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第12回セッションログ

 昔々あるところに……

おやおや、お前達どうしたんだい。またモーリンばあさんの昔話が聞きたいのかね。しょうがないねぇ。イアローニス様へのお祈りは済ませたのかい?ちゃんと済ませていない子には聞かせてあげないよ。
どこまで話したかねぇ。そうそう、確かCastle Whiterocの地下でイアローニス様のレリックを取り戻すためにトーナメントに参加したところまでだったね。嫌だねぇ、年をとると物覚えが悪くなって。
さて、じゃあ、始めようか。みんな冷えないようにもっと火のそばにおいで。
 
だんだん思い出して来たよ。そう、あの時は本当に大変でねぇ。奪われたイアローニス様のレリックを探してCastle Whiterocの地下まではるばる行ってみたら、アンダーダークの闘技場でトーナメントの優勝賞品になってるじゃないか。まったく、なんて罰当たりな。
とは言え、ものは考えようでね。トーナメントの賞品になってるってんなら話は早い。正々堂々優勝して貰っていくまでだ。それが父祖から受け継いだドワーフ戦士の生き方ってやつなんだよ。良く覚えておきな。
そのトーナメントはチーム戦だったので、あたしも仲間達と一緒に参加したんだ。Cillamarの街で知り合った、Stabilizerの仲間たちさね。
まとめ役のクロードはイルーミアンの女戦士でね。秘術とイルーミアン独特の剣術を組み合わせて戦う腕利きだったよ。そこいらのへなちょこ野郎なんて目じゃなかったね。恐るべき技と言えば、ずっと東の国から来たって言うエバラもすごかった。見たことも聞いたこともない不思議な技を使うのさ。何でも東方で代々受け継がれてきた技って言ってたねぇ。
ブリオッシュはハーフエルフのフェイバードソウル。彼女に会ってあたしはエルフってものに対する認識を改めたよ。今までエルフの作る料理なんてものは見た目ばっかりこっててちっとも腹にたまらない中途半端なものだとばかり思ってたけど、彼女の作るスイーツは絶品だったよ。あれが毎日食えるんならエルフになるのも悪くないかもって思ったね。
他に誰がいたかな。ちょいと待っておくれ。今思い出すから。
ああ、そうそう、アマレットっていう娘がいてさ。あの嫌ったらしいイリシッドを親の敵と憎みきっていてね。イリシッドと見るや、冷静さを失っちまっうもんだから、当時はずいぶんと心配したもんさ。今はどうしてるかねぇ。人間だから死んじまったかねぇ。
あと、ヌメリケってのがいてさ。こいつは何とも良く分らない奴だったよ。竜になるのがわが宿願とか言っちゃってさ。わざわざ高い魔法の巻物を買って竜に変身してたよ。それも何を思ったかクロマティックドラゴンの姿を選ぶんだから、何考えてるか分んない奴だったね。連れているお供も正直嫌な感じがしてたしさ。
まあ、でも、みんな気の良い連中だったよ。正直Cillamarはゴミゴミしてるし、馬鹿騒ぎばっかりのうるさい連中が多いし、静かで平和な故郷に比べるといかにもくだらない下界の街だったけど、出会いって意味では恵まれていたね。あんた達も仲間や友達は大事にするんだよ。

 インプレサリオとの戦い

で、まあ、あたし達はトーナメントを順調に勝ち進んで決勝戦まで進出したんだ。ところが決勝の相手はFinal Phenixってチームで、とんでもない化け物を揃えた強敵だったのさ。そこであたし達は一計を案じた。決勝は1対1の戦いを6回やって、その勝点で勝敗を決めるってルールだったからね。組み合わせが重要だと思ったんだよ。
オーダーは当日まで互いに秘密って事だったんだけど、上手い事係の人間を買収して相手のオーダーを聞き出せば、こっちに有利に組み合わせを決められるってね。
おっと、卑怯だと思ったかい。とんでもない。力押しだけで勝てるんなら世の中苦労はしないよ。良く言うだろう。巨人をつまづかせるって。こっちは単純な力じゃ劣ってるんだ。その分頭を使わないとね。それにいざ戦いが始まったら、そこからは正々堂々、力の限り戦えばいいのさ。
そんなわけで、うまいこと係を抱き込んだあたし達は、そいつからの情報を元に最適と思われる組み合わせを決定した。魔法の水薬や巻物も買いこんで準備万端ってところだったんだけど、実はその前にやらなきゃいけない事があったのさ。
 
それは、その街を支配する邪悪なイリシッド、インプレサリオを倒すことだ。こいつがまたとびきり邪悪な奴でさ。イリシッドとレッドドラゴンのハーフというこれ以上ないってぐらい最悪の組み合わせさ。想像できるかい?しかも用心深い奴でさ。館には警備が掃いて捨てるほどいやがった。流石のあたし達も、あの数を突破するのは無理だろうってぐらいにね。
まあ、ところがなんの縁か、あたしらは、その街のNo2であるドラウと懇意になってね。トーナメントの開かれる闘技場のどこかに館への隠し通路があるっていう情報を入手したのさ。そこを通って強襲すれば、インプレサリオを倒す事が出来るってね。
え?何だって?卑しいドラウと手を組んだのかって?また、あんたかい。あんたは正義感が強くて良い子だけど、もうちょっと柔軟性を養わないといけないよ。武器を鍛える鋼は硬いだけじゃ駄目なんだってことは知ってるだろう。本当に良い鋼は硬さとしなやかさを併せ持っているものなんだよ。その時々で何が一番大事か考える頭を持たないとね。
 
おっと、お説教くさくなっちまったね。続きを話そうか。
まあ、とにかくあたし達はその隠し通路を通ってインプレサリオの元へ向かったんだよ。翌日は決勝戦。これが最後のチャンスだったからね。あたしらが隠し扉からインプレサリオの執務室に突入した時、幸運なことに奴は一人だった。ところが、踏み込んできたあたしらを見てもちっとも驚いた風を見せずに話しかけて来たのさ。敵ながらなかなか大物だったと思うよ。
インプレサリオはこっちを懐柔しようと色々と話をしてきた。なにぶん、ずいぶんと昔の事だからね。細かい内容は忘れちまったんだけど、なんでもCastle Whiterocの地下にはゾレサというDeath Titanが封じられていて、そいつが復活すると世界が滅びるとか、インプレサリオの兄弟が父親のレッドドラゴンの遺言に従ってゾレサを復活させようとしてるとか、そんな話だったね。
ゾレサの復活のためにはあたし達が持っていた特殊な巻物が必要らしくて、それを狙っていろんな奴が動いているとかなんとか。
でもまあ、あたし達としてはそんな話には興味はなかったわけよ。ほら、例のイリシッドを憎み切っているアマレットがいたしさ。ヌメリケの奴もインプレサリオを吸うとか何とかやけに張り切ってるしさ。あん時はあんなものを食べようなんてなんて趣味が悪いと思っただけだったけど、今思えば、あの頃から予兆があったんだねぇ。あん時止めとけばよかったのかねぇ。
まあ、そんな感じだったからインプレサリオの交渉は敢無く失敗。結局戦いが始まったんだよ。
インプレサリオは流石にアンダーダークで一つの街を支配しているだけに強かった。イリシッドの代名詞と言えるマインドブラストに、目に見えない上に鎧を無視する魔法の武器。その上、どこで学んだのかエバラと同じ東方流の必殺技の使い手だったのさ。アサシンスタンスとかエバラは言ってたかね。
奴を取り囲んだあたし達戦士の包囲を瞬間移動ですり抜けると、次の瞬間にはヌメリケとアマレットが血だらけで倒れていた。しかもヌメリケの脳を食らおうとしている。それはまあ、ブリオッシュの呪文で回復したヌメリケがDimension Doorで逃げる事で逃れる事が出来たんだけど、その後でマインドブラストを食らったクロードとエバラが朦朧としちゃってね。大ピンチだったんだよ。結局、ヌメリケが連れて来ていた怪しい骨ゴーレム?の攻撃がトドメになって、事なきを得たんだけど、あの時は肝が冷えたね。勝てたのはイアローニス様の加護と言うほかないね。
 

 決勝戦

やれやれ、のどが乾いちまった。ちょっとそこの火酒を取ってくれないかい?年をとったせいか、最近はすっかり酒にも弱くなっちまった。あたしもそろそろお迎えが近いかもしれないねぇ。
 
さて、色々あったけどとにかくインプレサリオを倒したあたし達は、騒ぎになる前に隠し通路を通って落ち延びた。あたしとしちゃあこれからが本番さ。トーナメントで優勝してイアローニス様のレリックを取り戻さないと。

1試合目 ファーボル vs カザリケ(=ヌメリケ)

1試合目はオークのバーバリアン、ファーボルとヌメリケの組み合わせだった。ヌメリケは当然のように空を飛んでいったけど、そんな事は相手も予想済みさ。Flyの呪文がかかっていたのか、当然のように空を飛んでいた。流石にそんなに甘い相手じゃないってことさ。
勝負はあっけなくついた。ファーボルは開幕と同時に怒涛の勢いで突撃し、ヌメリケを一刀両断しようと強烈な一撃を見舞ったけど、残念ながらあと一歩ヌメリケの命には届かなかった。その後はヌメリケのDispel MagicでFlyを解除されちまって墜落。仕方なく弓を取り出したものの、ヌメリケが続いてはったLeomond's Tiny Hatで視界をふさがれて降参したよ。
まあ、あたしも戦士だからね。正直ちょっとばかりファーボルに同情したけど、しょうがないんだよ。術者には術者の戦い方があるってだけさ。
そういうわけだからあんた達も魔法使いには気をつけるんだよ。小さい連中が来たら、最初に狙うのは金ぴかの鎧を着てるやつじゃない。後ろにいる鎧を着てない奴に力の限り岩を投げるんだ。全員でね。分ったかい。

2試合目 レベスク vs ヴェルガモット(=アマレット)

2試合目はレベスクという翼の生えた女とアマレットが戦う事になった。事前に聞いていた噂じゃあ、レベスクは魔法をかき消す能力があって、Flyの魔法で近づこうとしたり、魔法で攻撃しようとしても無駄って話だったからね。弓の得意なアマレットぐらいしか勝ち目がなさそうだったのさ。
試合は思った通り離れたところから弓で撃ち合う展開になった。試合前は自信なさそうな事言ってたアマレットだったけど、結構優勢に勝負を進めていたんだよ。でもねぇ、やっぱり大舞台って事で緊張したのかね。ここぞと言うところでミスを連発しちまってねぇ。結局レベスクの勝利に終わっちまった。残念だけど、精いっぱい戦った結果だからね。仕方のない事さ。

3試合目 マッドトゥース vs カステラ(=ブリオッシュ)

3試合目の相手はとんでもない化け物だった。全長20フィートはあろうかという馬鹿でっかいカエルなんだけどね、触手が生えてたりして明らかに自然ならざるものだった。あんな化け物の参加を認めた連中は全員くたばった方が良いね。
これに立ち向かったのはブリオッシュ。透明になったりなんだり、搦め手から攻めればひょっとしたら勝てるかも知れないってね。
でも、甘かったよ。そんなのは向こうも想定済み。色々と魔法で強化されていたマッドトゥースはブリオッシュをあっさりと粉砕した。ブリオッシュは命からがら逃げかえるのが精いっぱいだったよ。試合放棄って事で罰金まで取られて踏んだり蹴ったりさ。あんな化け物の相手をさせられて、こっちが慰藉料を貰いたいぐらいだってのに。
まあ、でも物は考えようかもね。チーム戦だったらどれだけの被害が出ていたか想像もつかないよ。個人戦だったから黒星一つですんだわけだものね。

4試合目 ドラスバン vs モーリン

4試合目。いよいよあたしの出番ってわけさ。相手はドラスバンとかいうジャイアントの戦士。おっとジャイアントと言っても、あんた達のような"良い巨人"とは違うよ。頭が悪くて邪悪なうすのろだったけどね。こりゃあもう、イアローニアス様の名にかけて負けるわけにはいかない。あたしが負けるって事は、あたしを育ててくれた"本物の巨人戦士"の名誉も汚すって事だからね。
で、どうなったのかって?そりゃもちろん勝ったさ。あたしが負けるわけないだろう?
力任せに棒っ切れ振り回したところで避けるのは簡単さ。で、隙を見てバッサリ。最後は這いつくばって命乞いさ。少々物足りなかったぐらいだね。

5試合目 アジック vs シロート(=クロード)

5試合目の相手もこれまた奇天烈だった。ちょっと想像してみな。まあ、体は普通の人間みたいに見える。でも普通なら頭があるところには6本の蛇の首が生えているんだ。正直ちょっぴり気持ち悪かったよ。いや、世の中は広いねぇ。
対するこちらはクロードが出場。2勝2敗の負けられない勝負だったから色々と魔法で強化していったんだけど、これが裏目に出ちまった。このアジックって名乗る化物は、なんと噛みついた相手から魔法の力を吸い取って自分の体力を回復させる能力を持ってたんだ。おかげで色々とかけていた防御魔法はあっという間に吸い取られて相手を回復させただけって事になっちまったんだよ。
でもね、そのぐらいであきらめてちゃあ、冒険者なんて勤まらないのさ。強化魔法を吸い取られつつも、クロードは淡々と剣をふるい、結局アジックを倒しちまった。あっぱれな話じゃないか。あんた達も見習うと良いよ。あきらめたら終わりなんだからね。

6試合目 ウサロ vs モランボン(=エバラ)

最後の6試合目は敵の大将スヴァーフネヴリンのウサロとエバラの戦いだった。まあ、これもあっけなかったね。試合開始と同時にウサロは呪文を唱えた。後で聞いた話によれば、こいつぁBaleful Polymorphの呪文で、相手を無力なカエルに変えてしまう強力な呪文だったらしい。
これが決まっていれば、ウサロの勝ちだったんだろうけど、エバラはこの呪文に耐えた。他には戦う手段が残ってなかったらしく、ウサロはこれで降参。血に飢えた観客達のブーイングがそりゃあものすごかったよ。何しろ傍から見てたんじゃ、何があったのかさっぱり分んなかったしねぇ。無理もない。

表彰式

こうしてあたし達は優勝したのさ。みんな、力の限り戦った。良い決勝戦だったと思うよ。あたしはようやくイアローニス様のレリックを取り戻せて感無量だった。他のみんなは副賞の30000gpに目がいっていたみたいだけどね。
本当はあたしはここでレリックを持って氏族の元に帰るはずだったんだけどね。レリックを手にした途端、イアローニス様からの啓示が下ったのさ。このCastle Whiterocの地下に封じられた邪悪を滅ぼす手伝いをしろってね。そんなわけであたしはもう少しCastle Whiterocにいることにしたんだ。

 ドゥエルガルの城塞

トーナメントは終わり、インプレサリオも倒したものの、その背後にはまだまだ邪悪な連中がいるみたいだ。あたし達は更にCastle Whiterocの地下の探索を続けることにした。
例のドラウの情報によれば、この下にはドゥエルガルの城塞があるって話だった。あの、モラディン様に背いたドワーフの面汚しどもがね。そもそもイアローニス様のレリックを盗み出したのも、ドゥエルガルどもだ。こりゃー、イアローニス様とモラディン様の名にかけてきっちりと報いを受けさせてやらなきゃならない。そうだろう?
 
意気込んで向かったのは良かったんだけど、これがまた大変な冒険だったのさ。あたしらがアンダーダークの洞窟を下っていくと、目的のドゥエルガルの城塞らしいところが見えてきた。周囲を深い堀が囲んでいて、石橋がその上を通って城塞の門までつながっていた。橋から下の堀までは50フィートはあったかねぇ。ドゥエルガルどもは邪悪で欲深で鼻持ちならないけど、あの建築技術だけは認めてやっても良いかもしれないね。
城門には当然のように見張り達がいた。10人ほどのドゥエルガルの衛兵たちとデストラカン、それと良く分らないエアエレメンタルがいた。正直ドゥエルガルもデストラカンも大した敵じゃなかったんだけど、このエレメンタルが曲者だった。強力な竜巻を巻き起こすと、あたしらを石橋の上から吹き飛ばしてきたんだ。当然、石橋から吹き飛ばされれば50フィート下の堀に転落。あたしなんかほら、Full Plateだろ?落ちた時は生きた心地がしなかったよ。まったく、ホント水は鬼門だよ。
しかも、堀の中にはでっかい水竜が待ち構えていてね。あたしらを一飲みにしようと襲ってきやがった。こちらは水中じゃあ思うように動けないもんだから、対応に四苦八苦。強力なブレスまで吐くもんだから、ヌメリケとブリオッシュが必死で回復呪文を使っても追い付かない。このままじゃじり貧だよ。
しかも、結局エバラ以外の全員が堀に落とされちまったんで、エバラはほとんど支援もなしに増援で現れたエティンゾンビ2体と1人で渡り合うハメになっちまった。今思うとずいぶんとピンチだったねぇ。
でも、あたし達はあきらめなかった。エバラは結局一人でエティンゾンビを片付けちまったし、アマレットはしつこく自分をつけ狙うエアエレメンタルと戦って、最後には指輪に吸いこんじまった。クロードとブリオッシュは水竜相手に粘り強く戦いぬいた。
あたしとヌメリケは水竜に飲み込まれてピンチだったけど、最後はイアローニス様のレリック、Rock of Thunder Smashの直撃を受けて水竜はおだぶつ。ピンチの連続だったけど、諦めずに一人一人がやれる事をやり続けたから勝てたんだよ。
 
とは言え、この戦いであたし達はぼろぼろになっちまった。仕方ないので一旦帰還することにしたのさ。帰り道になんか変な動く木が襲って来たけど、大したことなかったね。後で聞いた話じゃエバラを操ろうとしていたらしくって、もし成功していたら大変だったらしいんだけどね。
 
さて、そろそろ夜も更けてきた。今日のところはここまでにしとこうか。ほらほら、欠伸しているじゃないか。良い子は寝る時間だよ。モーリンばあさんの話の続きはまた今度してあげるよ。その時までのお楽しみにしておきな。