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第二話

第二話


 前回のあらすじ

オーキッド団長率いる第2次アンコラトー島開拓団は無事に長い船旅を終え目的地アンコラトー島に到着した。
しかしそこで彼らを待っていたのはもぬけの殻となった開拓村、タルマンドール・バウンティであった。
いったい第1次開拓団に何が起こったのか?そして彼ら第2次開拓団の運命は?

 PC

オーキッド
コネで団長に就任したお嬢さん。やる気は十分だがイマイチ信頼されていない。挽回なるか?
ウルバノ
漁師出身の若者。腕力自慢だがアピールは苦手。
ヴィクター
華麗な剣捌きで、大人な対応のスワッシュバックラー。開拓団一のモテ力を発揮する。
イスカ
野外活動と占いが得意なシャーマン。人づきあいが苦手なのが密かな悩み。
トレイシー
能天気な言動からは想像しにくいが意外な知識がある。知識を役立てられるかは別の話。
アルコー
廃墟マニアの終末信者。この島にはアズラント帝国の廃墟を堪能しに来たらしい。

 暗雲漂う開拓団

オーキッドさん困ったことになりました

タルマンドール・バウンティ住人の失踪が判明し、オーキッドが別の場所に村をつくることを決めた翌日。
オーキッドが目を覚ますとどうも船の中に不穏な空気が流れていた。
どうやらあれから何体かの怪物が目撃されているらしく、入植者たちが不安がっているようだ。中にはもう入植は諦めてアンドーランに帰ろうと主張する者もいるらしい。
とんでもない事だ。このオーキッドの輝かしい伝説の第一歩でつまずくわけにはいかない。何とかして皆を盛り上げなければ。
オーキッドはラモナと相談し、開拓団の中でも強く帰還を主張しているものを探し出して個別に説得しようと言う事になった。
ただ、オーキッドやラモナといった上層部が直接動くと皆委縮して腹を割って話してもらえないかもしれないので、あまり上層部と関係ない人達に調査してもらうことにした。
そこで白羽の矢が立ったのが、前回オーキッドと共にタルマンドール・バウンティの調査を行った5人であった。
彼らはタルマンドール・バウンティで襲ってきた怪物にも怯む様子はなかったし、この程度の怪物を見たからと言って帰ろうなどと言い出すことはないだろうとふんでのことだ。

意識調査

果たして彼らはオーキッドの頼みに対して快く協力を約束し、思い思いに他の入植者たちに接触して話を聞いてきてくれた。
やはり得手不得手はあるもので、うまく情報を聞き出してくるもの、聞き込みにかこつけて自分を売り込み着実にファンを増やす者、やる気だけで空回りしている者、結果は様々であったが、皆それぞれに頑張った甲斐あって、帰還派の中心となっていたハーコートとパーレルの説得に成功した。これにより大分船内の空気は好転する。
ただ今回の件は、まだ若い団長オーキッドへの不信感がその根底にあるようで、完全解決するにはオーキッドの実力を皆に認めさせることが必要だと思われた。
そこでオーキッドは手っ取り早く近隣のモンスターを退治して脅威の排除と自身の株を上げる一石二鳥の作戦を行うことにした。
幸いなことに聞き込みの中でグリンディローが出入りする洞窟の目撃報告を得たのだ。グリンディローはそれ程恐ろしい怪物ではないし、ウルバノやヴィクターを戦力として動員すれば十分に対処可能だろう。
通常よりも大型の個体も見たというものもいたが、こちらには自分を含む魔法使いも何人かいる。何とかなるはずだ。

上陸

まだ、全体的にどことなく不安は漂うものの、開拓を続行するのであれば時間を無駄にしている時間はない。第2次アンコラトー島開拓団はついにアンコラトー島に上陸した。
荷下ろしを終えると早く帰りたがっていた船長はそそくさと帰って行ってしまった。また数か月後にやってくるという話だが、少なくともそれまでは孤立無援という事だ。ボートも持って行ってしまったので、いずれタルマンドール・バウンティに置いてきてしまったボートを回収せねばなるまい。


 グリンディローの洞窟

探索1回目

オーキッドは荷ほどきや仮設住宅の建築は部下に任せ、メドリナが発見したグリンディローが出入りしていたという洞窟を見に行く事にした。
例によって腕っぷしが強くて頼りになるヴィクター、イスカ、ウルバノの三人と、集団内で孤立して手持無沙汰そうなアルコー、貧弱で力仕事の役には立たなさそうなトレーシーを連れていく。
洞窟は半水没状態で満潮の時には完全に水没してしまう。干潮時も陸伝いにはいけない。
そこで洞窟のある崖の上まで行き、ウルバノがロープを伝っておりて軽く調べてくることになった。
下りたところは干潮時なら長身のウルバノはかろうじて足がつくようだが、小柄なトレーシーやオーキッドはとても足がつかない。どうしたものか。
いったん準備しに戻ろうかとなりかかったところで、洞窟の奥から2体のグリンディローが現れてウルバノに襲い掛かってきた。
崖の上からではかなり距離があるし、そもそも洞窟の中は良く見えない。オロオロする魔法使いたち。慌てて飛び込むイスカ。
思わぬ奇襲に騒然となるが、結局グリンディロー2体はウルバノの槍によって倒された。幸い増援がくる様子はない。
いったん、戻って傷を治した後、どうするか意見が分かれたが、結局体力のあるイスカ、ウルバノ、ヴィクターの3人で奥を調べてくることになった。
イスカのLightを灯りにして奥を見に行くと、中はかなり広い上にずっと水没状態のようだ。これを探索するのは中々骨が折れそうだ。
まあ、もう少し奥も見てみようと言う事で慎重に進んでいくと、小癪にも水中に罠が仕掛けてあったらしく、突然天井が崩落して落石がおきる。
これにより倒れたものはいなかったが、更にグリンディロー2体が奥から飛び出してくる。罠にかかるのを待ち構えていたようだ。
罠によって負った傷もありウルバノが倒れるが、ヴィクターがなんとか切り倒すのに成功する。倒れたウルバノはイスカが治療して事なきを得た。
とは言え、深手を負ってしまったのでいったん撤退することに。
アルコーの力で傷は何とか治したものの、準備も無しにこれ以上進むのは難しいと言う事で今日は一旦帰ることにした。
成果なしだと士気が下がるので、倒したグリンディローの死体を持って帰って脅威度の低さをアピールする事にした。
イスカのナイスフォローもあって、これにはなかなかの手ごたえを得た。
 

アンコラトー島の脅威

その後、森の方の様子も確認しに行くとモッキン・フェイという他人の姿に化けるフェイに遭遇したり、1mもある超巨大蚊に襲われて血を吸われたトレーシーがヘロヘロになる。
更に森に狩りにいたヴィクターとイスカはスキンクローラーという大変に気持ちが悪い寄生ウーズに襲われたりした。どうやらこの島はかなり危険な処のようだ。
 

半魚人のコロシュコラ

一方、海に魚を取りに行ったウルバノは、銛を片手に素潜り漁に挑戦している最中に赤い顔をした半魚人に遭遇していた。ギョッとするも相手も驚いた様子ですぐに襲ってくる様子はないようだ。
水中では話すこともできないのでハンドサインで上を示して水面へ。相手は大人しくついてくる。しかも片言ながら共通語が話せるようだ。
なんとか会話を続けると、この半魚人はローカザーのコロシュコラといい、以前いた人間達がどこに行ったのか不思議に思っていたらしい。これはおそらくタルマンドール・バウンティの第1次開拓団の事だろう。コロシュコラは人間達とヤマイモと魚の物々交換を行っており、結構仲が良かったようだ。
ヤマイモはローカザーの間では珍味として重宝がられているらしく、ウルバノが同じような交易ができるか持ちかけると二つ返事で承諾した。この島に来てから初めてといっても良い友好的な遭遇にすっかり気を良くしたウルバノであった。


探索2回目

翌日、今度は木材などを使って作った浮き輪を持って再度グリンディローの洞窟に向かう。こんなものでもないよりはマシだろう。
今回は奥まで探索するつもりなので、トレーシーやオーキッド、アルコーといった水泳が得意でないメンツもついていく。足がつかないとはいえ、浮き輪や洞窟の壁につかまっていればさほど問題はなさそうだ。これで呪文による支援も期待できる。
奥に進んでいくと再び2匹のグリンディローが襲ってくるが、これはトレーシーの呪いで片方が眠ってしまったこともあって容易く粉砕。
洞窟が二手に分かれていたので右の方に行くと、その先は深くなっている。
とりあえず泳ぎの得意なウルバノが潜って調べに行くと、底の方に2匹の大きなタコがいて襲い掛かってきた。タコが揃って墨を吐いたため、まったく視界の効かない中での乱戦となり混乱したものの、これもなんとか撃破に成功する。
タコの巣穴には過去の犠牲者のものか皮製のボーチがあり、中にはサンゴやBottle of Air、Everburning Torchが入っていた。ありがたく頂いていく。
 
タコの巣穴から戻って今度は左側へ。
するとそこは陸地になっており、なにやら巨大な掌のような形をした台座がある。台座の上にはグリンディローが1体いるが、普通の奴より2回りほどでかいようだ。これがここのボスだろうか。もう他にグリンディローはいないようだし、こいつを退治すればこの洞窟は安全になるだろう。
このグリンディローは見た目に違わずなかなか手強く、床がヌルヌルしていて戦いにくかったこともあってそこそこ手こずるが、ウルバノの痛烈な一撃で真っ二つになったのだった。
グリンディローは魔法の槍やアミュレット、それになぜかIoun Stoneを目に埋め込んでいたので、全てありがたく使わせてもらうことにした。
 
台座を調べるとこれは台座というよりは巨大な彫像が地面に埋まっており、その掌部分が付きだしているようだという事が判明した。
彫像はなにかの神像であると思われ、アルコーはここはグロエタスの聖域に相応しいと内心思った。グロエタスは廃棄された他の神の聖域の跡を好むのだ。
 

凱旋

ともかくこれでグリンディローの脅威は取り除けたと思われるので、上陸地点に戻ってみんなを安心させることにする。
オーキッドはいつもの調子で脅威を排除した事を大仰に伝え、開拓団は一気に盛り上がるも、その後調子に乗ってこの島にあるアズラントの遺跡の秘密を解き明かすとか夢想じみた展望を話し出したので、その前に寝るところと食いもんを何とかしろよという雰囲気になってしまったのだった。
また、いつまでも名前がないのは不便なので、この上陸地点とそこに建築予定の村はポート・オーキッドと名付けられた。名前はともかくここが我々のホームとなるわけだ。

 アンコラトー島探索

オーキッドさん困りますよ

何か大きな事を成し遂げたいオーキッドはすぐにでも島の探索を始めようと考えていたが、そこにラモナからストップがかかった。
そういうのはせめて仮設住宅が完成し、村がある程度動き出してからにしろというのだ。実にもっともな意見である。
とは言え、イスカを始めとして行方不明の第1次開拓団がどうなったか急いで調査すべきだという意見もあり、妥協案として村の開拓に悪影響が出ない程度の少人数、3人程度なら調査に行ってもいいと言う事でお互いが妥協した。
調査団として選抜されたのは、イスカ、ヴィクター、パーレルの3人であった。調査に乗り気な上、野外活動にも強く回復魔法も使えるイスカを中心に、護衛のヴィクターと様々な知識に詳しいパーレルという組み合わせである。まあ、パーレルはヴィクターが同行すると聞いて自分から志願してきたのだが。
とりあえずの目的として島の中央にある山に頂上に登り、島の地形を確認してくることを設定した。ついでにもしタルマンドール・バウンティの住人がどこか他所に避難したのであれば、高いところから見れば煮炊きの煙などを発見できるかもしれない。

アズラントの幻影

パーレルが入り組んだジャングルの中を通っていくより、河の中を通って行った方が効率がいいと主張したので、多少遠回りになるが河をさかのぼることにする。
河は浅く流れも緩やかで河の中を通っていくのにさほど支障はない。幸いワニやガーといった危険な生物も見当たらない。
順調に遡っていくとちょうど夕暮れ時にジャングルの中に不自然に開けたところがあるのを発見する。どうやらここはアズラントの遺跡のようだ。
パーレルが遺跡への興味を隠しきれないようだし、今晩はこの辺りで夜を過ごすというのに遺跡に危険なクリーチャーが住み着いていても困る。野営の前に簡単に探索を行う事に。
遺跡には危険なモンスターや遺物の類は見当たらなかったが、遺跡の中央の少し高くなったところに近づいた時に不思議なことが起きた。突然幻影が現れて聞いたことのない言葉でしゃべりだしたのだ。

だが、イスカにはその言葉が一族に伝わっていた古い古い言葉、アズラント語である事が分かった。内容を聞いているとどうやら危険な事態が発生したので落ち着いて避難するように呼び掛けているようだ。ひょっとしてアズラントを滅びが襲った時のものなのだろうか?詳しい事は何もわからなかったが、やはりこの島にはアズラント時代の遺物が多く残っているようだ。

恐るべき襲撃者

その晩3人は交代で見張りをしつつ休息を取っていた。するとパーレルの見張り番の時に何やら怪しげな人影が2体、こっちに向かって近づいてくるのに気が付く。
戦闘能力の低いパーレルは慌てて他の2人を起こす。目覚めたイスカ達が誰何の声をかけても人影は何も答えない。これは怪しい。
果たして、近づいてきた人影をよく観察するとどうやらゾンビのようだった。気持ち悪いことに体の各所から触手の様なものが生えているのが気になるが、それよりもこのゾンビは一体どこから来たのだろうか?第1次開拓団の成れの果てなのか?

しかし、ゾンビに気を取られたのが間違いだった。このゾンビはゾンビに寄生していた謎の触手怪物の乗り物にすぎなかったのだ。この触手怪物はより新鮮な肉体を求めてゾンビを捨ててイスカ達に乗り移ろうとしてきた。触手による複数回攻撃は強力でイスカが倒されてしまう。
しかも非常に頑強な上にタフで、斬っても叩いても一向に死ぬ気配がない。
しかし、動きが鈍かったのが幸いしてヴィクターが機敏な動きで翻弄することで何とか倒すことができた。
倒れたイスカもパーレルがPotionを飲ませてくれたおかげで何とか死を逃れることができたが、一歩間違えればゾンビとなって奴の乗り物とされてしまっていただろう。なんとも恐ろしい生き物がいたものだ。
倒したゾンビを調べてみたところ、片方はどうやらライラ=リオンハートという人物であるらしい。戻ったら第1次開拓団の名簿に載っているか確認しなければ。

山頂にて

その後は危険な目に遭う事もなく順調に進み、翌日の昼には山頂に到着した。
この山は火山でカルデラ状になっており、落ちくぼんだ盆地に湖があった。しかも湖の中央の小島にはいかにもな塔が立っている。
塔は気になるがあれがアズラントの遺跡だとしたら遺跡を護るガーディアンやトラップがあるかもしれない。今回は準備もしてないしイスカもヴィクターも遺跡探索は本職ではない。リスクが高すぎるだろう。今回は無視して本来の目的である島の地形確認に努めることにした。
山頂からは4本の河、ストリクスらしきものが飛んでいる小島、赤い森、いくつかの遺跡らしき建物、といくつか気になるものが見えた。
しかし、島のどこからも煮炊きの煙のようなものは上がっていない。一体第1次開拓団はどこへ消えてしまったのだろうか?
消えた開拓団に関する手掛かりは手に入らなかったが、本来の目的である地形の把握はできたので、これ以上は無理をせず帰還した。
報告で遺跡の存在を知ったオーキッドは近くの遺跡を探索したがったが、イスカがアズラントの遺跡であれば不用意に近づくとガーディアンなどを呼び覚ましてしまうかもしれないと警告したのと、まだそんなことを言っているのかと睨みつけてくるラモナが怖かったので断念した。

 アンコラトーの日々

無計画な人達

それから1週間ほどが過ぎ、ようやくポート・オーキッドも少しは形になってきた。まだまだ必要なものは沢山あるが、なんとか人間の居住地といえそうである。
皆が忙しく働いているなか、ヴィクターは森に採集や伐採に行く人達の護衛で引っ張りだこであった(主に女性から)。そこにカーヴァーが訪ねてくる。カーヴァーとは同じ護衛として少し話したことがある程度だが何の用だろうか?
聞いてみるとカーヴァーはいつの間にか近くの探索をして遺跡を発見したらしい。そこに行くと変な人間だか人形だかみたいなのが出て来て話しかけてくるのだが、その言葉が分からないので分かりそうな人を探しているのだそうだ。
ヴィクターはそれでなんで俺のところに?と思ったがそう言えばイスカがアズラント語の翻訳をしてくれたことを思い出したので教えてやった。
カーヴァーは次にイスカのところに行き、遺跡に一緒に行って通訳して欲しいと頼んだが、危険を招きかねないし変に遺跡を刺激したくないとけんもほろろに断られてしまった。
そこでカーヴァーはやけになったのか片っ端から声をかけて回った。すると驚いた事にお針子のトレイシーもアズラント語が分かるというではないか。
トレイシーによるとそのクリーチャーは「ここは聖域だ」というような事を言っているようだ。
カーヴァーが一緒に来て通訳してくれと頼むと、何も考えていないトレイシーは二つ返事で引き受け、更にアズラントの神様について知ってるかもという理由でアルコーが、護衛がカーヴァー一人じゃ心もとないという理由でウルバノが巻き込まれ、こうしてなし崩しに遺跡探検隊が結成されてしまった。

アヴァクナの神域

カーヴァーの案内で遺跡に向かう。
途中でタルマンドール・バウンティでも遭遇したカラクリ仕掛けのボールを見かけるが、他にはこれといった危険もなく無事に辿り着いた。
すると確かに2体の像が近づいてきて挨拶してくる。

トレイシーの知識によればこれはセレドンといってアズラント時代に様々な雑用に従事するために作られた人造で、戦闘能力は高くないが知能が高いらしい。
この2体はアリエルとウルラナと名乗り、ここでずっと月と戦いの女神アヴァクナの聖域を護っているのだという。
アヴァクナはアズラント時代の女神で今は信者は残っておらず誰も訪ねて来ないので寂しい思いをしていたのだそうだ。
最近はエリザ=ハニヴァーという髪の長い人間がしばらく滞在してアズラント語を教える代わりに共通語を教わったりしていたのだが、そのエリザもいなくなってしまったらしい。
エリザ=ハニヴァーといえば第1次開拓団のメンバーのはずだ。彼女はここで何をしていたのだろうか?
好奇心旺盛なトレイシーが熱心にアヴァクナの事を聞いたりしたおかげか一行はすっかり打ち解け、この2体から色々と話を聞き出すことができたが、この2体はずっとここにいるので島の他の場所については詳しくないらしい。その代わりアズラント時代の事は詳しいので、もし知りたい事が出来たら聞きに来ると良いと言ってくれた。

親切な半魚人

更にしばらくするとある日沖から一艘のボートがまっすぐ近づいてくるのが見えた。しかし不思議なことに誰も載っていない。
実はローカザーのコロシュコラが海中からボートを押していたのだ。彼は親切にもタルマンドール・バウンティにあったボートを回収し、ここまで持ってきてくれたのだった。
コロシュコラにはお礼にイモをあげ、ついでに話をしてこの島の住人について聞いてみた。
彼によると小島に住んでいるストリクスとは昔は仲が良かったが、何かがきっかけで仲違いして以来ほとんど交流がないので良く知らないそうだ。とは言え、ストリクスはそれほど邪悪だったり危険だったりするわけでもない。こちらから変に刺激しなければ平和な関係を築けるだろう。
むしろ危険そうなのは島の反対側に住んでいるというサハギンだろう。これはなかなか危険な種族だ。特にこちらの力が弱い場合は。
またローアズランティという半魚人種族も住んでいるらしい。ローカザーはサハギンとは仲が悪いので反対側には滅多に行かないため、彼らの事もよく分からないそうだ。
まあ、とりあえず反対側に住んでいるならしばらくは心配しなくてもいいだろう。ローカザーとは仲良くやっていけそうだし。
 
こうしてアンコラトー島での日々は過ぎていくのだった。

つづく