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第9回

石巨人の要塞 前編


 サンドポイントの惨劇

 フックマウンテンにてオーガ達を成敗した我々ルーンシーカーズは、報告のためにいったんマグニマーに戻ることにした。我々が得た情報によると既に巨人たちの一団がサンドポイントを目指している途中ということだったので、このまま山岳部を突っ切ってサンドポイントに直接向かうという案も出たのだが、無理な山越えよりも川を船で下るほうが結局のところ早いという事で、こちらの案となったのだった。
マグニマーまでの旅路は特に何事もなく、無事にマグニマーについた我々は報告もそこそこに、馬を借りて急いでサンドポイントに向かう事にした。特にサンドポイント出身の4人は街が心配でならないようだ。無理もない。私もタートルバックフェリーが壊滅しているのを見た時は、胸がつぶれる思いだった。馬に乗って走る一行を横目に私は馬に変身して並んで走った。こんな時に不謹慎かもしれないが、鳥となって空を飛ぶのとはまた少し異なった爽快な体験であった。
もう半時ほどでサンドポイントと言うところまで来たところでリリーの使い魔である妖精のチャムが騒ぎ出した。サンドポイント上空を大きな生き物が飛んでいるという。私には何も見えなかったが、ミリヒも確かに飛んでいると言う以上、間違いではないだろう。
チャムが言うには、それはロングトゥースと呼ばれる恐ろしい生き物で、全身を赤い鱗におおわれており、口から恐るべき炎を吐きだすらしい。冗談ではない。それではまるでおとぎ話に出てくるドラゴンではないか。
…………だが、それを言うならオーガや巨人も伝説の存在だったはずだ。増してや我々はタートルバックの街を襲った巨大な化け物を目にしているのだ。ドラゴンが実在していたからと言って驚くほどのことだろうか。
 
嫌な予感に苛まれつつサンドポイントに急いだ我々が目にしたのは……いつもどおりの平穏な姿だった。どうやら恐れていた事態にはなっていなかったらしい。
サンドポイント出身の4人は久しぶりに帰った故郷にすっかりくつろいでいるようだった。私も初めて訪れるサンドポイントに少々舞い上がっていたのだろう。街の中を案内してもらったり、野営によさそうな森に連れて行ってもらったりと一時の平和を楽しんでいた。
今思えば明らかに油断していたのだ。我々はきっとこの先何度もこの事を後悔するだろう。
 
恐ろしい惨劇がサンドポイントを襲ったのはその晩のことだった。最初に気がついたのは奇しくも北門の外で野営していた私とファロンだった。深夜、物音に気がついた我々が目を覚ますと、薄暗い月明かりに照らされて巨大な人影が3体、サンドポイントに近づいてくる。
夜のことゆえ仔細は見えないが、その身の丈は優に10フィートを越える。まさしく常人の倍ほどもあると言っても過言ではない。間違いなくフックマウンテンでオーガ達を牛耳っていた巨人の同類であろう。
我々が息をひそめて見ていると、奴らはサンドポイントの門に向かって巨大な岩を投げつけ始めた。やはり目的はサンドポイントの攻撃のようだ。あんな怪物が街中で暴れたらどれ程の被害が出るか想像もできない。
とは言え、私と相棒のピンクパンサー、そしてファロンだけでは3体の巨人に立ち向かうことは難しい。私はフクロウに変身して教会で寝ているルーンシーカーズの仲間達を呼びに行くことにした。
教会まで飛んでいくと物音を聞いて起き出したらしいミリヒリリーケルダの姿が見えた。ハワードの姿は見えない。そう言えば知り合いのところに泊りに行くと言っていたような気がする。
とにかくいないものは仕方がない。急ぎ合流して北門を目指す。北門から聞こえる物音は段々騒々しくなってきている。他の市民もちらほらと不安そうな顔を出している。何としても奴らの侵入を阻止して市民を守らねば。今戦えるのは我々だけなのだから。
だが、そんな我々をあざ笑うかのように街の南東方向からも同様の物音が聞こえてきた。まさか二方向から攻撃されているのか?正直言って北門を攻撃している巨人3体だけでも楽な相手ではない。それが二手に分かれてきているとなると……いや、考えまい。今は一つずつやれることをやらなければ。
我々は北門でファロンと合流し、サンドポイントを攻撃している巨人達に戦いを挑んだ。巨人達は非常に手ごわく、全員の力を合わせてもなかなか倒すことができない。むしろこちらが死なないようにするのが手いっぱいだ。癒しの呪文がなければ簡単に皆殺しになっていたことだろう。
そうして我々が苦戦している間にも、状況は加速度的に悪化していった。
 
東南の門を襲ったのはやはり巨人達だった。たまたま近くの知り合いの家に泊まっていたハワードが確認したのだ。(なぜ、そんなところに泊っていたのか個人的事情と言うことだったので詳しく聞かなかった)
ただ、北門と違って巨人は二人しかいなかったが代わりに巨大なクマを三頭もつれていたという。それもただのクマではない。ひときわ凶暴なダイア種だ。人間など爪の一振りでやすやすと引き裂く恐るべき怪物だ。
東南の門を守っていた守衛では大した抵抗もできなかったのだろう。やつらは易々と市内に入りこむと恐ろしい破壊活動を始めた。建物を破壊し、市民を虐殺し始めたのだ。それを見ていることしかできなかったハワードはさぞつらかったことと思う。だが、一人で立ち向かったところで無駄死にするだけだ。彼にできたのは知人がパニックに陥らないように港に誘導して船で脱出させることだけだった。
 
だが、その晩サンドポイントを襲った怪物達はそれで全てではなかった。まずは空中から伝説のドラゴン、ロングトゥースが飛来した。この恐るべき怪物は悠々と街の上空を飛びまわり、時折口から吐き出す炎で家々を炎上させた。
 
また、我々が戦っている間に、更に東門が破られ、南の別荘地区でも火の手が上がった。ここに襲来したのが何者なのかは確認できなかったが、おそらくは他の門と同じ巨人たちであろう。街の守備隊など飾りにもならなかった。
 
一方、我々は短いが激しい戦いの末にようやく3体の巨人を倒すことに成功していた。とは言え、既に満身創痍であり、もはや戦う力は幾ばくも残っていない。サンドポイントを襲った災厄の全てを払いのけることは難しいだろう。だが、少なくとも北門を襲っていた怪物は退治したし、他の怪物の姿は見えない。市民を誘導して北門から脱出させなければ。
だが、そんな我々の僅かな望みも断つように空中から音もなくロングトゥースが襲来した。おそらくは北門から進軍するはずだった巨人達が現れない事に不審を抱いたのだろう。
月明かりにさした巨大な影に気づいた我々がはっと空を見上げた時には既に遅かった。満月をバックに黒々と雄牛ほどもある巨大な影が羽ばたいている。と見えた瞬間、その長く伸びた首の先から猛烈な炎が噴き出した。その炎は私とミリヒを飲み込んだ。炎を吸いこまないように息を止めて必死に耐える。永遠かと思われた一瞬が過ぎさり、私はかろうじて生きていたものの全身の皮膚は焼けただれ、重度の火傷を負っていた。下手をすれば死んでいただろう。
この恐ろしい怪物の襲撃を受け、北門からの市民の脱出を支援するというささやかな願いも打ち砕かれた。このままここにとどまり、ドラゴンと戦うのは確実な死を意味するだろう。我々は忸怩たる思いを胸に撤退せざるを得なかった。
いつドラゴンが後ろから迫ってくるか生きた心地もしなかったが、どうやら奴は我々に興味を失ったらしく、再びサンドポイントを焼き払う作業に戻っていった。森の中を必死で逃げる我々には知る由もなかったが……
 
翌朝、恐る恐る街に戻った我々が目にしたのは想像以上にひどいサンドポイントの有様だった。いくつもの建物が崩壊し、なかでもいくつかの建物はドラゴンの炎によって完全に焼け落ちていた。その中にはケルダハワードミリヒリリーの4人が生まれ育った教会も含まれていた。
その後、サンドポイントを思うがままに蹂躙した怪物たちは、何を思ったのかオールドポイントと呼ばれるタッシロン文明の遺跡を破壊してその壁を持ち去ったらしい。一体何が目的なのだろうか。
また、巨人達は市民を十数人ほど捕まえて、生かしたまま連れ去ったらしい。おそらくは奴隷にでもするつもりなのだろう。何とかして助けたいものだが……
 

 さらわれた市民を追って

 我々ルーンシーカーズはサンドポイントのデブリン市長と会談し、市民をさらった巨人達の追跡をする事になった。危険な任務だ。気は抜けない。
我々は再び馬にまたがり、巨人達の後を追った。戦闘を行くのは足跡追跡の心得があるミリヒだ。と言っても巨人達の足跡はくっきりと残っており、それほど心得のないものでも何とか見分けることが可能なほどだった。
この追跡行はなかなかはかどらなかった。いくら分りやすいとは言っても、足跡を追跡しながらとなればいつものようには進めないという事もあるが、仮に奴らに追い付いたとして、10体以上もの巨人に対して我々だけで何ができるのか?という疑問が我々の歩みを遅くしていたのだ。
一行は馬に拍車をくれることもなくのろのろと進み、私はと言うと今回は鳥に変身して空から随行していた。この方が遠くを見れて周囲を警戒しやすいからだ。いや、正直に告白しよう。私は恐れていたのだ。空を飛んでさえいれば、いかに巨人達の背が高いとはいえその棍棒が届くことはない、そういう考えがあったことは否定できない。サンドポイントを破壊しつくした怪物たちへの恐怖が私をむしばんでいた。
 
巨人達はサンドポイント北東のストーバル・ライドと言う地を目指しているようだった。確かに昔から巨人が住んでいると言われていた地だ。奴らはその途上にある街をことごとく襲撃し、狼藉の限りを尽くしていた。我々は訪れる先々で巨人どものもたらした破壊の跡を見ることになり、それがまたますます足取りを重くさせるのだった。
 
途中でオーガの一群に襲撃されたものの、騎馬の機動性を活かして素早く逃げだすことに成功した。それ以外にはこれといってトラブルもなく、我々はいよいよストーバル・ライドにさしかかった。
ストーバル・ライドは見上げるばかりの巨大な断崖絶壁であった。高さは1000フィートもあろうか。まさに自然の持つ偉大な力を感じさせる見事な眺めであった。そしてその断崖絶壁を削るようにして、誰が作ったのか長い長い階段が作られていた。1段の高さは2フィートほどもあり、人間が使うにはいささか急すぎるようだ。なるほど、人の二倍の身長を持つ巨人にとってはちょうど良いに違いない。
さて、階段を上るのは良いが、上っている最中に襲われては非常に危険である。そこで私が鳥に変身して偵察してくることとなった。鳥にとっては高さ1000フィートの絶壁と言えどもひと飛びである。程なく階段のてっぺんに辿り着いた。
果たしてそこには巨人達が待ち構えていた。下を指差して口々に何か言っている。既に我々は発見されていたようだ。幸いにして私には気が付いていないようだったので、急ぎ下にもどって見てきたことを報告する。状況は良くない。足場の悪い階段を上っている最中に攻撃されては、最悪の場合真っ逆さまに転落してしまうだろう。何か手を考えねばならない。
結局、魔法を使って階段ではなく横の崖を直接登っていくことになった。上手くすれば奴らに気づかれずに回りこめるかもしれない。
この作戦を選んだのは大正解だった。巨人達は我々が考えていたよりもはるかに恐ろしい罠を準備していたのだ。我々が崖の途中まで登った時だった。突然、ものすごい轟音とともに大きな岩や丸太が階段を転がり落ちてきたのだ。もしも我々が正直に階段を上っていたならば、到底無事では済まなかっただろう。まさに九死に一生を得た心持だった。
辛くも危機を避けることができた我々は急いで崖を登り切り、そのまま巨人達と戦うこととなった。巨人達は4人、我々は6人。数の上では我々が有利だが、奴らの強さは身にしみてわかっている。一瞬たりとも気は抜けない。
結局、激しい戦いの末、どうにか勝利を収めた我々だったが、かなりの深手を負い、魔法も使い果たしてしまったため、今日はここで休むこととした。明日はいよいよ巨人達の本拠地に到達するだろう。休める時に休んでおかないと。
 
翌日、更に奥地に向かって足を進めた我々を待っていたのは、驚くべき光景だった。そこには巨人達の住む巨大な要塞があったのだ。その要塞は天高くそびえたつ城壁に囲まれ、あまつさえ要塞を守るかのように巨人達の居留地が周囲8か所に点在していたのだ。遠目に見ただけでも、数百体の巨人がその集落と要塞に住んでいる事は明白だった。
おそらく我々はしばらく呆然と立ち尽くしていたに違いない。なにしろ10体そこそこでサンドポイントに深刻な被害をもたらした巨人が数百体だ。我々6人でどうにかなる事態を完全に越えている。正直我々は途方に暮れていた。もはや市民の救出は絶望的に思えた。
とは言え、いつまでも呆けていても何の意味もない。まずはやれることからやらなければ。
ともかく再び私が鳥に変身して偵察に行くことにした。ケルダに姿を隠す魔法をかけてもらい、上空から要塞を見て回る。残念ながらさらわれた市民が捕まっている場所などは発見できなかったが、要塞の中央に巨大な縦穴が掘られていることが分かった。
これ以上は実際に要塞のなかに入ってみないと分らないだろう。意を決した我々はケルダの魔法で身を隠し、要塞に潜入してみることにした。ケルダの魔法は威力絶大で、巨人達の見張りは我々に全く気がつかなかった。だが、万が一にも見つかれば、後は多勢に無勢。簡単に皆殺しにされてしまうと思うと恐ろしく緊張した。
 
とにもかくにも、こうして我々は無事に怪しい縦穴の底に降りることができた。縦穴の底は更に横方向にも拡張されているらしく、かなり深そうな横穴が続いている。
市民が捕らわれているとすればおそらくはこの横穴の先なのだが、残念なことにケルダの魔法の力が尽きてしまった。見つかれば全滅必至のこの状況で、姿隠しの魔法を使わずにウロウロするのは自殺行為であろう。今日の探索はここまでとし、回復をはかることにした。
となると必要になるのは安全な隠れ場所である。それも可能な限り近くに。わざわざ市街からここまでやって来るとそれだけで魔法を使い切ってしまうため、何とか近場に拠点を確保する必要がある。とは言え敵地の真ん中でそうそう安全な場所などあるはずもない。結局、ないのなら作ってしまおうという事になった。
幸いなことに縦穴の底は土がむき出しとなっている。私とミリヒがアナグマに変身すれば、我々6人が休憩するスペースぐらい掘りぬくことができそうだった。そうしてどうにか隠れ場所を作った我々は、狭い穴蔵の中で、いつ発見されるか恐怖に震えながら、一晩を過ごしたのだった。
 
翌日から我々の捜索が始まった。ケルダの魔法で身を隠した後、人目につかないようにコソコソと嗅ぎまわる。魔法が尽きる前に慌てて安全な隠れ家に逃げ帰り、後は息をひそめて魔法が回復するのを待つ。まさに鼠にでもなった気分だった。鼠というのは小さく見えてあれでなかなか立派な生き物なのだ。
話がそれた。我々の慎重な捜索の結果、洞窟内には常に数体のジャイアントが住んでおり、それ以外にもガードマンらしき二体のドラゴンや、巨人達に飼われたダイアベアがいることが判明した。戦力的には向こうが完全に上であることがはっきりしたわけだ。気は焦るがますます慎重さが要求される。
また、オーガと一緒に強制労働させられている人々がいたが、残念ながらサンドポイントの住人ではないようだった。無論、彼らも助けられるものならば助けたいが、9体ものオーガと戦闘になれば、よしんば勝てたとしても巨人達に気づかれて一巻の終わりとなるのは目に見えている。涙をのんで良い機会を待つことにした。
さて、洞窟の中には少しばかり場違いな者がいた。この要塞に住んでいるのは基本的に石巨人と呼ばれるストーン・ジャイアントなのだが、こいつだけはどういうわけかヒル・ジャイアントだったのだ。しかも個室を与えられ、かなり優遇されているように見える。奴はこの個室に閉じこもり他の巨人が訪れることもないようだ。
数日の偵察の結果、目ぼしいところは行きつくしてしまった我々は、まずはこのヒルジャイアントを抑えることにした。こいつは基本的に他の巨人達がいるエリアとは少し離れたところにある個室に一人で閉じこもっており、各個撃破するのに最適と思われたからだ。
 
翌日、我々はまたもケルダの魔法で姿を隠した後、ヒルジャイアントの部屋に突入した。当然、我々の姿が見えずにオロオロする巨人。こうして不可視状態からの強襲で一気にけりをつける予定だったのだが、ここで2つの誤算が生じた。
まずはヒルジャイアントが予想以上に手ごわかったこと。ケルダの眼つぶしを受けて目が見えないにもかかわらず、やつがめくらめっぽう振り回す棍棒が危険でなかなか近づくわけにはいかない。すさまじい速度で振り回される丸太は、直撃すれば簡単に人を絶命せしめるだろう。
2つ目の誤算は、あと一息というところまで追い詰めたヒル・ジャイアントが、不思議な魔法の力を使って石床の中に逃げてしまったことだ。
こうなってしまってはもはや我々にできることはなかった。我々の存在を知った以上、奴をいかしておく訳にはいかないのだが、文字どおり手も足も出ない状態になってしまっている。奴が出てこないかしばらく様子を見たものの、いっこうに出てくる気配がない。このままここで根比べか?と思ったところで、なんとドアをノックする音が聞こえてきた。これは想定外の事態だ。慌てて部屋の隅に集まり、ケルダの魔法で身を隠す。やってきたのが一体だけならば不意を突いて助けを呼ばれる前に倒せるかもしれない。
だが、扉が開いて巨人が中に入ってきた時、私は危うく絶望のうめきを漏らすところだった。何と巨人達は3体もいたのだ。これではどう頑張っても一気に倒すというわけにはいかない。いや、ヒルジャイアントとの戦いで疲弊した今、むしろ勝てるかどうか危ういところだ。こうなれば何とか奴らをやり過ごすしかない。必死で身を縮める我々。
だが、どうも様子がおかしい。巨人達は我々の姿は見えないようだが、存在には気が付いているらしくこちらに呼び掛けてくる。何か取引をしたいようだ。
慎重に話をしてみると、どうやらこの巨人達は彼女らの指導者であるモコムリアンという巨人が気に入らないようだ。モコムリアンはショウゲン・フィストという遺跡で力を得た魔法使いであり、どこで吹き込まれたのか知らないが、巨人族による世界征服という野望に取りつかれているようだ。彼女らはそれは無謀な計画であると考えており、何とかしてモコムリアンを始末したいらしい。
ただ、彼女らが表立って動くのはまずいので、モコムリアンを倒す力を持った外部の人間がやってくるのを待っていたとのことだ。
彼女らはモコムリアンを倒してくれれば、サンドポイントやそれ以外の街からさらってきた人間達を解放してくれるというので、我々はその取引に乗ることにした。巨人というだけでも恐ろしいのに、更に強力な魔法使いであるというモコムリアンを倒せる自信はあまりないが、さらわれた人々を救うにはこれが一番ましな手段と思えたのだ。
彼女らはばれるとまずいらしく、かなり急いでいたが、我々は一晩の休息を要求した。不十分な状態でモコムリアンに挑み、負けるようなことになれば、それこそ致命的な結果をもたらすと説得したのだ。
ともあれ、明日モコムリアンを倒せるかどうかに全てがかかっている。我々は短い休息をとることにした。