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第一回

捕らわれてWormwood


海賊になりたい?そいつは、難しいようで簡単な話だ。まず、それらしい街に行く。初心者にお勧めなのは、Port Perilあたりだろう。それから、港で待つ。すると、カーゴを満載にした船がやってきて、積み荷を降ろし始める。だがよく見ると、乗ってる人数はえらく少ねぇ(理由はいろいろだな)。これが、戦いから帰ってきた海賊船、ってもんだ。こういう船を見つけたら、あとはその出航前に、夜の港や、荒くれ酒場なんかで待ってればいい。リクルーターがやってきて、あんたを海賊にしてくれる。面接?そんなもんはねぇ。必要なのはそこそこいかつい見てくれと、運だ。海賊の仕事は効率が良いんでな、面倒な手続きは一切無しだ。一服盛られるか、後頭部に一発くらうかして、気がついたら船の上、こうして新米海賊のできあがりって訳さ。お、もう寝ちまったのか。…おい、お前等こいつを運んで船倉にぶちこんどけ。

集められた6人の志願者達

「まだ寝てるのか、この愚図共!起きろ、下っ端共。起きてデッキに集合だ。さもないと、キャプテンハリガンが貴様等の肉をソーセージにして、フィッシュガッツに朝飯として揚げさせるぞ!」
バハンガネリネ、バンザイ、タイバンリー、?、?は、罵声で目を覚ました。目の前には鞭を持った海賊が立っている。
全員、なぜ自分がこんな所で罵声を浴びているのか、見当もつかない。ただ、昨日の夜、何かがあって、自分たちはここに連れ込まれたのだろう、ということは推測がついた。
そのうちの一人、老婆ネリネは起きるなり突然言った「クスリー!クスリをおくれ」目が血走っている。全員、だいぶ引いた。ネリネは鞭を持った男に取りすがり、なおもわめき続ける。と、男は鞭で老婆を叩いた。
「ふざけるな、貴様等の持ち物は今となっては全てキャプテンのものだ。さあ、早く来い」
あまりにも横暴だが、徒手空拳で逆らっても得るものは少なかろうと、全員おとなしく階段を上って甲板に出る。あたりは、すでに一面の海だった。海賊船に連れ込まれてしまったのだ。
後部甲板の操舵輪から、左目にアイパッチをした筋骨隆々の男がやってきた。
「我々の仲間に入ってもらって嬉しく思う。Wormwoodへようこそ!乗組員として"志願"してくれたことに感謝しよう。俺はバーナバス・ハリガン、言うまでも無いことだが、諸君にとってはキャプテン・ハリガンだ。俺が伝えたいルールは一つ:俺に、話しかけるな。俺は話すのは好きだが、諸君らが口を開くのは全く好かん。このルールを守ってくれれば、俺たちはうまくやっていけるだろう」
「ああ、それからもう一つ。君たち新しいクルーを加えても、まだこの船は人が十分とは言えない。だから、俺は今のクルーのなるべく保ちたいと考えている。というわけで、殺しをやったやつは竜骨くぐりの罰が待っているので、そう思ってくれ。…プラッグ!こいつら陸人を海賊に仕立て上げるんだ。そうすれば、こいつらをサウナボックスにぶち込んで一年と一日熟成させ、まずいパイを作る必要が無くなるからな」
こう言って、ハリガンは歩み去ろうとした。しかし、バハンガは「神の使徒にこんな扱いをするとは罰あたりめ、このままではこの船は呪われるぞ!」とハリガンに向かって叫ぶ。ハリガンはちらりと振り向いたが、そのまま行ってしまった。なおもバハンガが口を開こうとすると、鞭がうなってバハンガをたたきのめした。
起き上がったバハンガの前には、青い服を着て、髪をそり上げて弁髪だけ垂らしている若い男が立っていた。
「俺がプラッグ、この船のファーストメイトだ。くだらんおしゃべりはやめて、こっちへ来い。貴様らの仕事を決めるため、テストをする」
最初のテストの内容は、マスト登り。ばばあやこども(サイズ)、貧弱な魔法使いなどはほとんど登れない中、病弱だが筋力はあるタイバンリーが最初に登り切って、見事リガー(帆やマスト関係の仕事)に選ばれた。
次のテストは料理のテスト。といっても、プラッグが一人ずつ、「料理ができるか?」と聞いていくだけのもの。これにYesと答えたのは不気味な老婆だった。こうして、ネリネがコックの手伝いをすることになった。残りの者達は、全員スワッブ(甲板夫)を務めることになった。

海賊のお仕事

リガーの仕事はタイバンリーには辛いものだった。マストの上に登れば、直射日光を遮るものはないのだ。持病の薬が無いことによる過労と、慣れない仕事に日光で、タイバンリーはぐったりしてしまった。
スワッブ達の元締めはマスタースカージだ。どうやら、PC達のことを憎らしく思っている模様。言いつけられた仕事は船底でのネズミ退治。4人は真っ暗な船底に行って、ドメインパワーの光線やらなにやらでネズミを退治していく。途中、船底に住み着くクモに襲われたりもしたが、問題無く仕事を片付けることができた。とはいえ、特にそれを誉めてくれる人もいないのであった。
ネリネは、コックのアンブロス・クループの所に出頭し、突然チャーム・パーソン。クループは失敗して、ネリネの友達に。彼は一応料理はするが、基本的にはひたすら酒を飲む駄目コックだった。ただ、彼はこの船に長く、また海賊生活も長いようで、色々なことを知っていた。ネリネはその情報を得つつ、この厨房を実験室にしようとするのだった。

竜骨くぐりと自由時間

仕事の後は夕ご飯の時間になる。が、この日はその前にイベントがあった。それは、同僚を殺した男、ジェイクスマグパイの竜骨くぐりの刑だ。ロープにくくりつけられ、竜骨の下を往復させられる刑で、哀れなマグパイはフジツボに削り殺され(ついでに窒息し)、その残骸は鮫のエサになった。
食後は自由時間で、みんなは思い思いに酒を飲んだりなんだりしている。
ホブノブはダンスを披露し、それがあまりにもへただったためブーイングを受けていた。
タイバンリーは薬を求めて医務室を探していたが、この船の医者というのは大工兼外科医で、治療法といったら「腐る前に切断」くらいしか無いと知って絶望していた。
カミカゼは、美人のベスマラ(海賊神)の神官、サンダラと知り合いになった。サンダラはマスタースカージにいやらしい目つきで見られていて、それが嫌でカミカゼにボディーガードを頼みたいらしい。
バハンガはどちらが先につぶれるか賭けをして、ティリーブラケットとラムを飲みまくっていた。
ネリネは、自分のラボにしたキッチンで作業を始めようとしたが、クループにとがめられる。チャームパーソンは1時間しか効かないのだ。変だと思ったクループは詰問し、ネリネの回答が怪しいことを問い詰める。と、ネリネはまたしても呪文をかけようとし、クループは今度はこれに耐え、ネリネを叩きのめしてしまった。
クループはネリネをプラッグの所につきだし、「味方に魔法をかけるような奴とは一緒に仕事できん」と言う。プラッグは困った顔をして、ネリネに、「魔法は敵にかけるもんだろ、な婆さん」と諭し、ネリネをスワッブに、代わりにフレアをコックにすることにしたのだった。
こうして、海賊船の一日は終わった。