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第8回

鉤山の虐殺(The Hook Mountain Massacre) part3

 

 タートルバックの廃墟


雨がシトシトと降る中、俺たちはタートルバックに帰ってきた。巨大な怪物に蹂躙されたタートルバックの街を見ると、不謹慎ながらこの場にいなくて良かったと思える。やはり人間生きててナンボだ。
 


その頃、ドルイドのキリュウは久々に帰ってきた故郷が目も当てられないほど荒廃しているのを見て愕然としていた。昨夜、遠くから見たあの巨大な生物のせいかも知れないが、たとえ自分がこの街にいてもきっと助けにはならなかっただろう。幾人かの住人は救えたかもしれないが。


 
ルーンシーカーはガムの後釜を求めていた。リリーが連れているまったく可愛くない妖精のチャムにドルイドの知り合いはいないか?と聞いてみたものの心当たりはないらしい。ケルダが仕方なくあたりを散歩していると首に蛇を巻きつけて呆然と破壊された街を眺める1人の青年を見つけた。その瞬間、ケルダはピンときた。首に蛇を巻いてるようなヘンな奴、あれは間違いなくドルイドだ。早速スカウトするべくケルダは声をかけた。

 首に蛇を巻きつけた男キリュウはルーンシーカーのことを知っていた。何やら街の被害を少しだけ食い止めてくれた素晴らしい人たちというのが彼の認識だ。だからケルダは大事なことを伏せておくことにした。あの化け物がダムから溢れ出すのを止められなかったのはルーンシーカーだということを。だが、アレを止めるのは無理だろ?

 街をこんなにした連中に天誅を加えたいと怒りをあらわにするキリュウに、この事件の元凶が遠く向こうにそびえる高い山の上にいることを教えた。それだけでキリュウはルーンシーカーと共にいくことを決めたようだ。

 そうなれば話は早い。あとはみんなのところに連れて帰って紹介するだけだ。だが、1つ気をつけなくてはならないことがある。ファロンリリーだ。2人がしゃべるのを聞いたらキリュウの心が変わってしまうかもしれない。ケルダは2人が口を開く前に手早く紹介を済ませてしゃべらせない作戦で行くことにした。そのためか、ファロンリリーの紹介はやたら短く強引で何か変だった。
 

 目指すはフックマウンテン


フックマウンテン、その頂は白く輝き、あそこに行くには防寒具や本格的な登山装備が必要だろうというのがすぐにわかる。キリュウを仲間に加えたルーンシーカーズは、装備を整えるとランニック砦を経由して頂を目指した。
 
ランニック砦までは特に何事もなくたどり着いた。そこで一泊して先に進む。途中、そろそろ防寒具が必要だなと感じる頃、今日はここでキャンプして翌日山頂アタックをかけることにした。
 
その夜、キリュウケルダが見張りをしていると何やら焚き火から立ち上る煙がユラユラと踊り始める。煙が揺れるのにあわせてキリュウのお供の蛇が体をくねらせる。すると焚き火の方から何やら呪文を唱えるような呟きが聴こえてきた。
 
それと共に猛烈な睡魔がキリュウケルダを襲う。キリュウの蛇はすぐに眠ってしまい、ケルダも眠気に誘われて今にも眠ろうとしている。ただ1人眠気を振り払ったキリュウは何とかケルダが眠り込むのを止めようとするがどうにもならない。
 
この呪文を唱えた何者かを探してキリュウは辺りをうかがうが何も見つからない。呪文が更に唱えられる。この呪文を受けると生気を吸われて衰弱すると共に何やらいい気持ちになってしまうため眠っている者たちも目が覚めない。
 
キリュウが更に辺りをキョロキョロすると、焚き火の中に変な髑髏がいてカタカタと気味悪く動いている。
 
ようやく目が覚めたミリヒがみんなを起こすために仲間を踏みつけながら髑髏へと向かっていく。同じくようやく目が覚めたリリーも焚き火の中に変な骸骨が居ることに気がつくと反射的に水を作り出す呪文で焚き火を消してしまう。もちろん髑髏はそんなことでは消えたりしない。
 
あたりが闇に包まれ混乱が更に広がる。そこでファロンが飛び回る光の玉を呼び出し、辺りを明るく照らした。色々あったが、結局、髑髏は逃げていった。あれはいったい何だったんだろう?
 

 絶壁の上に待ち構えているのは


翌日、絶壁を登っていく。絶壁を登って30分ほど行くとオーガの砦があるらしい。絶壁を登るのは苦労するかと思ったが、何かおまじないのおかげで楽々登ることができた。便利なもんだ。
 
絶壁を登りきったところで、明日のオーガ砦襲撃のためにキャンプをして英気を養うことにする。だが、英気を養うつもりが危うく栄養になってしまうところだった。
 
その晩、巨大な緑のムカデのような奴が襲ってきたのだ。誰か神様の恨みでも買ったのか?と言わんばかりの仕打ちだ。武器は易々と弾かれるし、みんなのお得意のまじないも何かあまり効かない。更に巨体を躍らせて地響きを起こすわで手のつけようがない。このままだと全滅してしまう!
 
結局、ルーンシーカーズは勇気ある決断をすることになった。つまり逃げるのだ。だが、逃げ遅れたミリヒが肉塊になってしまった。さよならミリヒ、君のことは忘れない。ファロンも奴の目の前で転んで危うく死ぬところだった。きっとあまりに強烈な臭いのおかげで、奴の手もつい止まってしまったのだろう。
 
結局、肉塊になったミリヒはお弁当として持ち帰られてしまった。奴が立ち去ったあと、三々五々、逃げ散ったものたちが戻ってきた。何とか残ったミリヒの肉片をかき集め、転がるように麓を目指して逃げ始めた。途中、何かに襲われることなく無事に帰りつけるだろうか?
 
誰かが神様の恨みを買っていることはほぼ確実だ。だが、それは俺じゃない。帰り道、ひっそりとキャンプしているとレッドキャップの一団に襲われる。それを何とか撃退したものの、その晩の襲撃はレッドキャップだけじゃない。地面から緑色のキャベツみたいなものが生えてきて、そこからつる草みたいなものが地面から這い出てくる。キャベツマン(仮称)だ。俺たちは神様なんぞみんな呪われてしまえと呪いを撒き散らしつつ何とかキャベツマンを撃退した。もうこんな生活イヤだ。
 

 妖精の女王様は諦め気分


何とかタートルバックの渡しまで帰ってきたあと、肉塊になったミリヒを何とかするために妖精の女王様のところに行くことにした。チャムは女王様はご機嫌斜めだから止めたほうがというが、ここは引き下がれない。
 
ようやく妖精の女王のところにたどり着いてみるとやはり機嫌がよくなかった。ミリヒを何とかしてくれと頼むと、仏頂面で沼地に案内される。沼地の水面に写るのは遥か遠くの光景。それは動く死者と化した隊長と、その前でペコペコと許しを請うスペクターのケイブンだった。しかも隊長は目の前にいるのがケイブンだとわからずひたすら棍棒で殴りつけている。しかも、ケイブンは霊体だから棍棒はすり抜けるだけときた。まあ、茶番劇だな
 
どうやら女王様は半分諦め気分らしい。もうこれが最後と1人につき1つのお願いを聞いて、これでダメだったら隊長のことは諦めると言い始めた。とにかく、そのお願いを使ってミリヒを新しく生まれ変わらせてもらった。まあ、顔は変わったがまた人間になれたみたいだ。最初は本当にミリヒか半信半疑だったがな!
 

 フックマウンテンで虐殺されそうになるの巻


何であんなところに行かなければならないのか疑問だが、もう一度、オーガの砦を目指すことにした。今回は途中でガーゴイルに遭遇したくらいで旅路は順調だ。目的地は最悪だがな。前と同じく崖を登ってオーガの砦に近づく。入り口に見張りが2人いたが、こちらを見つけると何もしないうちに仲間を呼びに中に逃げていった。逃げ足速すぎだろう君達。
 
このまま外で待っていて、別の方向から回りこまれたり、夜にキャンプしているところを襲われたり、この間の緑の巨大ムカデにあうのは嫌なので、渋々、突入することにする。
 
入り口は何かの巨大な肋骨のアーチになっており、それをくぐって進むと氷漬けになった黒い巨人がいた。巨人の首にはメダリオンがかかっており、それをファロンが拾いに行く。シードロンのメダリオンだ。もらっておこう。
 
しばらく奥に進んでいくと焚き火がある。しかし焚き火のそばには誰もいない。きっと奥で守りを固めているんだろうなと嫌な気分になる。そこから更に進むと通路が3つに分かれている。正面の道の奥からは許しを請う声が聞こえるからきっとケイブンを隊長がいるんだろう。きっと危ない場所だから後回しにしよう。
 
まずは右側の通路の奥から調べようと進んでいく。道の先は更に2つに分かれて押し、ここも右に進む。すると背後からオーガが忍び寄ってきた。
 
オーガを倒しても倒しても次から次にゾロゾロやってくる。しかもだんだん強くなり隊長っぽいのまでやってくる。などと思っていたら巨人までやってくるじゃないか。このままでは押し切られてしまう、マズイと思っていると、後ろの通路から醜い老婆が3人やってくる。あれはハグだ。
 
ハグは動く死体の隊長を先頭にオーガや巨人を無力化しながら進んでくる。巨人を輝く檻に閉じ込め(もちろん隙間からたっぷりと刺してやった)、巨人のボスも輝く箱に閉じ込めると3人のハグ、自称妖精のプリンセスはこともあろうに俺のことを王子様と呼びかけて駆け寄ってきた。なんでもオーガに囚われていたが我々が殴りこみをかけたのを好機と捉え打って出たらしい。
 
どうやらここの本当の支配者はジャイアントで、オーガは単なる手下に過ぎないらしい。ハグたちはジャイアントの支配から逃げ出すため、ジャイアントをあの輝く檻に閉じ込めて始末することにしたらしい。
 

 私、綺麗?


ジャイアントを無力化して一安心すると、ついにハグ達から恐るべき質問がやってきた。
 
「私たちの中で一番ステキなのは誰?」
 
いや、誰がステキといわれても、どなたもステキには程遠いのだが。3人は自分たちのことをグリセルダ、グレルタガ、ダラスティンと紹介してくるが、とても1人を選べそうにない。いやね、誰を選んでも残りの2人に八つ裂きにされそうじゃないか。
 
見かねたリリーが透明になるまじないをかけてくれたみたいだが、それで何とかなりそうな気がしない。更に話を聞いてみると、この3人にはもう1人姉妹がいて名前はミリアナというらしい。話を総合するとミリアナというのは妖精の女王のことで、この3人は1人の男性を奪い合って美しさを磨きまくった結果今みたいになったらしい。今日の成果、妖精は美を磨きすぎるとハグになるらしい。あまり役に立たない豆知識だな。
 
結局、俺は目をつぶってあてずっぽうに1人を選んだ。恐る恐る目を開けると、3人はその選択結果について議論を繰り返しており、八つ裂きにされたりはしなった。助かった。とりあえず長居しすぎると帰れなくなる予感がしたのでそそくさと辞去することにした。
 

 俺伝説



翌日、俺たちはオーガの砦を漁り忘れていたことを思い出した。オーガはほとんど始末したから、大して困難はないだろう。オーガの砦の中を探索すると、オーガフックを量産している火事場を見つけたり、ラマシュトゥの神殿を見つけたり、昨日のハグ3人組に再開したり(俺は会いたくなかったから隠れていたがな)、その3人にケルダが「ハワード王子は世界中の101人の姫を助けるために日夜旅をしている。彼は次の姫を助けに行かなくてはならなくなった」とか適当なことを吹き込んだり、ハグたちがそれを本気で信じ込んだり、ハグ達が王子様にと指輪をくれたりなどなどがあった。
 
そして最後に、昨日閉じ込めた巨人のボスを始末しようと輝く箱を開けて戦った(その間もハグがずっと一緒だったから俺は隠れてたけどな)。ジャイアントは信じられないくらい強くて、ハグの1人であるグリセルダが肉塊になったりしたが、なんとか倒すことができた。グリセルダ、グッバイ! これで1つ片付いたぜ。
 
このあと色々調べたら、裏で糸を引いているのはジャイアントっぽい。きっと報告に戻るとそのジャイアントも何とかして来いとか言われるんだろうなと暗い気分になった。
 
この回おわり