すことにした。眠りの専門家、デズナ夢派の司祭リリーにアドバイスを求めると彼女は一行を問題の眠りの国へと送り届けてくれた。一行がそこで見たのは巨大なバラの化け物と戦うゴラムの騎士の姿だった。騎士に加勢しバラの化け物と戦闘を開始した一行はその強さに驚いた。魔法への特別な抵抗力、恐怖のオーラ、それに高い攻撃力、幸いにして今回はハイダンビュが絶好調のグレイブ裁きで早々に沈めたが、こんな化け物に襲われれば国が滅びるのも不思議はないと言う強さだった。長い戦いから開放されたゴラムの騎士はアイザーと名乗った。

残る騎士は一人、魔法を駆使して300年前の街の廃墟がフォートドレルブの南にあることを突き止めた一行はそこへ向かった。その街はアンデッドの徘徊する文字通りのゴーストタウンだった。かつての住人と思しきアンデッドたちを土に返しながら進むと件の騎士が一行の前に現れた。これまでの騎士たちとの遭遇から当然のように最後の騎士も善、あるいはそうでなくとも協力的であると思っていた一行の前に現れたのはグレイブナイト(直訳:墓所の騎士、悪のアンデッド)だった。彼は再びこの街を争いに巻き込むのかと言って一行に襲い掛かってきた。運の悪いことにこの騎士の得物はグレイブだったため目の色を変えたハイダンビュにあっさりと彼は返り討ちにされた。グレイブナイトはその鎧が本体であり、鎧が特定の方法で破壊されない限りいずれ復活するので一行は鎧を持ってテストラへ帰った。

300年の時を超え、テストラシアで亡国の四騎士は再び一堂に会した。とは言え当然だが守護していた街を襲われ武器を奪われたグレイブナイト、アルスタンは非常に非協力的であった。他の三騎士の説得もむなしく、一行(特にハイダンビュ)とアルスタンの溝は結局埋められなかった。何にせよ四人そろったことで300年前の出来事について新たに分かったことがあった。
一つ目は異界からの侵略者が国内に突然現れたということ。四騎士は広範囲にわたる突然の侵略に対応したが最終的に各個撃破されてしまったらしい。
二つ目は国の一大事に吹かれるはずの魔法の角笛が吹かれなかったということ。アルスタンの言では侵略も勇気を呼び起こす角笛が吹かれなかったことも王の裏切りのためであるらしい。
彼らは四人とも王と角笛の行方は分からないとの事だった。

つづく。