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20231111

黄金の荷船(後編)


 5日目


まずは一行の目的であるゴールデン・コマース・バージの入手に向けた作戦を整理する。現状でとれる手段はおそらく三つ、

1. どうにかして大金を手に入れて普通にオークションに勝つ
2. ゴールデン・コマース・バージを襲撃して強奪する
3. 有力なオークション参加者を退かせて運営に怪しまれない程度の低い(が手持ちでは払えない)額でオークションに勝ち、イクサンダーの"ジャマー"を使う

1はフォーチュンズ・ハートに滞在する金持ちを襲うなどすれば不可能ではなさそうだし、2も警備の規模はアブサロム・ステーションの重要な場所に比べれば警備は薄いと思われるので不可能ではなさそう。しかし、もしうまくいくのであれば3がリスクが一番低いだろう。
前日までで主なオークションのライバルたちは対処できたと思われる…が、まだ一行の知らないライバルがいるかもしれない。
今日の夕方にカブラット・リボン・ダンスがあり、フォーチュンズ・ハートに滞在する多くの有力者が参加するだろう。情報収集にはうってつけだが、オリファウント強奪の件で一行を狙うEJ CorpのCEOもカブラット・リボン・ダンスに興味があり、参加予定という噂も聞いている。慎重に行動する必要があるだろう。変装していて唯一他の有力者と交渉ができるチューファと、例によって比較的マシな服を持っているフォウが行く事にする。

ダンスの舞台は夕方に始まるので、それまでは時間がある。各自で思い思いの方法で情報収集してみることにする。
下手な行動をするなと言われていたシアンは外にも出れず、情報収集も得意ではないので部屋でぼーっとしていると掃除ロボットにも邪魔もの扱いされる始末。机の上に正座してじっとしていた。それを見ていたタイタスはいたたまれずに外に出るが、同じく情報収集は得意ではないので、公園のベンチで缶コーヒーを手に何時間も座って、ただ時間をつぶしていた。
ウバタマはネットでカブラット・リボン・ダンスに興味がありそうな有力者について調べてみるが、特にめぼしい情報はなし。チューファはマライーンに情報収集を依頼するが、すぐには結果は出なさそう。フォウとアルマトランは二人で出かけて近所で情報を聞いて回ったが、やはりめぼしい情報は得られなかった。
午後も同じように情報収集をしていると、オークションの参加者らしい人物の名前が浮かび上がった。ラルバリアンというGnomeで、Tech ItemやAugumentationを扱う企業の経営者らしい。イクサンダーにどのような人物か調べてもらう事にはするが、この後のカブラット・リボン・ダンスでは彼にコンタクトを取りたいところだ。

カブラット・リボン・ダンスとは、長いリボンをつけてひらひらさせながら踊る、伝統的な舞踊で、若い人よりも伝統を重んじる人に人気があるらしい。二部構成で第一部は舞台上で、第二部では舞台の上の空中でリボンを使い宙に浮きながら舞うという構成になっているようだ。
会場に行くと豪華な飾りのついた席と舞台があるホールに通される。BGMのオーケストラとダンスの準備が整うと、一度会場の照明が落とされ、VIPが入場してきた。件のCEOも入場してきてボックス席に入るのが見えたが、変装しているチューファとフォウに気が付いた様子はない。VIPの入場が終わると照明が戻り、オーケストラの演奏に合わせて色とりどりのリボンを付けたダンサーたちが舞台を舞う。

そのまま第一部が終わり休憩時間になった。パーティースペースに軽食や酒が用意され、第二部が始まるまで歓談ができるようになっている。
チューファはネットで見たラルバリアンの姿を探すと、見つける事ができた。話しかけて挨拶をし、社交辞令的にビジネスの話から会話をする。ラルバリアンは「そちらと私のビジネス領域はあまり関わり合いがなさそうですが…」とあまり乗り気ではない感じなので、思い切って「ゴールデン・コマース・バージのオークションには参加するんですか?」と直球に質問をしてみる。ラルバリアンは少し驚いた様子を見せたが、「そうですねえ、その日の風とサイコロの目次第ですなあ」とかわすような返答で、積極的にその話をする気はなさそうだ。とりあえず連絡先だけは交換する事ができた。

一方そのころ、ヒマなので会場をうろうろしていたフォウはダンサーがざわざわしているのを見つけて、聞き耳を立てに行く。どうも欠員が出ていて困っているようだ。何か手伝える事があるかと直接聞きに行ってみるとダンサーたちはじろじろとフォウの体つきを見て「カブラット・リボン・ダンスは踊れるか?」と聞かれる。ダンスの心得は無いもののAcrobaticsは得意なのでバク転などしてみると「うーん、練習すればいけるかなあ。ちょっと裏で練習してみない?」と言われて休憩時間の間カブラット・リボン・ダンスの練習をさせられる。休憩時間の終わりにもう一度踊らされて「うーん、もう君でいくしかないな。舞台に上がってほしい」と言われ、そのまま舞台に上がり空中で踊る事に。ダンスは会心の出来で舞台もうまくいきダンサーたちにも引き留められたが、CEOもフォウの顔をじっと見ていた気がする…

 6日目


昨日から調べてもらっていたラルバリアンの情報が来ていた。彼はカリストクラットの教義に忠実で、かつ非常にゲンを担ぐ人物らしい。非常に重要な取引でもゲンが悪いと感じると取引をやめてしまう事もあり、そのせいで彼の会社はそこそこの規模にとどまっているようだ。
それを聞いたシアンは「周りで不幸な事が起こると彼はオークションに参加しないのではないでしょうか。例えば彼の召使が彼の家で"飛び降り自殺"するとか」と提案するが、みんな華麗にスルー。とはいえ"不幸な事が起こると"というのはアリかなという事で、チューファがラルバリアンに会うように約束し、その時にアルマトランが人型サイズの黒犬(本当は黒猫になって前を横切るなどの嫌がらせをしようと思ったが、知っている呪文的にMediumにしかなれなかった)に変身して嫌がらせをしよう、という事になった。

チューファがコンタクトを取ると、ラルバリアンが家に招いてくれたので行ってみる。アルマトランはカラスか蝙蝠にでもなって窓から見えるように嫌がらせをしようと思ったが、家には外が見える窓が無かった。チューファはビジネスの話ですが…と間を持たせようとするが、もともとあまり準備していなかったので薄っぺらい内容になってしまう。そこを突っ込まれたチューファは、いっそのことTelepathic Bondしているウバタマと一緒に神秘学の知識を使って縁起が悪そうな事をひねりだそうとしてみるが、さすがラルバリアンもそのあたりは詳しいらしく、なんの現象が縁起が悪いかという解釈で期せずして会話が盛り上がる。
盛り上がった後で明日のオークションも楽しみですね、的に話が終わりそうになってしまったので、このままレストランで夕食でもどうです、と言ってなんとか外に連れ出す。準備していたアルマトランが黒い犬になってラルバリアンの前を横切ろうとすると、怪しい大きい犬を前にラルバリアンは懐から小さい銃を取り出し、容赦なく撃つ。小さいとはいえお金持ちの銃なので大ダメージを受けるアルマトランだが、死ななかったのでそのまま物陰へと逃げた。チューファがあんな大きい黒い犬が現れるなんて何が起こるんでしょう、とフォローしつつレストランへ。ラルバリアンは多少不安がっているようだ。
もはやビジネスの話などせず、オカルト神秘学の話で一通り盛り上がった後でレストランを出る。こういうのはダメ押しが肝心だ、という事でもう一度犬マトランが前を横切る。もちろんまた撃たれるが逃げる。そこにチューファが同じ日に2回もこんな事が起こるなんてどういう事なんでしょう、と追い打ち。ラルバリアンの不安もピークになったようで、急用を思い出したと言ってフォーチュンズ・ハートから帰ってしまった。作戦はなんとか成功したようだ。

明日は朝からオークションなので、作戦を事前に打ち合わせしておく。
午前中は小物の装備品や魔法の品などのオークションで、ゴールデン・コマース・バージのオークションは午後に行われる。落札した場合、支払いとキーの付与は会場で渡される専用のデータパッドを介して行われるらしいので、ここへの細工は必須だろう。宇宙港とオークション会場の距離はDimension Door2回分程度らしいので、呪文さえ使えれば会場から逃げて船に乗り込むのはそう難しくなさそうだ。というわけで、オークション会場で競り落とし、宇宙船離陸まで不正がばれないように時間を稼ぐ役(チューファ、フォウ、ウバタマ)と、キーを受け取ったらいち早くゴールデン・コマース・バージの出港準備をする役(シアン、タイタス、アルマトラン)の二手に分かれて行動する事にした。

 7日目


チューファ、フォウ、ウバタマ、アルマトランの四人がオークション会場に行く。アルマトランはデータパッドの改造のために午前は会場、午後は宇宙港に移動する予定だ。
入り口でオークション用のデータパッドを渡され、自分の口座との紐づけなどを要求される。アルマトランがこっそりとデータパッドに改造してキーの転送をできるようにし、さらにジャマーをセットした。これで引き落としの時に発動するはずだ。

会場に入ると参加者らしき人たちが数十人いる。主なライバルとは話をつけたはずだが、この中の誰がゴールデン・コマース・バージのオークションに参加するのかは分からない…
しばらく待つと司会者が出てきてオークションの説明を行い、午前の部が始まった。様々な装備品や骨とう品の武器などがどんどん流れていく。
午前の部が終わると軽食の立食パーティーが始まる。もう交渉すべき相手もいないのでのんびりと食べていると、会場のドアが開いてGnomeの女性が突入してきた。彼女はラルバリアンの娘と名乗り、ラルバリアンは迷信の信じすぎですでに会社での地位を追われ、彼女がその代理人となった。このオークションへの参加権利もあるはずだ、と司会者に主張している。ここでライバルが増えてしまうと困るので、チューファがそれは無理があるでしょうと入ってみる。ここの参加権は会社の責任者としてのラルバリアンではなくラルバリアン個人へ与えられた権利なので、引き継ぎませんという主張をすると、実際にそのような会則があったようで司会の人を説得できた。ラルバリアンの娘はそのまま帰る。
休憩のために控室に行くと通気口からDrift Deadが出てきてに襲われたりもしたが、特に何事もなく撃退した。

パーティーが終わり午後になると、ゴールデン・コマース・バージのオークションが始まった。
手引き通り丸め込んだ人(誰だっけ?)が破格の安値の200万クレジットから入札し、会場がざわざわする。チューファが300万というと他の参加者が400万と、徐々に金額が上がっていく。最終的にチューファがオークションの雰囲気を支配し、750万という異例の低額で落札する事に成功した。

取引は別室で行うので三人が別室に通され、データパッドでキーの付与と決済を行う。承認ボタンを押すとキーが付与され、その瞬間にジャマーが作動して会場の電気が消える。その隙をついてシアンのデータパッドにキーを転送し、おや何が起こったんでしょうという顔で不正が明らかになるのをできるだけ伸ばそうと試みる。

一方、キーを受け取ったシアンはさっそくドックのドアを開ける。たくさんの警備員とロボットがいるが、きちんとキーで開けたので正当な所持者ですよ、という顔で堂々とゴールデン・コマース・バージに近づこうとする。しかし、警備にはすでにトランザクションが終わってない件が伝わってしまっているようで、終わるまでちょっと待っていてくれと言われて船には近づけなさそう。もう戦闘はさけられなさそうなので、Telepathic Bondでオークション組に呼び掛けて強行突破しよう、と思ったとたん、EJ corp CEOの声が聞こえて、そいつらは変装した盗賊だ、船に近づけさせるなという指示が飛んでしまう。警備員たちも戦闘態勢に入ってしまった。

ゴールデン・コマース・バージさえ飛ばせてしまえば勝ち、という事でシアンが警備兵を無視してデータパッドで宇宙船のハッチを開けて中に入ると、中の倉庫にはなぜかマイニングマシンが2体置いてある。不正がばれていつキーが無効化されるか分からないので、Dimension Doorで到着したウバタマがいち早く宇宙船のコントロールルームに向かい権限の譲渡を行おうとする。シアンは出港のため操縦室に駆け込み、主にタイタスとアルマトランが宇宙船の入り口を固めようとする。
すると警備員が敵が船の中に入ったぞ、マイニングロボを起動だ、と言って自分のデータパッドを操作する。すると船内のマイニングロボが動き出し、手に着いたドリルとマグマブレードで攻撃してくる。さすがに本来は岩相手の攻撃でこのまま暴れられるともたないので、ウバタマは権限の譲渡を中断してコンソールでロボのコントロールの奪取を優先する。無事に奪取し逆に敵を攻撃させようとするが、タイタスも巻き込みつつ敵に大ダメージを与えるロボ。しかし、ターゲットを選んで攻撃させると威力は絶大で、船に侵入してきた警備員を撃退する事ができた。
これ以上敵が入ってこれないようにシアンが操縦席からハッチをロックし、そのまま主砲を港のゲートに向けて発射して破壊し離陸を試みると、それ以上の追撃はなく無事に出港する事ができた。

予定していた場所でタリカと落ち合い、今後の相談をする。積み荷はタリカがあらかじめ話をつけてあるので適切なルートで売却。宇宙船自体はもったいないが、ここから足がつく事があり得るので積み荷をオリファウントに移したのちすぐに破壊して処分。実行犯の一行がタリカと一緒にいると足が付きやすいので、売却はタリカに任せて一か月後に再びアブサロムステーションで落ち合う。という事になった。
まずはアキトンまでオリファウントで行き、簡単に売れるものを売って現金を分配する。その額一人当たり10万クレジット。これだけで今まで見たことも無いような大金だ。タリカいわく、他の積み荷が予定通りに処分できれば一人200万クレジットはあるはずなので、一か月後まではそのお金で遊んでて、とのこと。一行はアブサロムステーション行き定期便のファーストクラスを予約して帰還するのだった。

 バカンス


大金も手に入ったし、一か月はすることが無いので各自で余暇を過ごす。
シアンは50000クレジットほど使い、ディアスポラの衛星を一個買って自分だけのセーフハウスを作ったようだ。
アルマトランはMagus研究会に10000クレジットを寄付。自分の身に着けた技も披露し、だいぶ研究会内での地位を上げたらしい。
チューファはカリストクラットの教義で禁止されている事を片っ端からやっていった。お金はためるものなのであまり使ってはいないようだ。
フォウは15000クレジットを投入し、オリファウントに自分のジムとサウナを作るらしい。
タイタスは自分の古武器コレクションを充実させるようだ。
ウバタマは全額を宗教に寄付して、大変に感謝されたらしい。


 一か月後


タリカから連絡が入り、アブサロムステーションの高級ホテルの100階、VIPルームを予約してあるそうなのでみんなで向かう。待っていると、いい身なりをしたタリカが部屋に入ってくるが、妙にふらふらしている気がする…。タリカは部屋に入るなり、みんな、罠だから逃げてと叫ぶ。と同時に部屋のガラス張りの壁が割られ、火炎放射器を持った6人がヘリから部屋に突入してきた。応戦するが、敵の人数が多く火力も高いのと、非戦闘員のタリカをかばいながらでかなりの劣勢。ウバタマのFear2で何人かを散らした隙に部屋の壁をWall of Forceで立て直し、タリカを担いでエレベーターへと逃げ込んだ。エレベーターで降りながらタリカに何が起こったかを聞くと、EJ corpとゴールデン・リーグが手を組んで一行を捕まえようとしているらしい。一行それぞれの口座に200万クレジットを振り込んだが口座自体が凍結されてしまって何もできないし、オリファウントも乗っ取られて通信できない。
「あなたたちはやりすぎたみたい…」

次回に続く