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20160807

銀色のカラス達


 プロローグ

カコルトク

カコルトクは漁師である。自前の船(ボートだが)で魚を捕り、生計を立てている。その日は予期せず大漁で、カコルトクは獲った魚を売ったり干したりしているうちに日が暮れていた。ようやく船を片付けているとき、対岸のJavis Endから一隻の小舟がこぎ出した。その船に乗っているあの特徴的な髪型は、キンタルゴ市長のジリア・ベイニラスだ。他にも、赤と黒のマントを着た怪しげな人影が乗っている。舟はそのまま沖の方に出て行った。気になったカコルトクが待っているとしばらくして舟は戻ってきて、その時にはジリアの姿は無くなっていた。

その1週間後、カコルトクが行きつけの酒場Thrashing Badgerに行くと、建物は炎に包まれていた。小火では無く、油がかけられたかのように勢いよく燃えている。そこには、知り合いのアカデミー生、スピンテルもいた。スピンテルが言うには、魔法の炎では無いということらしいが、誰かが放火したのだろう。建物の近くにはドッタリ達が構えており、野次馬を遠ざけていた。野次馬の中には余り見ない、ガタイの良いTielfingがおり、なにやら吼えていた。

そしてその翌日、いなくなったジリア・ベイニラスの代わりに、バージライ・スルーンがキンタルゴ市長に就任した。
「先日の火事はとんでもないことであった。このような犯罪は許されないことである。今、頭のおかしいアイオメディ神徒共が、Glorious Reclamationなどと言って帝国を荒らし回っており、この街もその危険にさらされている。というわけで、今日からキンタルゴに戒厳令を公布する。夜9時から朝6時までは外出禁止!」

朝6時からしか外に出られないとは、漁師をなめているのか。カコルトクがAria Parkを歩いていると、占い師に声をかけられた。
「すみません、タダで良いので占わせて下さい。ここに店を開いたものの、まったく客が来てくれず。もし結果を気に入ったら、知人にでも紹介して下さい」
カコルトクは、分かれて暮らしている妻子がいる。昔、旅のドルイドが街にやってきたときに師事するといったら、家を出て行ったのだ。ドルイドは街を去ったが、カコルトクとしては妻子に未練があり、街に残った。そこで、占い師にはどうすればよりを戻せるかを尋ねた。

コーディア

コーディアの雇い主、クリサリ良書店の店主クリサリは政治の話が嫌いである。
「平穏無事な暮らしが一番、この街が変なことに巻き込まれるようなことがあったら、この家宝のスクロールで逃げるのみ。というわけでコーディア、もし何か不穏な噂を聞いてきたら、私に報告するのよ。情報料として1spあげるから。」
「わかりましたクリサリさん」
そんなわけで、コーディアはバイトもかねて古い居酒屋Tooth and Nailでウェイトレスもしている。そこの常連シリウスはギャンブラーのダメなオッサンだが、気さくな性格で、コーディアは街の色々な情報をシリウスから仕入れていた。シリウスによると、キンタルゴの新市長が出した、鳩だの鼠だのを捕まえると報奨金というおふれは、ハト糞の直撃を受けた事が理由らしい。
翌朝店に行く途中、コーディアは新しいお触れが出ているのを目にした。全ての店舗はアブロゲイル2世陛下の肖像画を掲げないとならないらしい。クリサリに報告すると、
「きっとドッタリが公式な物を持っているはず。51gpあげるから、これで入手してきて。おつりはあなたの物にしていいわよ」と言われた。コーディアはドッタリに務めている母方の叔父を訪ねると、バージライは大量の肖像画を持ってキンタルゴにやってきたらしく、ドッタリには大量の在庫があった。コーディアは45gpでそれを仕入れ、予期せず6gpの臨時収入を得たのだった。
その日、コーディアが住まいの長屋に帰る途中、突然道の向こうから3人のTieflingが現れて道を遮った。
「俺たち金が無いんだよね、貸してくれない?」
「…働いたらよろしいんじゃないでしょうか」
「そうそう、だからこうして働いているんだよ。本当は夜間に働いていたんだけどさ、最近戒厳令のおかげで、昼間っから働かなきゃいけないんだよね」そう言って、強盗達はShortswordを抜いた。一瞬逃げることも考えたが、多少抵抗すれば相手もびびって逃げ出すだろう、そう思い、Daggerを抜く。しかし、相手はコーディアの予想を上回る速度と精度で攻撃をしてきたため、コーディアは一瞬で切り倒されてしまった。気がつくと、そこはAsmodeus寺院だった。どうやら命は取り留めたようだが、全財産を奪われたうえ、Asmodeus寺院にCLW代として20gpの借金までする羽目になってしまったのだった。
昼間からプロの強盗が街をうろつくようになったのは、戒厳令のせいに違いない。コーディアはまだ痛む身体を引きずって帰りながら、新市長のことを恨めしく思うのだった。
そんな時、Aria Parkで占い師から声をかけられた。魔術的なものに目が無いコーディアは占いの方法などを聞くが、占い師はそういったことについては余り教えてくれなかった。どうでも良くなったコーディアは、明日の天気を聞いて、帰った。

シリウス


最近シリウスは羽振りが良かった。もちろんギャンブルで稼いだ金である。それで、昼間から飲んだくれているのであった。
「なんでも市長はアルカディアに逃げたらしいぜ」昼間飲み仲間の一人がそんなことを話し始めた。そこでシリウスも適当に、「ヘタレな市長だなーだからこの街は駄目なんだ」などと政治批判談義を始めるのだった。
数日後、新しい市長がやってきて戒厳令が布かれたが、シリウスの懐はまだ温かかったため、特に困ることは無かった。
「新しい市長は、猛犬を集めてるらしいぞ。犬が好きだって噂だ」昼間飲み仲間の一人がそんなことを話し始めた。そこでシリウスも適当に「自分の趣味丸出しか?駄目な市長だなー」などと政治批判を続けるのだった。
ある日酔っ払ったシリウスがAria Parkを歩いていると占い師に声をかけられた。
シリウスは「簡単に金を稼げる方法を教えて」と聞いたところ、占い師に何かを授けられた。シリウスは満足して2sp払ったのだった。

スピンテル

ある日、アラバスター・アカデミーの職員達は講堂に呼び集められた。アカデミーで研究しながら助手の仕事をしているスピンテルもそこに向かうと、学園長が深刻そうな顔でやってきて話し始めた。
「キンタルゴ市長が行方不明になりました。皆さん知っての通り、プロフェッサー・マグナスの事件以来このアカデミーは落ち目で、補助金は重要な活動資金源です」
プロフェッサー・マグナスの事件とは、10年ほど前、アラバスター・アカデミー随一の医学者、生物学者であり、アカデミーの名声を高めていたプロフェッサー・マグナスが実はサイコパスの殺人鬼だったということが判明し、捕まって死刑になったという事件である。
「新しい市長が来るでしょうが、今までと同じ状況が続くとは限りません。その時には、皆さんにもパトロン探しをお願いすることになるでしょう…」
職員達が憂鬱そうに散っていく中、学園長はスピンテルの近くまでやって来ると肩を叩いて「スピンテル君は、目玉として新たに設けた魔術学科のホープです。期待しています」と言い去った。

その後、新しい市長がやってきた。新市長は戒厳令を布いたばかりか、刺繍服禁止だの、夜間の喫茶禁止だの、禁止条例ばかり公布してくる。前の市長とは偉い違いだ。
「この街の自由闊達な雰囲気が好きで大学に残っていたのだがな…」とスピンテルが思いながら歩いていると、Aria Parkで占い師に声をかけられた。スピンテルのした質問は、
「仕事頑張るのと、国外に逃げるのどっちがいいですかね?」。だが、回答がイマイチだったのか、スピンテルはそのまま立ち去った。


ジェイコブ

ジェイコブはThsashing Badgerで1曲演奏を終えると、拍手に包まれつつ飲み仲間のいる席へと戻ってきた。給仕に一杯注文して上を見上げると、天井に50cmくらいの蝶の羽が見える。
「うわ、なんだあれ」隣に座っているシリウスとカコルトクもそれで天井を見上げるが、その時既に蝶の姿は無かった。
「何にもいねーじゃねーか」とシリウスが言った。「50cmの蝶っていうのは聞いたことが無いな」とカコルトク。「いや、ほんとにいたんだってばよ」とジェイコブが言うと、隣で聞いていた酔っ払いが近寄ってきた。
「兄ちゃん、いいものを見たね、それはね、この酒場に住み着いているVendalfekっていう蝶で、アレを見たやつは幸せになれるんだよ。だから、みんなに一杯ずつおごりなよ」「そ、そうか」ジェイコブはなんとなく騙されたような気がしつつも、酒場のみんなにおごり、その日はいい気分で家路についたのだった。
が、家に帰ると何故か虫に噛みきられたかのようにLuteの弦が切れている。
「…ついてるのか?」
翌日、ジェイコブは楽器屋Silverstarに行った。すると、驚くことに、その店の主であり、有名なOpera歌手であるShensen(JJの持ちキャラ)その人が店番をしていた。
「いらっしゃい」
「こんにちは、Shensenさん、あの、なんであなたが店番を…?」
「それがね、聞いてよ!昨日新しい市長が突然オペラハウスにやってきたわけ。で言うことには『俺がここに来たからには、キンタルゴの市民には120%の力で働いてもらう。そんなわけで、オペラを見てるような暇は無くなるから、安心してオペラハウスを俺によこせ』ですって!」
「それで、オペラハウスは」
「そのバージライがこれから住むそうよ。そんなわけでオペラは休業、私も職を失って、ここで店番してるってわけ」
「そりゃあ酷い話だ」
ジェイコブは弦を直してもらうと、さっそく新市長侮辱する歌を作って、酒場で歌うのだった。
次の日の夜、シリウスから火事だという話を聞いて野次馬に行ってみると、なんと燃えているのはSilverstarだった。燃えさかる火の前にはShensenがいて、Dottariに押さえつけられている「まだ中にひとがいるのよ!」Shensenは叫んでいたが、炎は人が助けにいけるような状況では無い。しばらくすると、Shensenはふらふらとどこかへ姿を消したのだった。

翌日、ジェイコブはぼんやりとAria Parkを歩いていた。Shensenの店が焼かれ、オペラハウスは休業状態。こんな状態でビッグになどなれるのだろうか。
だが、占い師に声をかけられたとき、ジェイコブがした質問は「ビッグになれるかどうか」だった。その回答に満足したジェイコブは1sp払って公園を去った。

ロベリア

ロベリア(27才)が昼間にLongloadのCoffee Houseでぼんやりしていると、店の扉が開いて人間の男がやってきた。確か、ロングロードと取引のあるカムリボスという密輸業者だ。こいつには、自分の正体はばれていただろうか。まぁ、無難な対応をしておくべきだろう。
「こんちは、ラリア姉さん、いる?」
「はい、います。こっちへどうぞ」
「おう、ありがとな、お嬢ちゃん」
ロベリアはBellflower NetworkのKintargo支部で「Childlike」の異名を取るエージェントであり、人間の子供の振りが得意である。カムリボスも、どうやらロベリアのことを7才程度の子供と認識したようだ。
奥に通されたカムリボスは、ラリアとなにやら相談を始めた。
「例の件なんだけど、もうすぐ荷が届く。WaspNestを使わせてくれないか?」
WaspNestはこの喫茶店の地下にある秘密の場所で、Calistriaの像が水没している場所だ。
ぼんやりとその話を聞きながら、ロベリアはこんな所でくすぶっていないで、WestcrownやEgorianの前線で活躍したいものだ、と思っているのだった。

翌日、ラリアが話しかけてきた。「仕事のお願い。昨夜燃やされたビクトコラ家に、ひげ面の杖をついた男がやってくるはずなの。彼を見つけたら、ここに連れてきて。多分Dottariが張り付いていると思うけれど、彼等がいる間は男は姿を見せない。ロベリアならなんとかできるでしょう」
そこでロベリアはGreensのビクトコラ家に向かった。隠れて物陰から見ていると、消し炭になった家の前に確かにDottariが二人いる。さて、どうするか…。
その時、後ろから子供が二人現れた。
「ねぇ遊ぼ」「あめいる?」そう言ってべたべたの何かを差し出してくる。
これだからガキは嫌いだ。ロベリアはそう思いつつ、さっさとあしらうことに決めた。
「じゃあ隠れんぼしましょ。」そう言ってささっと別の物陰に隠れる。すると、鬼になった子供は、なぜかDottariに向かって突撃していった。
ぶつかられたDottariは突然激昂して、「このクソガキがぁ!」と剣を抜こうとする。それを慌てて同僚が「おい、何やってるんだ、子供だぞ!しかも、ここにいると言うことはそれなりの身分の子供だぜ!」と言ってなだめる。そして子供に向かって、「ごめんね、つい最近うちのBossが変わって、こいつ不機嫌なんだよ、ほんとにごめんな」
「一日消し炭を監視とかありえん!!!」
「わかったわかった、もう今日は飲みに行こう、な」
そんな会話をしながら、Dottari二人は去って行った。
よし、よくやった、ガキ。ロベリアが隠れ場所で待っていると、しばらくの後に、あたりを気にしながら件の男がやってきた。男は、がれきに近づいて、何かを掘り返しているようだ。
ロベリアは子供の振りをしながら近づいていった
「おじちゃん何やってるの?」
「おじちゃんは、昔ここに住んでいたんだ。家族がどうなったか知りたいんだよ」
「あのね、ロングロードが呼んでるから、ついてきて」
ロングロードの名を聞いて、男は何かを理解したらしく、ロベリアについて喫茶店にやってきた。
出てきたラリアは男に一通の手紙を渡した。「レクサスさん、この手紙を預かっています。中を見てはいませんが、良い頼りでは無いでしょう」
レクサスは黙って手紙を読むと、ラリアに手紙を渡した。ロベリアとラリアもその手紙を読むのだった。
その日の夕方、ロベリアがお使いの帰りにAria Parkを通りかかると、占い師に呼び止められた。
「私、都会のほうに行ってみたいの」ロベリアは子供の振りをして行ったが、得られた回答に少し残念そうな顔をした。もちろんお金は持っていない振りをした。

プロローグ時の相互認識

From To 認識
カコルトク シリウス Thrashing Badgerの飲み仲間、チンピラ
ジェイコブ Thrashing Badgerの飲み仲間、ミュージシャン
スピンテル 知り合い、Alabaster Academyの学生
コーディア シリウス 酒場の客、情報源、駄目な人
ジェイコブ 酒場の客、ミュージシャン
スピンテル 本屋の客、Alabaster Academyの学生、凄いWizard
シリウス カコルトク Thrashing Badgerの飲み仲間、漁師
ジェイコブ Thrashing Badgerの飲み仲間、ミュージシャン
コーディア 酒場のバーメイド
スピンテル カコルトク 知り合い、たまに大学にマテコンを買いにやって来るDruid
コーディア 本屋の店員、たまに酒場バイトの同僚、Wizardの弟子
ジェイコブ シリウス Thrashing Badgerの飲み仲間、プロギャンブラー、あいつがいるから俺は大丈夫
カコルトク Thrashing Badgerの飲み仲間、漁師
ロベリア All 任務の対象

 抗議デモ

Aria Parkにて

バージライ・スルーンが市長に就任し、1週間がたった。戒厳令と、現在7つになったお触れに、Kintargo市民の怒りは高まっていた。
それを受けてか、Aria Parkで市民の抗議の声を聞く場を設けるとの告知があった。そこで、カコルトク、ジェイコブは抗議に、シリウスは野次馬に、コーディア、スピンテルは情報収集にやってきた。そして、なんとなく知り合い同士で固まったのだった。
集まった市民達の喧噪が増す中、ジェイコブは前に作った歌を披露して人気を得た。シリウスは野次馬の中にスリをしようとするやつを見つけ、それを阻止して被害者から感謝された。スピンテルは興が乗って、バージライのSilent Imageをつくって茶化し始めた。カコルトクは、市民の中にスルーンのエージェントが混じっており、変な茶化しを入れているのに気がついて、
そいつを押さえつけて黙らせた。コーディアはそんな様子をぼーっと眺めていた。
実はそこには、ロベリアも来ていた。今回のミッションは、レクサスの手紙に指定された人物達を見つけ出すことだったが、身長のせいで見つけられないでいた。
そんなことをしていると、Dottari達が列を作っているオペラハウスの扉が開いて、鎧を着た黒髪の女性が出てきた。
「何をしている、クロスボウの構える向きが違うだろう、こっちだ」そう言われて、Dottari達はCrossbowを市民達の方に向けた。

すると、オペラハウスのバルコニーから、新市長バージライが姿を現した。

親愛なるキンターゴ市民の諸君。認めよう、私は、この街のやり方というものに、まだ慣れていないらしい。なにしろ今までずっと首都エゴリアンのやり方で物事を進めていたのだから。しかしながら、分かってほしい。私は皆の意見を真摯に受け止め、治政に生かしていく。いずれは、お互いに満足することができるやり方を発見できるものだと確信している。私は、キンターゴにふさわしい現代的、かつ実務的な法制度の整備を推進するつもりであった。今は乱世の時代であり、法の整備こそが治安維持に必要なものだからである。しかし私はことを性急に進めすぎたのかもしれない。よって、次のおふれは皆の意見を踏まえたものとする。よそ者が街をうろついて危険だと心配している者。安心するがいい。市長は市民の意見に耳を傾けている。船籍が当市にない船の船長は.....。


そして公布された新しいお触れは、船舶の船長の行動を縛る内容であった。バージライの全く訳のわからない演説と新しいお触れを聞いて、市民達が騒ぎ出した。そしてその内の一人がどこからか持ってきた汚物をバージライにむかって投げつけたのだった。
バージライはこれをひらりと避けたが、その時に片手に持っていたワインがこぼれて、服に染みをつけた。すると今まで涼しい顔をしていたバージライは突然烈火のごとく怒って、
「ノックス、こいつらを追い払うなり、逮捕するなり、殺すなりしろ!どれでも構わん!」と言って、奥の方に消えていった。
ノックスと呼ばれた鎧を来た女は、Dottari達にクロスボウを撃てと命令するが、Dottari達はまだためらっている。そんな中、先ほどカコルトクが絞めたようなスルーンのエージェント達が武器を抜き始めた。これに逃げ出す人々もいれば、逆に怒って殴り返し始める人々もいる。シリウスは流血沙汰は回避しようとしていたが、エージェントに絡まれ、やむなく剣を抜こうとした。
が、その時、小さな女の子(ロベリア27才)が近づいてきて、「レクサスが呼んでるの一緒に来て欲しいの」と言う。親切なシリウスやコーディアは、誰が子供こんな危ない所に使いに出したのだろうと思いつつも、Aria Parkから離れて子供を追いかけるのだった。
その一方で、ノックスには市民の誰かが投げた短剣が目玉に突き刺さった。するとノックスはものも言わずに眼窩から目玉ごと短剣を引き抜いた。そして彼女は怒っているのか笑っているのか判断しがたい表情をして、オペラハウスの中に戻っていった。そして再び出てきたときには、目は元に戻っており、1匹の犬を連れていた。
ノックスが「なぎ払え!」と言うと、その犬は炎を吐いて、市民を焼き殺していた。この頃にはDottari達もクロスボウを撃ち始めており、集まっていた民衆は一目散にAria Parkから逃げ出していくのだった。

レクサス

子どもについて行くと、路地裏の方で剣撃と「うーっ」という声が聞こえた。あわてて中を覗くと、スルーンのエージェントが6人とレクサスらしき男が一人倒れていた。また、エージェント二人の死体もあった。
「一体何をしているんだ」と問うと、この男は親が政治犯であり、この男自身も危険なので逮捕するのだ、とのこと。コーディアなどは、犯罪者を助ける必要は無いと言ってロベリアを連れて逃げようとするが、ロベリアはそれをするっと抜けて男達に近づこうとする。シリウスも逃げようとしたが、倒れた男が、「待ってくれ、俺はこんな所で…」と死にそうな声で引き留めたりするので、態度を決めかねていた。その内エージェントの一人が、邪魔するなって言ってるだろ、と牽制に斬りかかってきたため、これは仕方ない、と剣を抜くと、スピンテルが男達目がけてカラースプレーを撃った。気絶しなかった男達も、カコルトクが素手でのしてしまった。
スルーンのエージェントを縛り上げ、レクサスはジェイコブがCureで治して、慌ててその場から逃げ去る。レクサスは、ラリアの喫茶店に一緒に来て欲しいと言って、道々以下のような事を話してきた。

  • 自分はビクトコラ家の生き残りである。
  • ビクトコラ家は、スルーンによる歴史の改ざんに秘密裏に抵抗してきた。それで家を燃やされた。
  • 自分はアラバスターアカデミーの学生でもあって家にいなかったので助かった。
  • Thrashing BadgerはMilaniの神徒の溜まり場だったので燃やされた。
  • SilverstarはSarenraeの神徒の溜まり場だったので燃やされた。
  • レクサスの母は、以前から助けになりそうな人のリストを作っていて、そこに皆さんの名前があった。話だけでも聞いて欲しい。

色々と怪しい部分はあるが、乗りかかった舟と思ってコーヒーハウスに来た。そこで、レクサスの母からの手紙を見せてもらった。
レクサス曰く、具体的に助けて欲しいことは、手紙の記載にあるFair Fortune Liveryに一緒に行って、Silver Ravensの遺産を見つけて欲しいというもの。
戒厳令を破らないように行けば、犯罪にもならないだろうということで、これには一行快諾する。コーディアなどは、Figurine of Wondrous PowerのSilver Ravenが隠されているに違いないとテンションを上げていた。決行は翌日の夜ということになった。

 Fair Fortune Livery

と殺場迷宮

翌日、仕事を終えた面々は夜6時頃にFair Fotune Liveryに集合した。この厩舎は今はもう使われておらず、幽霊が出るという噂もある。昔は、厩舎ではなくと殺場だったらしいが…。
中に入ろうとすると、後ろをロベリアがこっそりついてきているのにカコルトクが気がついた。ついてきたら駄目でしょう、と言いつつも、これから喫茶店まで連れ戻すのは時間ロスが大きい。地下への入り口あたりでコーディアと一緒に待たせることにしよう、という話になった。
厩舎に入ると、大きめの犬が3匹襲いかかってきたが、ジェイコブが威嚇すると警戒しつつも後ろの方に下がっていった。こちらも犬を警戒しつつあたりを捜索すると、鍵のかかった鉄格子(シリウスが開けた)の向こうに、隠し扉が見つかった。隠し扉の向こうは酷いアンモニア臭がするが、地下へのはしごが見つかった。
鉄格子で犬からも身を守れるので、コーディアとロベリアはここで待つことにして、まずはシリウスがはしごを降りていった。すると、はしごには何か油のようなものがついていて、つるっと滑る。が、シリウスは反射神経でなんとかはしごを掴み治し、下まで無事降りることに成功した。
そこには、犬くらいのサイズのネズミが3匹いて、襲いかかってきた。身のこなしが軽く、意外に剣も使えるシリウスはネズミたちとうまく渡り合い、その後降りてきたカコルトクとジェイコブの支援もあってネズミたちを退けた。
コーディアとロベリアを上に残し、レクサスを含む面々は地下に降りていく。そこは、と殺場だった。キンタルゴは、昔もう少し地面が低く、川の氾濫のたびに浸水などしていたらしい。が、あるとき魔法使いがやってきて、地面を1段盛り上げてくれたそうだ。そのため、キンタルゴには至る所にこのような地下施設(昔は地下では無かった)がある。しばらく奥に進むと、鉄格子があり、鍵がかかっていた。シリウスがその鍵を調べていると、突然後ろから変な声がして、汚らしい吐瀉物がカコルトクやジェイコブに浴びせかけられた。後ろを振り向くと、どこから現れたのか、禿げたネズミのような二足歩行の生き物たちが飛んでいるではないか。ハゲネズミ達はカコルトク達に飛びかかると、身体にしがみついて噛み付いてくる。これを殴ると、シラミをうつされそうになったが、だれもうつされなかった。
下から戦う音が聞こえてくるため、つまらなくなってきたロベリアはコーディアのディフェンスをすり抜けて下に降りていった。コーディアも慌てて追いかけ、なし崩し的に一緒になってハゲネズミ達との戦いに加わるのだった。結局、大した被害も無くハゲネズミ達は倒された。
一緒に来させた方が、勝手にどこかに飛び出すこともないだろうということで、結局ロベリアも一緒に連れて行くことになった。
その奥に進むと、そこは少し広い空間になっていて、天井には動物を吊すためのレールのようなものがあった。部屋の真ん中にはプールのようなものがある。
プールが動いたような気がしたので、石を放り込んでみるが、反応は無い。しかし、奥に進もうとすると、プールからドロドロしたスライムのような人型が現れて、襲いかかってきた。こいつには武器の効きが悪く、カコルトクの杖の一撃や、コーディアのクロスボウしか有効ではなかった。ジェイコブが途中殴られて傷つくが、誰も倒れること無く撃退することができた。ロベリアは、火炎瓶を投げつけていたが、効果が無いばかりかジェイコブが巻き添えを食って少し燃え、他にも数本隠し持っていた火炎瓶を滑って没収された。ロベリアはほぼ全員の中で、悪戯小僧認定された。
その奥には小さな部屋があり、箱が3つと寝わらのようなものがあった。寝わらには誰もいなかったので、シリウスが宝箱を開けると、Leather Armor、Hand Crossbowや真珠、やっぱりあったFigurein of Wondrous PowerのSilver Ravenと、暗号化されたドキュメントの束が見つかった。レクサス曰く、このドキュメントにSilver Ravenの謎が隠されているらしい。
目的は達せられたため、帰ろうとすると、後ろから、「あっ」という声が聞こえた。一応、「ここにあるものを持って帰りますよ?」と質問したが、返事は無い。なので、そのまま帰ることにした。

Silver Ravenの再結成

ラリアの喫茶店に帰ると、レクサスは言った。「このドキュメントとSilver Ravenの遺品を手にしたからには、私たちでSilver Ravenを再結成しなければならない。私はこのドキュメントの解読に時間がかかるので、今のうちに仲間を集めてもらえないだろうか」
もともと戒厳令で実害を被っているカコルトクやジェイコブ、自由を好むスピンテルは賛成した。シリウスやコーディアも、法に触れない範囲での政治運動なら、と合意し、志を同じくするような人達を集め始めるのだった。
1週間後、ジェイコブの歌を気に入った音楽系の人と、カコルトクの知り合いでやはり戒厳令に大困りの漁師の人達がSilver Ravenに加わった。

 Wasp Nest

カムリボスの運命

ある日の夜、Silver Ravenの漁師と楽師達がラリアの喫茶店で政府の愚痴を言い合っていると、ラリアがシリウス達の所にやってきた。
「わかってると思うけど、うちは喫茶店であってSilver Raven専用の事務所じゃないんだけど」
「はぁ、すいません…」
「まぁいいわ。ところで、一つお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
「…もちろんです」
「うちの地下に川から水路が続いている場所があって、そこを密輸業者がたまに使ってるの。で、そいつが最近積み荷をもってそこに来ているはずなのだけれど、地下から出てこないのよ。持って行っている食事は食べているようだから、生きてはいると思うのだけれど…」
「なるほど。では、地下に行ってそいつの様子を調べてくれば良いんですね。何か、手紙とか、そいつを信用させるような物をもらえますか?」
「うーん、そうねぇ、じゃあその男、カムリボスもロベリアを知ってるから、ロベリアを連れて行ってくれる?」
「…あんた何を言っているんだ、危険のある場所にあんな小さな鉄砲玉みたいな子を連れて行けってか?保護者じゃ無いのか?」
ラリアは、そうか、ロベリアはまだ7才設定のままなのか、面倒くさいなぁと思ったが、
「なるほど、そう言われてみればそうね。じゃあ、私も一緒に行くということで」
と言ってその場を納めた。そんなわけで、一行は地下のWasp's Nestに行くことになった。
その頃、ロベリアは欲求不満だった。せっかくSilver Ravenなどという大がかりな企みが始まったのに、子どもの振りを続けているせいで、表だって参加出来ないのだ。しかも、厩舎の時には宝の分け前にもありつき損ねた。その時、ロベリアの頭に、昔作った黒歴史のコスチュームが思い浮かぶ。「…そうだ、アレを着て正体を隠せば、表だって活動できる」ロベリアは変装して、シリウス達について行くことにしたのだった。

Wasp Nestはラリアのコーヒー店の奥から階段で入ることができる。そこには水路があって、Calistriaの像が水没しているらしい。そんなわけで、ラリアはWasp Nestと名前をつけたのだった。
入って見ると、その像の近くに丸太のような物が浮かんでいるのをシリウスが見つける。何だろうと思って、シリウスは鉤付きロープを取り出し、丸太に向かって投げつけた…が外れ。再度投げようとすると、目の前の水路から白色のワニが突如として姿を現し、シリウスに噛み付き、がっちりとくわえ込んだ。だが、すかさず放たれたスピンテルのカラースプレーでワニは気絶し、たこ殴りにされて絶命した。
まさかこのワニに食われたのでは、と腹を割いてみると、カムリボスらしい死体が出てきた。浮かんでいた丸太のようなものは、彼の足であった。
カコルトクがワニの腹を裂いているとき、後ろの方から忍び寄ってくる人影があった。それは、テングのようであったが、やけに筋肉むきむきで、なぜか屈伸運動を始めた。少し離れたところで見ていたロベリア…もとい解放仮面はこれに気がついたが、まだ出番では無いだろうと、コーディアの近くに石を投げつけて注意を促した。これで変なテングに気がついた一行は、テングが飛びかかってくる前に肉迫し、倒してしまうことができた。
倒す前に、ワニが何だの、と言ったことを喋っていたので、どうやら知的生物のようではある。一応血止めをすると、暗がりから声がした。
「お前達は我々の妹を倒した。…が、今となっては、これに感謝する」
暗がりには、まだ数匹テングがいるようだ。
「彼女はテングのようだが、実はテングでは無い。我々もテングだと思って卵を拾って育てたのだが、大きくなるにつれて凶暴になり、困っていた。我々は元々リドルポートにいたのだが、そこで殺してはいけない人を妹が殺してしまい、しかたなくここに逃げてきたのだ。だが、ここでも逃がし屋を妹がワニに食わせてしまい、どうにも途方に暮れていたところだった」
「妹さんはまだ死んでいないが、どうするね?」とシリウスが問いかけるが、どうにも向こうでも判断に迷うところがあるようだ。そこでラリアが、「カムリボスの件もあるし、こいつは人間と言うよりも怪物でしょう。殺しちゃうか」と判断を下した。ラリアは、右手を振り上げると、≪妹≫に強くたたきつけた。さすがいろいろな修羅場を潜り抜けているだけあって、ラリアはヒト型生物を殺してもあまり動揺してないようだった。
「勝手なことを言うようだが、我々は行くところがなくて困っている。どうか我々の面倒を見てくれないだろうか。我々は偵察とかが得意だ」
そう言われたので(そしてNoと言った場合のリスクを考え)、Silver Ravenで雇うことにした。彼女たちはコーヴァ=フシ(Rog4)、ジェイ=フシ(Rog2)、マギ=フシ(Rog2)、トレップ=フシ(Rog2)のテング4人姉妹だった(戦ったら間違いなく全滅していた)。
ラリアは、コーヒーハウスではなく、このWasp NestをSilver Ravenの集会所として使ってくれて良い、と言うので、以降はここで政治談義をすることになった。

裏切り者?

そしてまた1週間がたって、Silver Ravenの活動に興味を持つサポーターの人数も20人になった。フシ姉妹には色々と情報を仕入れてもらう仕事をお願いしたところ、サポーターの一人がDottariと密会していたらしい、という情報を持ってきた。
早速そのサポーターの男に会うと、なんだか様子がおかしい。しばらく話をしていると、突然真顔になって、このWasp's Nestで変なやつに何かをされて、それでこの会のことをDottariに話した、といったことを語り始めた。スピンテルによれば、何かのSuggestionを受けていた可能性があるとのこと。
一応、Wasp Nestの中を調べたが、特に怪しいクリーチャーは見つからなかった。

第1話終了時の相互認識

PC みんなの認識
シリウス 意外に荒事も得意で親切なチンピラ/ギャンブラー
ジェイコブ 楽師だと思ったら魔法使いだった
カコルトク 漁師だと思ったら魔法使いだった
スピンテル 学生さんだが凄い魔法使い
コーディア 子供だが意外に勇敢な魔法使いの弟子
ロベリア すばしこい悪ガキ