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ハザール・レント

ハザール・レント(Khazar Lent)

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 ロストランドの南にあるの広さ3,3000平方マイルに及ぶ荒野は公式にはリバーキングダムの領土だが無法地帯で誰が支配しているというわけでもない……。
その荒野と実効支配部分の境界、一発当てたいとは思っているのだが冒険者になるほど勇気が無い入植者達は村を作っていた。

仮称ハザルは近くの開拓者村でDesna神の布教をしていた。といいつつ、村人達は正直神様の教えはどうでも良く、むしろCure minorのほうが重要だったし、またハザルも気が強いほうでは無かったので、「まあ、世の中そんなもんかなー」と思っていたので、深く突っ込まなかった。

そんな中、ハザルは開拓者村から一番近い大きな町に買出しに来ていた。
もっとも大きな町と言っても、比較の問題で、メインストリーとにバザールがあり、そのそばに、役所、警備兵の詰め所、地方総督の邸宅をかねたCity Hallがあり、他は小さな家が連なっている程度の町だ。

ハザルが一応総督に挨拶をしようと、City Hall内に入ると、詰め所では大騒ぎになっていた。
「盗賊団Blue Handが襲撃してくる?」
「あんなものは盗賊団じゃない、軍だ軍」
「侵攻ルートは?」
「防御を固めろ」
「開拓者村にも兵を派遣しなくては」
「部隊を二つに分けろ」

奥控えていた地方総督は、見ていただけだったが、突然声を発した。
「いや、部隊を分ける必要は無い。この町の防護を固めるのだ」

ハザルは驚き、必死に止めた。……そんな総督様、あの開拓者村はこれまで様々な投資が行われてきて、ようやく収支がプラスになってきた所です。今ここで見捨ててしまうと、大きな損害になってしまいます。防御のための兵士を送るべきです。

地方総督は、眼を見開いて言った。
「Blue Handの軍勢は強大だ。我が軍団では対抗できるかさえも怪しいだろう。ここで戦力を分散することは愚策だ。各個撃破されてしまうだけだ」
「それでも、我々はこの勢力圏を維持する義務がある。ならば、辛い選択ではあるが、大きいこの町を守り、開拓者村は見捨てるしかない。」
「総督である私は選択する義務がある」
「そして、クレリックである貴様は私の選択に従い『この町の』防衛に協力する義務がある」

総督が合図をすると、周囲にいた警備兵はハザルを取り押さえて、牢屋に入れてしまった。
数日後、Blue Handの軍勢が町に近づいたとき、ハザルは牢屋から出され、戦線に立たされた。
何度か過酷な戦闘が繰り返され、ハザルの周囲にいた兵もどんどんと倒れていった。
ハザルもCureを中心に戦闘に参加していたが、低レベルクレリックだったので、Cureもあまり出ず、武器を取って戦った。

何度目かのBlue Handの総攻撃がはじまった。
総督はFull Plateを着込み、馬上で指揮を執っていた。

ハザルを見て
「私はこの町を選ぶ選択をした。したが、後悔していないわけではない。その行動の責任は取る」
と叫び、Blue Hand軍の中心、司令官がいる場所に突っ込んでいった。
総督はBlue Hand司令官と相打ちし戦死してしまったものの、この町は守られた。しかし、開拓村は全滅してしまった。そして、この入植の失敗が引き金となり、レストヴで、冒険者に向けたお触れが出されたのだった。

生き残ったハザルは
「選択する側になってやる、選択する側になってやる……」と眼がうつろになりながらピタクスに向かって旅立った。