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20190831

第二話

  街中のモンスター

ロスが街中をふらついていると、物陰になにか動く生き物を見つけた。「ははあ、これが噂に聞いていたゲロ男爵か」と好奇心で近づいていくと、予想に反してそこにいたのは全身が紫色で、前足2本で地面に立ち、後ろ足2本が前にそりだして手の役割をしているなんとも不思議な生き物だった。やや小ぶりの胴体には、場違いなほど大きい口が付いていて、その牙は電気を帯びているのか、ときどき光を発していた。
ロスはグレイブを使って距離を取ながら「大丈夫、怖くない」とこの奇妙な化け物と意思疎通を図ったが、努力もむなしくかみつかれてしまった。思いのほか噛みつきの威力が強かったため、ロスも本気で反撃して叩き殺さざるを得なかった。死体をミリアルに見せたところ、「これは、タッシロン時代に兵士として使われていたシン・スポーンのできそこないに似ている」らしい。バルスラクに化け物の足跡を追跡してもらってどこから町にやってきたのか調べてみたが、「広場の方向から来た」ことしかわからなかった。広場の枯れ井戸が怪しいと思った英雄たちは、井戸の下から何かが出てきたりしないように、ガードの隊長のジュレットに頼んで井戸に木製の蓋を付けてもらうことにした。
そのときジュレットが気になることを言っていた。「ドワーフのキャラバンがゴブリンに襲われて、2人誘拐された。ゴブリンからドワーフを救い出すために配下を3人派遣したのだが、まだ帰ってきていない」

  ゲロ男爵との夕べ

リーリアがレモン水を買ってのどの渇きを潤していると、頭から強烈に臭い匂いがした。何が起こったかと上を見上げると、猫ほどの大きさの小太りの人間...しかし顔はなにやらネズミにもみえる...が口から臭い液体を吐きかけてきていることが分かった。リーリアが抗議の声を上げると、この妖精...ゲロ男爵は「ブスブスブース」と罵詈雑言をあびせかけてきた。たまらず逃げ出すリーリア。魔法を使ってなんとか清めたものの、ねっとりとしたゲロの感触はしばらく記憶として残ってしまうのだった。

  ロデリック邸へ再び

毒蜘蛛に襲われて逃げかえってきてから1週間。英雄たちの傷は癒えて、再びロデリックの屋敷へと探索に行くことになった。前回ひどい目にあった毒蜘蛛は、バーニング・ハンズの魔法と、火炎瓶、松明などでなんとか退治することができた。
屋敷には亡霊、幽霊、アンデッドなどが住み着いており、探索は難航した。しかし、ロデリック卿の寝室を調べたときに「何者かが以前ここを家探しして、レイピアの柄のような形をしたものを宝箱から盗んでいった」ことが分かった。
また、ロデリック卿本人の幽霊も現れ、英雄たちに次のように語りかけた。

My map. They took my map. It holds the key. To the vault. Baraket will control them. It will control you! I should have taken the gauntlets, but I fled. I was a coward. You must be brave. You must endure where I did not. The stone house. The vault. It lies still in the vault. You must save my Cove. Save. My. Cove.

地図とは、屋敷の一階にあった、チャール・ウッドの地図だと思われる。「SH」という印があるが、これがストーン・ハウスなのか。SHの横には、タッシロン時代のシードロンの印が書いてあった。

  調査、聞き込み

屋敷から帰ってきた後、ロデリック卿の言ったバラケット、ストーンハウス、チャールウッドについて調べてみることにした。それによると、次のようなことが分かった。

  • ルーン・ロードが持っていた武器の一つが、バラケットだったかもしれない
  • チャールウッドには、トゲグチ族のゴブリンが住み着いている。トゲグチ族のゴブリンは唇に動物の骨などを刺して飾りにしている一族らしい
  • チャール・ウッドにはロードキーパーというチンピラ達がおり、通行料という名目で金品をせしめている。リーダーは「ナイト・スラッシュ」という名前のオラクルらしい
  • 地図上のSH印まで行くには、川をさかのぼったところにある老婆の川渡しで渡河し、森を抜けていくのがよい。片道2から3日程度の旅程
  • 誘拐されたドワーフも、取り返しに行った町のガード達も、だれも帰ってきていない

  ロード・キーパー

英雄たちは1週間分の食料を用意すると、チャール・ウッドへ探索の旅に出た。予定通りシャバル川を川上に歩き、ハーレイという名の老婆の小舟で川を渡った。ところが、対岸で待ち受けていたロードキーパーの一味が「安全な旅を誰もができるようにするため徴収している、通行料という名の寄付」をなんと一人頭10GPも要求してきた。このぼったくりにはさすがの英雄たちも我慢ができず、ロードキーパー3人組をカラースプレイの魔法と武力によって制圧した。
当然であるが、悪人とは言えこの程度のことで私刑を行うような英雄たちではない。あとあと面倒なことになるかもしれないが、3人組からは武器と魔法の道具を取り上げ、逃がしてやることとした。これで反省でもしてくれればいいのだが。初日はここでキャンプを行った。

  町のガード達

チャールウッドは大きな常緑樹がうっそうと生い茂っていた。下草が大きく育たないのでそんなに歩きにくいわけではない。しばらく奥へ歩いていると、森の中にある広場のような場所にたどりついた。小石で作った砂利道が、丸い広場を縁取りするように囲んでいる。広場の中心には枯れたオークの木が1本生えていて、その根元には死体が3人分転がっていた。
バルスラクが警戒しながら死体に向かって歩いていくと、果たして地面のなかから人間型の化け物が襲い掛かってきた。この化け物に噛みつかれると、両足に耐えられない痛みが走る。だが、英雄たちは精神の力でこれに耐え、化け物を退治した。
死体は果たして町のガード達だった。死体はハエやウジがたかっており、その異臭は信じられないほどであったが、ちゃんとした埋葬をするために町まで運ぶこととした。このため、ドワーフの探索は一度諦めることとなった。

サンディオン・メモ)3人の死体は、その後これと同じ化け物となって墓場から逃げ出すこととなるのだが、それはまた別の話...。ジュレット隊長と、隊員の家族は英雄たちに感謝していた。

  チャール・ウッドへ

旅の疲れをいやす暇もなく、英雄たちは再びチャール・ウッドへ向かった。森を抜けると、大きな平原があり、その中に「ストーン・ハウス」があるはずなのだが、目につくような大きな建物はない。平原には腰の丈ほどの草が生えているため、大変歩きにくかったが、まずは地図上の「SH」マークのところまで歩き、そこで野営することとなった。なお、夜にあたりを見回すと、東側遠くに焚火の光が見えた。他にも野営している者たちがいるようだ。警戒が必要かもしれない。
と思っていたところ、翌朝あちらのほうからわざわざこちらへ訪問があった。ロードキーパーの一団だ。ナイト・スラッシュとおぼしき老婆を中心に、腕っぷしの強そうな男たちだった。川辺での一件のことを知っているのか、ナイト・スラッシュは低姿勢で、トゲグチ族ゴブリンの居場所を教えてくれた。

  ゴブリンの洞窟へ

まずは誘拐されたドワーフの救出を第一目標として、ゴブリンの住処へと向かうこととなった。草原は大変歩きにくく、ゴブリンの住処に近づいたころには、もう夕方になろうとしていた。最初に2匹のゴブリンを発見したとき、ロスが「私が交渉してきます」と単独でゴブリンと話をしに行ってしまった。心配したミリアルが草に隠れながらロスを追い、他のメンバーは気づかれないように遠くからついていくこととした。
ロスは、どういうことだか最初のゴブリンに大変気に入られたようで、住処の洞窟まで連れて行ってもらうことになったようだ。洞窟の入り口では他のゴブリンが見張りをしていたが、一緒に洞窟の中に入っていった。ゴブリンたちは人間の子供のように歓喜の声を上げており、ミリアルはもちろんのこと、他の英雄たちにも気づく様子がない。
洞窟の中は、ゴブリンたちの食べ残し、糞尿、その他正体不明の死骸などがあり、まるで下水のようであった。幸いだったのは気温が低いせいで、腐敗があまり進んでないことか...。そうでなければ悪夢のような悪臭だったであろう。
ロスは、洞窟の大きな広間まで連れていかれて、族長と対峙することとなった。ミリアルと私は気づかれないように近くから様子をうかがう。他の英雄たちはやや離れたところから、ミリアルからの合図を待つ体制になっている。しばらく見ていると、どうやら族長とロスが1対1で戦うことになったらしい。それをとりかこむ20匹以上のゴブリン。洞窟の中は、お祭り状態のゴブリンたちのはやし立てる声でいっぱいになった。
戦闘開始。ロスのグレイブが族長の右肩に大きな傷をつけると、族長は本気となったのか呪文で身体強化を行った。魔法のシールドが現れ、ロスのグレイブをはじき始める。勝機ありとみた族長は、ドッグスライサーに炎をまとわせながらロスを襲った。ころあいかとミリアルが後方に合図を送り、自身はゴブリンの集団に向かってカラースプレイの呪文を吹き付けた。1対1の戦いに乱入してきた人間に激怒したゴブリンたちは、大挙してミリアルに襲ってきた。が、後ろから駆け付けたバルスラクユタが盾になって食い止め、リーリアミリアルがカラースプレイを何度もかけることによって大部分のゴブリンを戦闘
不能状態にする。族長はロスを切り倒すと、味方のゴブリンごとファイアボールの呪文を打ち込み、英雄たちを瀕死の状態にした。しかし、アラモスが強力な回復呪文を何度もかけるため、英雄たちは倒れない。やがて族長は逃走。ゴブリンスネーク・ソーサラーは倒され、「ナイトアイ」という名のゴブリン・アーチャーは捕虜になった。大部分のゴブリンたちは、族長のファイアボールで黒焦げになっていた。

  囚われのドワーフ

ナイトアイに案内させ、囚われのドワーフを救い出すことができた。2人は過度の栄養失調だったが、食事を与えると話せるくらいには回復した。英雄たちも戦闘の疲れをいやすため、(ゴブリンの死体だらけの場所だが)1夜ここで休憩することとした。

  魔法陣

1晩休息して魔法と体力が回復した後、洞穴をもう少し奥まで調べてみることにした。なぜか洞窟の中に人工的な部屋、通路などがあった。ミリアルは「ここが、ロデリック卿が冒険者時代に調査していたタッシロンの遺跡に違いない」とデテクト・マジックの呪文を使って手掛かりを探した。すると、転送の魔法陣がある小部屋を発見。興味津々のミリアルは、皆に止められたものの魔法陣に入っていなくなってしまった。しばらく待っていたところ、再び魔法陣に現れた。説明によると、ウォールオブフォースで仕切られた小さな部屋へと転送されたらしい。部屋には、餓死したゴブリンの死体と、戻ってくるために使う魔法陣があったそうだ。ミリアルはさらなる調査を主張したが、ドワーフ達の体調のことを考え、一旦町まで帰ることにした。

(つづく)

  ロデリックス・コーヴの皆さんに聞いてみました。

  • Aさん、人間:「え?ミリアル?うーん。誰だっけ?」
  • Bさん、人間:「ロス?いっつもグレイブ持ってるよね。美人がだいなしだね」
  • Cさん、エルフ:「ユタさんによると、町の中の道がよく整備されていると、化け物が町のなかに入ってこないみたいなんです。というわけで、毎朝掃き掃除することにしました。」
  • Dさん、人間:「リーリア?あ、ゲロ男爵の洗礼を受けてたよね。かわいそうに」
  • Eさん、人間:「バルスラク?リンドウィンから聞いてるよ。なんか強いみたいだね」
  • Fさん、人間:「アラモス?あ、足引いてる。最近見るよね」
  • Jさん、人間:「タウン・ガード募集中です。週給15GPでどう?」
  • Lさん、人間:「油断してただけなんだからね!次は負けないんだから」
  • Nさん、ゴブリン:「タイマンには勝ってたのに...。ニンゲンヒドイ」