トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

20200118

第六話


  英雄たち、ゴールズの像を見る

 オーガス・プレムの部屋にあった隠し扉を抜けると、長い通路の先に下へ降りる螺旋階段があった。階段を下りていくと、2本のランサーで飾った門があり、そこに以下の言葉が書いてあった。

Those who pass beyond, aspirant or doomed, may endure the Gauntlet to earn Wrath's blessing.

 門の先には、幅広い通路があった。通路の両側には、人間の像が3体づつ配置されていた。通路の反対側には、奥へいく扉が見える。ミリアルが通路の罠を調べ、解除した。...つもりだったが、どうやら手ごわい罠だったようで、通路を奥に進もうと一人で先に進んだロスが通路の中ほどまで進んだところ、床から爆炎が吹き上がった。ロスは直撃を受けてひどいやけどを受けた。近くで見ていたミリアルも、あおりをくって体をあぶられてしまった。
 その後慎重に罠を解除し、奥の扉に進む。扉はカギがかかっていたが、これは問題なく開けることができた。扉を開けると、大きな部屋があった。部屋の大部分は水で満たされた浅いプールになっていた。そのプールの真ん中には小さいプラットフォームがあって、その上には人間の像が1体設置されていた。部屋の周辺はプールより一段高くなっていて、歩くことができる。部屋の北側にある扉を調べてみると、こぶし大の石を差し込むくぼみがあって、そこに鍵となる石を入れると扉があく仕組みになっているようだ。
 ちょうどいい大きさの石はないかと周りを見渡してみると、プラットフォームの上の人間の像が、赤い宝石を加えているのが分かった。この赤い宝石を像の口から外して、扉のくぼみにはめてみると...扉は開かなかった。
 その代わり、プラットフォーム上の人間の像が動き出して、英雄たちに襲い掛かってきた。像は、最初こそ石化の魔法が解けて動き出した人間のように見えたのだが、次の瞬間に体から4本の触手を生やした化け物の姿に変化した。この触手に触られると、体が軟体化する呪いにかけられるのだった。英雄たちは呪いの力に大変苦戦するも、最終的には退治することができた。
 化け物は、最後ロスにとどめを刺されたとき「オレ、ゴールズ。たす、けて」と絞り出すように言った。なお、ゴールズの死体は、見えない力でプラットフォームの上に戻され、やがて元の人間の石像に戻っていった。ここで、扉の守護者として永遠の時を過ごしていくのが、この男にかけられた呪いなのだろうか。

  英雄たち、ロー・カスに会う

 北側の扉を開けるのに適した宝石が見当たらないので、部屋の南側にある扉から奥に進んでみることにした。よく見てみると、南側の扉は、なぜか破壊されて、無理やり開けられていた。扉の先には、奥に通じる通路があって、4体の石像が設置されていた。石像はすべて頭がなかった。床には、石像の頭であっただろう髑髏が転がっていた。髑髏はひどく破損していて、まるで意図的に破壊されていたかのように見えた。ここで戦闘があったのか?
 通路をさらに先に進むと、大きな空間を見下ろすバルコニー状の場所に行き当たった。バルコニーの真ん中には、小さな台があって、その上には白いこぶし大の宝石が置いてあった。バルコニーの下の大きな空間は、闘技場のように大きな円形で、競技者が入場するための入り口と、魔法陣が書いてあるアルコーブがあった。しばらく眺めていると、闘技場の真ん中に人間型のイメージが現れて、タッシロン語で次のように言った。

Greetings, aspirants of her majesty, Runelord Alaznist. I am Lo-Kath, our runelord’s fighting master, and you have earned the honor of attempting to gain her notice. Can you best my ragged reflections? The reward for success is the opportunity to wager your own lives in the Gauntlet of Fury.

 すると、アルコーブにある魔法陣から、人間型の化け物が2体現れて、闘技場内をうろうろ動き始めた。本来は、入場口からこの闘技場に入り、人間型の化け物を倒したうえでバルコニーに上り、そこで得た白い宝石をもってプールのある部屋に行く段取りのようだ。そうと分かれば、化け物のことはほっておいてかまわない。白い宝石を掴んで、プールの部屋までもどった。

  英雄たち、マガ・ズールに会う

 プールの部屋に戻ると、英雄たちに魔法がかかって「ゴールズの口から宝石を取り出し、扉にはめ」たい衝動にかられた者たちができてきた。しかし、魔法に打ち勝った者たちが素早く白い宝石を扉のくぼみにはめ込むと、魔法が解け、ゴールズの石化が解けることはなかった。
 扉の先は、長い通路になっていた。右側の壁に3つ、左側の壁に3つのアルコーブがあり、それぞれに人間の像が入っていたようだったが、なぜかすべて破壊されていた。左側の壁の2番目のアルコーブには、比較的新しい人間の死体があった。髭を生やした乱暴そうな男で、皮の鎧を着て、ロングソードを持っていた。この男が一人でここまで来たとは思い難い。他にも仲間がいるはずだが...。
 通路を抜けると、大きな長方形の部屋に出た。部屋の東側には大きなにはプールがあり、そのプールを挟む形でドアが両側にひとつづつあった。左の扉には「Scald me with your wrathful magic」、右の扉には「Scour me with your furious arms」と書いてあった。左の扉の下には、錬金術師がつかうフラスコの破片が散らばっていた。相談した結果、左の扉を開けてみることにした。
 扉を開けると、長い通路が見えた。通路を奥に進むと、円形の巨大な空間に出た。空間を囲んだ壁には魔法で光るルーンが彫り込んであり、部屋全体をぼんやりと照らしている。北側の壁には、大きな魔法陣が書き込んであり、その中心に明るく光るオーブがはめ込まれていた。南側には鉄格子で仕切られた牢のような小部屋が見えた。薄暗い部屋の中には、なにやら人間が一人いるように見える。牢のような部屋を挟む形で、両側にアルコーブが1つづつあった。アルコーブの中は、暗くて見えない。すると、牢の中の男がこちらに気が付いて、大声を出した。「その光るオーブに触るな!この牢屋に飛ばされるぞ!」
 忠告に従ってオーブに触らないようにしていると、壁のルーンが点滅を開始した。しばらくすると、一部のルーンだけが光り、一部のルーンは光るのをやめてしまった。これは、どういうことなのだろう。周りを見渡すと、牢屋の横のアルコーブから、2体の紫色の泥の塊ようなものがにじり出てきた。塊は、人間の手のような物を何本も生やしている。このたくさんの手が、地面に指を突き立てながら塊の本体を器用に押し出しながら移動してくる。そしてこの塊、臭い。死骸のようなにおいがした。
 どうやら塊は、動く死体の破片が群れて行動しているもののようだ。武器で攻撃しても、破片の一部を破壊するだけで全体には影響を与えることができない。英雄たちは魔法の力を借りながら、動く死骸を退治した。
 また、牢に閉じ込められていた男が、「壁のルーンに対応する魔法をかけろ」といった。ルーンを読めるミリアルが対応する魔法のスクールを読み解き、リーリアとともに魔法をかけていくと、最後には壁のルーンが全く光らなくなった。すると

WELL DONE. EMERGE, APPRENTICE, AND ACCEPT YOUR REWARD!

という声がして、中空にクルミくらいの大きさの石が現れ、英雄たちの胸元までゆっくり降りてきた。牢屋に入っていた男だが、いつの間にか鉄格子が開いており、英雄たちのそばまでやってきていた。男の名前は、マガ・スズールといった。

  泣くドラゴンの門をくぐり、マグニマーに帰る

 マガ・スズールは背中が老人のように大きく曲がった男だ。体中にできものができており、背中にはタコのような触手が生えている、異形だった。ヤマソスという神をあがめる集団から派遣されてハロウ・マウンテンに仲間とともに来ていたが、途中で仲間たちは死んでしまったらしい。先ほど空中から落ちてきた石は「アビサル・ルーンストーン」というもので、ヤマソス教団はそれを手に入れたいらしい。マガ・スズールは、ヤマソス教団が「変化のはやり病」という名前の薬を開発しようとしていると述べた。その薬は、持っている能力を何倍にも強化させるということだった。アビサル・ルーンストーンは、その材料として有力視されているようだ。
 円形の部屋から戻ってプールのある部屋まで来ると、先ほどはただの水たまりだったプールが、とても澄んだ水の色になっていた。英雄たちはこれを一目見て、このプールに足を踏み込むと、転移の魔法がかかってどこかに瞬間移動するということを理解した。なぜそう理解できたのかはわからない。どうするか顔を見合わせる英雄たちであったが、ロスが誰にも相談しないでプールに飛び込んでしまったため、他の者たちもそれを追ってプールに飛び込むことになった。
 転移された先は、古びた祠の中だった。光が差し込んできている方向に向かうと、外に出られる門があった。門から外に出ると、門には2匹の細長い竜が泣きながら絡み合っている装飾がされていた。これが、ジュリアの言っていた「weeping dragons」に違いない。ここは祠への入り口で、引き返して内部の探索を続けることもできた。が、マグニマーにヤマソス教団が潜伏していることをシードロン評議会にいうことが大事だと判断し、一度もどることにした。

  リーリア、不思議な夢を見る

 帰りの船の中で、リーリアが不思議な幻視を見た。不思議な魔法の道具だった。長い取っ手の先から、数枚の札のようなものが生えているように見えた。この札のような部分は、まるで生きているかのようにゆっくりとたなびいていた。そして視界の中に女性の手が見えた。手が、魔法の道具を取り上げると、視界が完全に暗くなって、何も見えなくなってしまった。
 これが何を意味しているのか?リーリアはシードロン評議会に相談してみたが、これだけの情報ではよくわからないようだった。ヘイドマーチは、ヤマソス教団については情報収集することを約束してくれた。

  再びハロウ・マウンテンへ。英雄たち、ゼルランドに会う

 しばらくマグニマーに滞在し、英気を養った後、英雄たちは再びハロウ・マウンテンに向かった。今度は直接泣くドラゴンの門まで行き、そこから中に入ることとした。門の奥には、大きく両手を広げている男の立像があった。男の四肢、首、胴体は切断されていた。切り口は魔法の力で支えられていて、切断した体の部分は、切られたまま宙に浮いているようだった。この不気味な像をよけておくに行くと、頭の中にかすれた声が聞こえた。

Seek me... free me... become my wrathful champions...

 奥にあったのは、巨大な2階建ての空間だった。1階部分は30ft幅の長い通路だった。ここには、天井を支える柱が10本立っていた。それを囲むように2階部分ができていた。2階部分からは1階部分を20ft下に見下ろすことができる。1階の東側に階段があって、そこから2回に上がることができるようになっていた。階段の近くには、たくさんの女性の像と、それにたいして土下座をしている男の像があしらわれていた。2階部分には扉はなく、出入り口になりそうなところはすべて巨大な石で埋め立てられていた。
 他に目を引いたのは、2階の北側にある巨大なアルコーブだった。その中には、高さ10ftの灰色がかった石のオベリスクが設置されていた。石には、6首の蛇のシンボルが描かれている。この蛇の首は、すべて途中で切られていた。シンボルの下には、鼓動するように光ったり暗くなったりする文字で、何か書いてあった。タッシロン語のようだ。ミリアルがそれを声に出して読む。

Within these walls lies a failed patron, betrayed by a student...

 というところまで読んだところで遠くで石がこすり合わされるよう鈍い音がした。この文字を読むことで、何か起こるような仕組みになっているのかもしれない。すると突然、英雄たちの背後に空中に浮遊しているローブ姿の人物が現れた。ローブの男は、古いヴァリシア語で次のように言った。「アラズニスト...これがザイビドスの秘密を教えたものに対する報酬か...。そして汝らが我が牢獄を開けたものか...。では我も古のしきたりに従って、相応の報酬を与えなければなるまい...。」
 そして次に唱えてきたのが、アイス・ストームの呪文だった。自分がされた仕打ちを、他人にもしようというつもりのようだ。英雄たちも応戦するが、このローブの男には魔法の効果がとても少ない上に、傷を与えても見る間に治ってしまう。長い戦闘の果てに、英雄たちは撤退を決断した。逃げるときにちらりと見た男の顔だが...。人間の死骸に沢山の線虫がたかっているような見た目だった。

(つづく)

  マグニマーの皆さんに聞いてみました。

  • Mさん、人間:「帰りの船に乗せてくれてありがとね。」