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20200202

第七話

  英雄たち、石の扉を開け、ザイビドスを探す

 ローブの男から逃げて、英雄たちは野外で一夜を過ごした。幸いなことにその夜、ローブの男が追跡してくることはなかった。
 翌朝、気を取り直して泣くドラゴンの門から遺跡の中に入っていった。ローブの男が襲ってくると考えて用心していたが、もうそこに彼の姿はなかった。遺跡を調べてみると、石の扉が一か所だけ空いていた。扉の奥は、小さな小部屋で、そこには「ゼルランド」と書かれた石で作られた椅子と、ゼルランドという男を縛り付けていたであろう乾いた皮ひも、ちぎれた布、などがあった。椅子の下には、死んだ芋虫の死骸が大量に落ちていて、丸いカーペット上の模様を作っていた。昨日会ったローブの男が、ゼルランドなのだろう。虫の死骸をあさって見たところ、人間の右手の骨に掴まれた、こぶし大の血色の玉髄(細かい石英が集まった石)を見つけたので、回収した。

 もう一度オベリスクの前にきて、ミリアルが続きを読むことにした。

betrayed by a student, now just a broken beast,

 と読んだところでまた石柱が動く音がした。今いるところから20ft左にある壁に大きな穴が開いている。穴を抜けると下へ行く長い階段があった。用心しながら下へ進んでいくと、30-40ftくらいの正方形の部屋に行き当たった。部屋の床には、大きな魔法陣が書いてあったが、ずいぶん前に書かれたものなのだろう、ところどころが欠けていたり、読めなくなっていた。
 魔法陣の中心に、紅い玉髄が置いてあるのをミリアルがみつけ、取ろうと近づいた。すると、大きな蛇のような生き物が床を突き破りながら現れた。蛇は大きく開けた口の中に鋭い牙が幾重にも列をなしていた。何かあるだろうと警戒していたユタが恐竜に変化して立ち向かう。蛇は、口から酸を吐いて暴れまくったが、最後は力尽きて倒れた。

 オベリスクにもどり、さらに詩を読んだ

now just a broken beast,faithful only to his own failures

 と読んだところでまた石柱が動く音がした。今いるところから20ft右にある壁に大きな穴が開いている。穴の先には、奥につづく地下墓地があった。地下墓地には石棺がところどころに置いてある。石棺には「フィデイレム」と書いてあった。フィデイレムは、ザイビドスの親衛隊の名前だったらしい。墓地の奥に、ひときわ大きな石棺があり、その上にバスタード・ソードを持った人の骸骨が横たわっていた。骸骨の口には、こぶし大のかんらん石がくわえられている。近づくと、テレパシーで次のように問いかけてきた。

Are you here to release my master from his chains?”

 ミリアルが(誰にも相談しないで)すぐに「Yes!」と答えると、骸骨はかんらん石を取り出せるように口を大きく開けて次のように言った。

Then take this gem, one of the four keys to his freedom, speak the master's name before the entrance to his humiliation, and leave me in peace.

 オベリスクに戻り、詩を最後まで読むと

beloved by none who survived his fall.

 さらにもう一つの石柱が動いて奥へ行けるようになった。これで、空いてない石柱は残り2つとなった。
 石柱が動いて開いた穴の先には、下りの階段があった。階段を下ると、巨大な大理石の部屋に行き当たった。大理石はピンク色にバラ色の模様が入っている。床には、6つ首の蛇のシンボルが描かれていた。北側の壁には、鉄格子が2か所あり、それぞれの鉄格子の向こうには、半円形のアルコーブが見えた。アルコーブの中には、石でできた台が4つづつ置いてあり、台の上にはそれぞれ壺が置いてあった。壺の上には、赤い色の宝石がそれぞれ置いてある。2つの鉄格子の間には、大理石でできた台座があって、その上は大きなバラ色のクリスタルが置いてあった。
 部屋の東側には奥へ続く通路が2か所あった。
 リーリアがバラ色のクリスタルを調べていると、東側の通路から一人の女と2人の子供の幽霊が現れ襲ってきた。特にリーリアに集中的に攻撃を行ってきたが、かろうじて倒すことができた。
 その後壺の上の宝石をいろいろ調べたところ、一番右の宝石が赤碧玉で、他はあまり価値のないガラス玉だということが分かった。

 開いてない石柱のうち一つを見ると、6首の蛇の模様が彫り込んであった。蛇のしっぽがとぐろを巻いているところに4つのこぶし大の穴が開いていたので、今まで取ってきた4つの宝石をはめ込んでみた。が、何も起こらない。そこで、骸骨に言われていた「speak the master's name」を思い出し、「ザイビドス」と唱えると、石柱が動いて奥に行けるようになった。
 奥へすすむ階段を抜けると、5枚の絵画が飾られている部屋に来た。絵にはそれぞれ、モチーフの名前が書いてあった。

  • アルダーパシュ:険しい目つきをした老人が、永遠に続く迷路に閉じ込められた様子。背景に、ヤギの頭をした悪魔が描かれている
  • アンゴゼイン:腰まである長髪、片目が白、片目が黒の男が、クジャクの羽をあしらったローブを着た男に殺されている様子
  • ザイレン:ガウンを羽織った痩せた女が、後ろから首をナイフで切られて死んでいる様子。殺しているのは、鷲鼻の男
  • ザイビドス:頭頂部がハゲで、残った髪が肩まで伸びた鷲鼻の老人が、手足を炎でできた鞭で切り裂かれて死んでいる様子
  • アラズニスト:巨大な石の橋の上で、悪魔や魔物に囲まれた中年の女が誇らしくたっている様子。片手から伸びた炎の鞭が、この絵からザイビドスの絵まで伸びて描かれている

 歴代の「怒り」のルーンロードの絵が飾られているようだった。しばらく絵を眺めていると、ザイレンの「絵」が動き出して襲ってきたが、どうにか退治することができた。

 さらに奥に進むと、円柱形の部屋の行き当たった。壁には赤、青、黄色の石が所々に埋め込まれており、上に上がるための足場として使えるようになっている。通路はどこにもなく、先に進むにはこの壁を登らなければならない。 いかにも「なにかありそう」な場所だ。ミリアルが、「とりあえず赤の石だけ使って登るとか、やってみれば?」と提案した。ロスが提案に従って登っていったところ、なにも問題なく上まで行けた。

 円柱形の部屋を上まで上がって見えたのは、巨大な円形の部屋だった。奥の方にまた次の部屋にいける出口が見える。次の部屋には、細い柱のようなものが沢山建てられているのが見えた。どうやら、この柱を登って奥の部屋へと進むらしい。
 柱を登るいい方法がないかと考えていたところ、紫色のスライム状の生き物が襲ってきて戦闘になった。この生き物は、魔法や武器に耐性がある上に、触手で人をからめとると、飲み込んで消化してくるという嫌な攻撃をしてきた。何人かは実際飲み込まれてしまったが、最終的には無事に腹の中から出てくることができた。
 英雄たちは、さすがとここで疲労を感じ、一旦遺跡から出て休憩をとることとした。

  英雄たち、魔犬と遭遇する

 野営をした場所は、遺跡からそう遠くない切り立った崖がある場所だった。ゆっくり休息をとって明日遭遇するであろうザイビドスとの対峙の準備をする予定だったが、夜中に奇襲を受けてしまった。
 最初は、妙に臭いにおいに気が付いた。すると間もなく、犬のような、犬ではないような四つ足の生き物が襲ってきた。大理石の部屋で幽霊に生気を吸い取られていたリーリアは、「命が大事」と一目散に逃げ出した。が、なぜかこの犬は執拗にリーリアを追いかけていった。犬はリーリアを組み伏せると、致命的な一撃を加えた。が、リーリアにはアシャヴァの加護があり、なんとか紙一重でこの攻撃を耐えることができた。犬は、結局駆け付けた仲間によって退治された。不思議なことに犬の死体は残らず、地蒸発するように消えてしまった。なぜ、この犬はリーリアを付け狙ったのだろうか。

  英雄たち、ザイビドスと会う

 柱の部屋に戻り、それぞれの方法で上に登った。たどり着いたのは、さらに巨大な円形の部屋だった。部屋の真ん中には、透明に透けて見える6首の蛇の亡霊がいた。この蛇は、それぞれの口から炎の塊を吐いて襲ってきた。幽霊は、どうやら部屋の真ん中から移動してこないようなので、炎をかいくぐりながら奥の通路へ逃げ込んだ。
 通路の先には、かつてはあでやかであっただろう部屋があった。部屋の奥側は4段の階段でこちら側より3ftほど高くなっている。こちらを見下すような場所に玉座があり、その上には、黒いローブをかぶった男が座っていた。男の両腕、両足は鎖で玉座に縛り付けられていた。玉座を挟むように右と左に女性の像が建立されていた。像はそれぞれランサーを持っており、その切っ先は玉座の男の方を向いていた。この男が、ザイビドスなのだろう。
 ローブの男の顔は、フードに覆われた暗闇の奥にあって見えない。ただ、その暗闇の中に、小さな赤い光が2つ見えた。この小さな光が英雄たちを値踏みするように左右に動くと、小さなかすれた声が全員に聞こえた。

bring... me... Xiren...

 絞るようにそれだけ言うと、男は押し黙った。それに呼応するかのように、女性の像が男の体をランサーで貫く。男は何も言わないが、苦痛に耐えるように体が小さく反応した。ザイビドスは、不死の呪文をかけられたうえで、1万年もの長きにわたって苦痛を与え続けられているのだ。
 どういうことかは分からないが、ザイレンの死骸を持ってきてほしいようだ。ザイレンの墓所は、一つだけ空いていない石柱の場所だとあたりを付けて、来た道を戻ることとした。6首蛇の幽霊は手ごわかったがなんとか退治した。
 一つだけ空いてなかった石柱の前に戻り、「ザイレン」と唱えると、果たして石柱が動いた。ルーンロードの墓にしてはなにも飾り気がなく、ただ小さい部屋の中に小さい人間1体分の骨が置いてあるだけだった。ミリアルが頭の骨を取り出し、懐にしまった。そして、再びザイビドスの玉座へ戻って、足元にザイレンの骸骨を置いた。
 玉座の男は、身を乗り出そうとしたが、鎖によって阻まれた。静かな部屋の中に、小さな金属音が響く。首だけを前に突き出し、なるだけ近くで骸骨を見ようとしているようだ。そうしているうちに、フードでおおわれていた顔が明らかになった。それは、黒い闇をまとった骸骨だった。眼窩にはくぐもった赤い光がともされている。男は、大きく口を開けると、次のように言った。

Xiren... I am... sorry...

 言うや否や、ザイビドスの体から力が抜けていった。フードから頭が転がり落ちてザイレンの骸骨と同じ場所に並んだ。そして

Alaznist... walks again... while I remain in chains... You have... endured the ordeal... but you do not serve... you must destroy... her... before she... destroys you...

 というと、目から光を失って、動かなくなってしまった。

  英雄たち、Forges of Wrathに入る

 ザイビドスの言ったセリフは、謎めいていた。が、おそらくアラズニストが復活してもうすでに活動を開始しているのだろうと英雄たちは考えた。とはいえ、なにかすぐにやらなければならないことはない。サーシャ船長と約束した戻る日にちまでまだ余裕があるので、ハロウ・マウンテンで行っていなかったところを回ってみることにした。
 ケルフードのキャンプ地から北に道なりに進み、石造りの古い倉庫を目指した。倉庫の周辺には焚火をしたあとと、木の枝で作った簡易シェルターを発見した。またさらに調べてみると、3人の人間の死体があった。全員、獣のようなものに襲われたようだ。内臓を食べられている。3人とも、ヤマソスの邪印を持っていた。マガ・スズールと一緒にこの島に来た者たちだろうか?
 石作りの倉庫には入り口がなかった。おそらく中に入る仕掛けがあると思われたが、調べてもよくわからない。最終的には、ロスバルスラクユタが壁を粉砕して中への入り口を作った。
 中に入ると、天井にフレスコ画が描いてあった。カニのような姿をした悪魔が人間たちを生贄にささげている様子だった。悪魔は人間の手と、大きなカニのハサミと、カマキリのような手と、サソリの尾のようなものが生えている。
 床を見ると、大きな穴が開いており、下に通じているようだ。新しいロープが垂らされており、最近だれかがここから下に行ったことが分かった。
 その後、炎の精と戦い、巨大なアラズニストの顔を調べて宝物を入手し、モザマーがロデリックス・コーヴに行くのに使っていた魔法のポータルを発見した。調べてみたところ、マガ・スズールがポータルの術式を変更し、ここから遺跡の奥に転移するために使ったことが分かった。ポータルは、ミリアルが破壊した。
 また、古代の鉱山の跡地も発見した。ここでは、かって希少金属を採掘していたようだ。
 さらに奥に行くと、モザマーがヤマソスを祭っていた祠を発見したが、それ以上興味をひくものはなかった。

  英雄たち、「派手な格好をした3人組」を探す

 最後に、ミリアルが「邪教の神殿の地下でやりすごした奴らを探してみよう」というので、もう一度神殿の地下へ行ってみた。しかし、神殿の地下の図書館が荒らされていたことと、何者かがここで数日間いただろうということだけしかわからなかった。
 結局「ファンシー・ピープル」は誰だったのだろうか。

(つづく)