第一話
伝説の始まり
それは、真夏の昼下がりのことだった。
ここは、ロデリックス・コーヴという小さな町。キャヴァリ川の下流にある小さな港町だ。町の中心にある小さな広場でそれは起こった。
このあたりの街道で通行料を徴収しているヤクザなグループ、「ロード・キーパー」が、町のチンピラ組織、「ホーンド・ファング」を挑発したのだ。どうやらホーンド・ファングは最近落ち目らしく、ロード・キーパーがシマを荒そうとしているようだった。
両者の言い争いはだんだんエスカレートし、ついに武器に手をかけるまでになった。
(サンディオン・メモ)この広場は「サークル」と呼ばれており、巨大な石が広場のところどころに配置されている。昔はこの場所で儀式的な催しがされていたと伝えられている。ここには古い枯井戸がある。夜になるとお化けが出るそうだ。
そこに割って入ったのが、我らが若き英雄たちであった。ロス、ユタ、ミリアル、アラモス、バルスラク、リーリアの6人は、その場を取りなし、チンピラ達を立ち去らせた。
その賞賛すべき行いを見ていたのが、エルフの女、オードラーニだった。彼女は6人(と、私)を食事に誘った。相談したいことがあるとのこと。
(サンディオン・メモ)エルフは普通身長が高いが、オードラーニ嬢はかなり背が低い。やや猫背で小声でしゃべる。エルフに多い陽気なタイプではなかった。ファラズマの教会で墓守をしている。
オードラーニは、この町に「何か不吉なこと」が起こるのではないかと心配していた。その根拠は、この町の創始者のロデリック卿の亡霊を見たからだという。ロデリック卿は、町に不幸なことが起こりそうになると、化けて出てくるのだ。前回は、町長がリドルポートへの上納金をくすねていた時に会わられたのだとか。
彼女は又、先日起こったホーンド・ファングと、新興宗教「素晴らしき家」との小競り合いについても言及した。そして、そのあとホーンド・ファングのメンバーが6人死体で見つかったことも。死体のうち1人は首に刺し傷があったが、残りの5人には目立った外傷はなかった。普通の死に方ではない。即死呪文の類だろうか。
彼女は、何が起こっているのか調べて町を災厄から守りたいのだが、自分自身の力ではそれが無理だと分かっていた。そこで、英雄たちへ白羽の矢が立ったというわけだ。我らが英雄たちは、完全なる善意をもってその依頼をききいれることにした。
調査、聞き込み
いろいろ調べていると、次のようなことが分かった。
- ホーンド・ファングは確かに素晴らしき家のメンバーと口論をしていたが、ホーンド・ファングが殺害されているところを見た人はいない
- カイネイという少年がそれを見たという噂がある。カイナイはホームレスだ。いそうな場所を探したが、見つからなかった。
- サークルの古井戸の中にロープにつかまって入ってみたが、下には大きな地下空間があって、下の方に水が溜まっていることが分かった。
- この町には「ゲロ男爵」というグレムリンがいて、油断をすると頭の上からゲロを吐きかけられるらしい。
- ロデリックの亡霊が街中に出たのならば、町はずれにあるロデリックの屋敷に行けばよりはっきりと何を伝えたいのかわかるのではないか
カイナイを見つけられなかったので、他の手掛かりを求めてロデリック卿の古屋敷を調べてみることとなった。
ロデリックの屋敷へ
ロデリックの屋敷は、町から少し離れたところにあった。ロデリックは昔、ここでキャヴァリ川を監視して、リドルポートから海賊がやってこないように見張っていたらしい。川の湿気と、年月が容赦なく屋敷を蝕んでいた。
英雄たちが屋敷に入ろうとすると、ピンク色の蚊のような生き物2匹がどこからともなく飛んできて、それぞれ1人づつの頭にしがみついた。吸血モンスターのようだったが、血を吸われる前に叩き殺すことができた。
(サンディオン・メモ)この生き物は、「スタージ」という名前で、このあたりにはよくいるとこのこと
ボロボロになっている玄関の板を踏みぬかないように注意して見ていると、銀でできたロケットを発見した。(これは、のちにガード・ハウスのジュリット隊長のものだとわかり、本人に返還されることとなった。)
屋敷の中に入り、リビングからキッチンに進んだところで、巨大ゴキブリと毒クモの群れに襲われることになった。巨大ゴキブリは退治したものの、クモの群れは武器でたたいても有効な傷を与えられないため、一方的に攻撃を受け、無念の退却となった。
町に戻った後、屋敷で見つけた金目の物(古い食器など)を換金し、しばらくクモにやられた傷をいやしてからもう一度屋敷へと向かうこととなった。
(つづく)