ヴェスク星系の日々
仕事が無い
カーメラーグラベンダー男爵からのデフレックス捕獲依頼を無事にこなしたアットホーム特急便だったが早急に次の仕事に取り掛かる必要があった。
当座の資金は確保できたものの宇宙船の維持費というものは馬鹿にならないのだ。
とは言えもともと営業畑のメンバーがいない悲しさ、アットホーム特急便には仕事を取ってくる方法から分かっていないという弱点があることが判明した。
困った時のネット検索、困った時のハローワーク、と色々試みてみたが、どれも上手くいかない。
個人の短期バイトの様な小さな仕事はそれなりに見つかるが、オリファウントの運搬能力を活かせるような輸送案件はコネもない新参に回ってくるようなものではないのだ。
一行は仕事を求めてヴェスク3から首都のあるヴェスク・プライムに移動する事にした。
ここは公転軌道がかなり恒星に近いためか気温が高く乾燥している。また海も小さく陸地の方が大きいという特徴がある。幸い重力はあまり変わらないので宇宙服の空調を利かせておけば問題なく過ごせる。
首都コマンド・プライムは人口1.3億人という超巨大都市でその分仕事もあるにはあるが、やはりネットで見つかるようなものは個人向けの日雇いパイロットみたいな案件ばかりだった。
シアンの提案で前回のデフレックス狩りの様な一獲千金を狙えるような特産品が無いかも調べてみたが、見つかったのはストーム・ランニングと呼ばれるガス惑星のヴェスク5で電磁嵐の中で噴出されるレアメタルを採集するという超危険な仕事だけだった。
ちなみにストーム・ランニングはノウハウが無いと死にそう、初期投資が払えそうにない、現在は違法などの理由から却下された。
イージーミッション
いろいろと試した結果、我々の様な企業は斡旋業者に登録して仕事を回してもらうのが常道だろうという事になった、
この分野も最大手はE.J.Corp.だが、さすがにそこに登録する蛮勇はなく、ユバタマが厳選したムーンライターズという斡旋業者に登録することにした。
ここは情報提供はイマイチだが金払いが良く、依頼人がバックレても会社の方である程度補償してくれるという良心的な会社という評判だ。
登録して一週間ほどたつと最初の依頼がきた。
内容はストロベリー・マシン・ケーキというバンドの持ち物が手違いで取り残されてしまい、それをヴェスク・プライムの衛星まで届けるという簡単なもので、僅か200クレジットの仕事であった。まあこういう小さな仕事で実績を積むのも重要だろう。
荷物はスーツケースで中身を見るのは厳禁とのこと。まあ当然だろう。特に滞りなく仕事は完了し報酬を手に入れることができた。とは言え必要経費のエネルギー代で半分無くなってしまったが…。次はもっと大きな仕事が欲しい。
ヴェスク・プライムに戻るとカーメラーグラベンダー男爵からフォウに連絡が入っていた。彼の知り合いに我が社の事を紹介しておいてくれたらしい。やはり持つべきものは金持ちのコネだ。
はたしてすぐにエショバヨ・ファイアハートというヴェスクから連絡が入った。彼はヴェスク軍の治安担当部署の人物らしく、ヴェスク3で発生した強盗事件の捜査に協力してほしい、詳しい話はヴェスク3でするので、依頼を受けるつもりがあるならヴェスク3まで来て欲しいという事だった。
前金で3000クレジット、犯人を捕縛すれば追加で6000クレジット、死体でも4000クレジットというなかなかの報酬。男爵の紹介であればそれなりに信頼できる人物であろうし、渡りに船とヴェスク3に向かうのだった。
ヘルファイア・トキシンの闇
エシャバヨの依頼
さっそく指定されたヴェスク3の工業都市に到着。ここにあるTruBluという染料工場で事件は起こったらしい。
現場は染料の原料となる金色の蟲を育てているバイオハウスで、そこには爆発跡など激しい戦闘の痕跡が残っていた。エショバヨの話では犯罪者グループがここに押し入った際の戦闘で民間人に8人もの犠牲者が出ているらしい。なかなか大掛かりな事件だ。
犯人の動機だが、ここで養殖されている蟲は稀に特殊なバクテリアの宿主となっており、そのバクテリアをもとにしてヘルファイア・トキシンという危険な細菌兵器を作ることができるのだそうだ。この兵器は法で禁止されているが、かつてアガバナ・オースブレイカーというテロリストに使用されたことがあり、その時は都市一つ、数万人の犠牲者が出たという危険な代物だ。
エショバヨは今回の事件はこのアガバナの仕業ではないかと疑っているのだ。
彼の捜査では少し前までこの工場で働いていたジャスク・ベスカスクというフォーミアンがアガバナと繋がっているのではないかとにらんでおり、この人物に接触して手がかりを掴み、アガバナをとらえるのが依頼内容だという。ジャスクは現在は別星系のガスカール3という惑星で音楽ショップを営んでいるらしい。
部外者であるアットホーム特急便を雇うのはいくつか理由があり、アガバナが元軍警察で手口を熟知していること、オリファウントが装備したシグナルブースターのおかげで相手が相手に時間的余裕を与えずに済むこと、公的機関では取りづらい手段もゴニョゴニョ…らしい。
まあ、任務に失敗しても違約金などは無いので、最悪でも前金分の儲けにはなると引き受けることにした。
ジャスク拉致もとい捕縛
ガスカール3はヴェスク帝国の植民地の一つでウェイダンという神への信仰が盛んな星だ。ウェイダンはデズナと関係が深く解放や自由をつかさどっている。
ジャスクの音楽ショップがある街はヴェスクの移民船の上に作成された都市だった。そこのソニック・フューチャーという店だ。
我が社にはさりげない世間話の中で相手に警戒心を抱かせずに情報を収集するような技能の持ち主はいないため結局強硬策に出ることに。
裏口の有無などを確認した後全員で突入。
ジャスクは襲撃を予期していたのか護衛のロボット兵士2名がいたが多少アルマトランが負傷した程度で制圧に成功。
全員をロボタクシーに詰め込んで逃走するまでほんの2分程度の鮮やかな犯行だった。なおロボタクシーの乗車記録はハッキングして消去した。だんだん違法行為に手慣れていくな。
ロボット兵士は「ヴェスク帝国の手先め!」といった発言をしていたので、予想通り現地の反帝国テロリストなのであろう。
ジャスクの話を聞いてみると思ったよりあっさりと話してくれる。
思った通り彼はアガバナに頼まれて蟲を盗み出したらしい。ただアガバナとはウェイダンの神殿で接触しただけで居場所などは知らないとのこと。
ただ、彼は爆発や戦闘の事などは全く認識しておらず、もともとバクテリアに感染した蟲の処分係だったのでこっそり盗んだだけだと主張する。噓を言っているようには見えない。どういうことだ?
また、アガバナの目的もテロではなくヘルファイア・トキシンの犠牲者を治療するためのワクチン研究なのだという。騙されているのはジャスクか我々か、現時点では情報が足りない。
持ってきたロボット兵士の死体のメモリを捜査すると、彼らの兄弟の一人がアガバナの護衛をしていてリベレイターズ・サンクタムというウェイダン神殿の跡地で落ち合おうという通信記録が残っていた。
他に手がかりも無いしここに行ってアガバナから直接話を聞くしかなさそうだ。ジャスクは解放してサンクタムに向かうことにした。
人生にトラブルはつきもの
乗ってきたロボタクシーはサンクタムの手前の橋でこの先には行けませんと停止してしまったので降車して歩いて向かうことにする。
ここで思わぬトラブルが。
橋の中央まで来たところで突然足場が焼失し、シアン、チューファ、タイタスの3人が川に落下してしまったのだ。橋に見えていたのは精巧なホログラフだったらしい。
これはこの辺りに住む特殊な魔獣の能力で、ホログラフで他の生物を騙して捕食する大型の二枚貝のような怪物だ。当然こいつが待ち構えていて落下してきた3人を襲う。
こいつはホログラフ能力だけではなく、強固な貝殻を閉じることで物理とエネルギーに高いダメージ抵抗を得たり、噛み付いた相手を拘束してそのまま飲み込む能力を持っていたりと非常に厄介な相手だった。
また、川は流れは穏やかとは言え水深が深く、落ちた3人は思うように戦えない。それでも危うくタイタスが飲み込まれかけた程度で倒す事ができた。
まあこいつはテロリストの手先というわけでもなく単なる野生の怪物だったのでちょっと休憩して回復した後サンクタムに向かった。
アダマント・スケイルの秘密
サンクタムに到着すると完全に廃墟と化しており人の気配もない。しかし捜索すると地下への階段が見つかったので階段をふさいでいた瓦礫を撤去して中に進む。
地下には医療ポッドが大量に設置されており、中には茶色のできものが体を覆っている患者が何人も入っていて、医療ドローンによる治療を受けていた。これがヘルファイア・トキシンの犠牲者なのだろうか?
さらに奥に進むとさっき倒したロボット兵士と同系のロボットと、真っ白で目の赤いヴェスクがいた。彼らから仕掛けてくる気は無い様なのでまずは話をすることに。
このヴェスクは思った通りアガバナだった。白くなっているのはアンデッド化したかららしい。
彼女の話ではかつてヘルファイア・トキシンで街を一つ滅ぼしたのはヴェスク軍の中のアダマント・スケイルという極秘部隊で、アガバナはむしろその犠牲者の一人だそうだ。彼女はもともとヴェスク軍の衛生部隊所属だったがヘルファイア・トキシンで死亡し、その後ウェイダンの導きによりアンデッドとして蘇ったらしい。
しかしアダマント・スケイルは自分たちの罪をアガバナに擦り付け、凶悪犯として指名手配したのだそうだ。
今回蟲を盗ませたのはジャスクが言っていた通りワクチン開発のためで、爆発や民間人の殺害には無関与、TruBluはアダマント・スケイルの息のかかった会社なのでもともと研究用に蟲を横流ししており、それが盗難事件の捜査で明るみに出ないように証拠隠ぺいしたのではないか?と主張する。
にわかには信じがたいが腑に落ちる点もある。
アガバナはもうここは放棄するつもりなので見逃してほしいと提案してきた。うーん、彼女の言葉をうのみにして良い物か…。
ここでは見逃してやりたいタイタスと、それでは報酬がもらえないというチューファとシアン、どっちつかずのアルマトランとユバタマで意見が割れたが、最終的にはチューファとシアンが折れて見逃すことになった。
ちょうどよいスケープゴート
アガバナは礼を言って去っていったがそうは問屋が卸さなかった。
彼女に雇われたのか何かと縁のあるウィンターモーン号が迎えに来たのだが、突然上空からヴェスク軍らしき2機の小型宇宙船が攻撃してきたのだ。
慌てて逃走するウィンターモーンだが、このままでは撃墜される恐れがある。ウィンターモーンのニバ船長はタイタスの恩人でもあるし、ここで撃墜されてしまっては報酬を諦めてまで見逃した意味が無い。オリファウントで援護することにする。
オリファウントが接近すると2機のうち1機がこちらに向かってきたが、これは新設した近距離レーザーファランクスで難なく撃墜、もう1機も撃墜して無事にウィンターモーンを逃がすことに成功した。
これ、ヴェスク軍になんて言い訳しよう…と思ったが、戦闘記録を調べるとこの戦闘機は識別信号を出していなかったので、これ幸いと所属不明の戦闘機に妨害されたのでアガバナに逃げられたと責任を擦り付けておいた。
ストーム・ランニング
タリカからの通信
さて、またまた儲けそこなったので何とか稼がないといけない。ちょっとヴェスク帝国はいづらくなってきたのでアブサロムに帰るかと思っていると、タリカからドリフト通信が届いた。どうやらヴェスク星系で仕事を見繕ってくれたらしい。ありがたい。
依頼内容としてはワイルド・マジックという船からの依頼で、どうも彼らがストーム・ランニングして入手したレアメタルをバイヤーまで届けるという仕事の様だ。
我々にストーム・ランニングしろという無茶ぶりじゃなくて良かった。まあ違法行為の片棒を担ぐことにはなるが今更だ。
ワイルド・マジック救助
ランデブーポイントのヴェスク5に到着すると早速大規模な電磁嵐に遭遇する。それだけなら回避すればいいのだが、困ったことに嵐の中から救難信号が出ている。
とりあえず状況だけでもつかもうと接近すると何とか通信に成功。とぎれとぎれの内容からするとどうやら彼らは取引相手のワイルド・マジックらしい。こんな偶然ある?
ワイルド・マジックは既に諦め気味で危険だから近寄らずに逃げろなどと言ってくるが、こちらとしても無駄足になるのはつらい。なんとか救助できないか検討する。
彼らの話ではこの嵐の中にシャードダイバーという宇宙船サイズの魔獣が潜んでいて、彼らの宇宙船を航行不能にしたのもそいつらしい。一応シールドはまだ生きているがスラスターがやられているとのことなので、中に入って牽引してくるしかないだろう。そこをシャードダイバーに襲われたらかなり危険だ。
とは言えここで依頼人を見捨てたらまた無報酬となってしまう。意を決して救助に向かう。
電磁嵐をシールドで防ぎつつ、シャードダイバーに見つからない様に出力を抑えて進んでいくと、ワイルド・マジックの近くに1体のシャードダイバーが潜んでいるのを発見することができた。幸いこちらには気づいていないようだ。
その後もシアンの巧みな操船のおかげで気づかれずにワイルド・マジックに接弦することに成功したので、急いでタイタスが牽引ロープをひっかける。後は全力で逃げるだけだ。
ようやく気付いたシャードダイバーが飛ばしてきた巨大なトゲで装甲に大きな傷を負ったが、何とか振り切って電磁嵐から逃れることができた。
ワイルド・マジックの乗組員は非常に感謝していたがそこに悪い知らせが。どうやらワイルド・マジックのカーゴが損傷して積んでいたレアメタルをすべて失ってしまったらしい。つまり文無しだ。当然我が社への依頼も無くなるわけで……助けた意味は?
一獲千金
そこでワイルド・マジックから提案があった。
彼らがノウハウや特殊装備を提供するので我が社がストーム・ランニングして一儲けするというものだ。シャードダイバーから逃げ切ったあの腕なら成功間違いなしと力説してくる。
彼らはコンサル料として稼ぎの3割を受け取り、それで船を修理して再起を図りたいとの事だ。
こうなったら乗り掛かった舟という事でストーム・ランニングを決行することにする。ますますヴェスク星系にいられなくなるな。終わったら即アブサロムにとんずらだ。
ワイルド・マジックの教え方が良かったのか、我が社の実力か、このストーム・ランニングはまずまずの成果を上げた。最初こそレアメタルの噴出場所を突き止めるのに手間取ったがそれ以降は順調に進み、2〜3万クレジット相当のレアメタルの採集に成功したのだ。あとはこれをワイルド・マジックの知己のバイヤーの所に運ぶだけだ。
リンドール救助作成
好事魔多し
ワイルド・マジックが懇意にしているバイヤーはマリクサー共和国のマリクサーにあるバータルカム市場に店を構えるリンドールという人物らしい。
マリクサー共和国はヴェスク星系近傍の別星系にある星で、ヴェスクとはそれなりに仲良くやっている国だ。
通常ならドリフト航行で2週間強程度の旅だが、シグナルブースターのおかげで半減。快適快適。
市場に到着するとどうも様子がおかしい。人通りが少なく店もかなりの数が閉まっている様だ。
軽く聞き込みをしてみると、最近ヴェスク帝国から違法なストーム・ランニングで採取した鉱石を持ち込んでいるものがいるので取り締まりを強化したらしい。おいおいもろに我が社の事じゃないか。
しかしさらに話を聞いてみるとそういった違法鉱石の売買は今に始まった事ではないので、突然の大掛かりな取り締まりというのは不自然だとのこと。何か他の目的があるのではないかという。うーん、ヴェスク帝国の圧力…は今までもあっただろうしなあ。
気を取り直してリンドールの店に向かう。店はやっぱり閉まっていたが、リンドールは在宅していて無事に商談することができた。リンドールは鉱石を2万8000クレジットで買ってくれるという。ワイルド・マジックの見立てとも一致するので妥当な額だろう。
無事に商談が成立したので一旦オリファントに戻って搬入手続きを進めていると、突然リンドールからメッセージが届いた。
「ARRESTED HELP TRANQ.」
TRANQ.について調べてみると、この星にはTRANQUILITY REHABILITATION CENTERという名前の更生施設があり、これの略称がTRANQ.らしい。
ここは複数の小さな島で構成された収容所で島1つにつき16人の囚人が捕まっている。
特に労務などは無くリゾートのようなところで穏やかに暮らすことで更生させるための施設らしい。意識高いな。…どうもうさん臭い気もするが。
……つまりリンドールは逮捕されてTRANQに収容されたという事だろうか?そこからの脱出に手を貸してほしいという依頼か?どうもヴェスク星系に来てから不幸な偶然が続きすぎてやしないか?
TRANQUILITY REHABILITATION CENTERの謎
正直脱獄の手助けとかリスクが高すぎるが、助けなければ2万8000クレジットがフイになる。鉱石自体は手元にあるので別の所に売っても良いのだが、コネもない一見が売ろうとしても足元見られて買いたたかれるのはヤロベリーで経験済みだ。
結局救助可能かどうか様子見だけでもしようという事になり、囚人との面会ツアーに申し込むことにする。案内のドローンに武器を置いていくように言われ、シアンは持っていた重火器をロッカーに置いていかざるを得なかったが、他のメンツが持っていた剣だのピックだのは武器ではなく骨董品とみなされたのか特に指摘を受けなかったので、これ幸いと堂々と持ち込むことにする。とんだセキュリティリスクだが、我々の様な変わり者なんてそうそういないか。
船に乗ってカーム93のビジターセンターに連れていかれ、ここでリンドールとの面会を申し込んだが待てど暮らせどやってこない。
退屈しのぎに周りの囚人達を観察していると、なんとエシャバヨが囚人たちの中にいるのを発見した。え?まさか我々が失敗した責任取らされてぶち込まれたの?だとしても普通はヴェスクの刑務所じゃないの?
とにかく話を聞こうとエシャバヨに声をかけてみるが、エシャバヨはVRゲームに夢中でまともに話にならない。どうも様子がおかしい。
更に周りを観察するとシグナルブースターを発掘していたゴブリン三兄弟やニバ船長もいる。彼らもエンジニアだったのにオーケストラ入団を目指してたり、完全に隠居モードに入っていたりと明らかに様子がおかしい。ひょっとして我々が幻覚を見ているのでは。
そうこうしているとエシャバヨが立ち上がり尋問の時間だと言ってどこかに行こうとする。
チューファがどうにか後を追えないかと調べてみると、囚人のいるエリアとこちらを区切っているエネルギーバリアが機能しておらず普通に通ることができる。アルマトランにインビジをかけてもらって後を追うことにした。
追っていくとエシャバヨは小さな建物の中に入っていく。外から聞き耳を立ててみたが何の音もしない。意を決して中に入ってみると中は何もない部屋だ。エシャバヨの姿も見えない。
部屋を捜索してみても何も見つからなかったが、一旦戻って他のメンバーもつれてきて再度捜索すると南の壁に小さなスイッチが隠されているのに気が付いた。スイッチを押すと壁が開き地下への階段が現れる。エシャバヨはこの奥か?
アダマント・スケイルとの決戦
階段の奥はジムや研究施設の様なものがあり、どんどん奥に行くと奥に3人のヴェスク人がいた。
彼らは一行を見るとようやくやって来たなと驚く様子も見せない。どういうことだと問うと悪人の義務なのかペラペラと裏事情を話してくれた。
彼らはアガバナが話していたアダマント・スケイルのもので、アガバナと接触したアットホーム特急会社のことを探っていたらしい。我々がアガバナから何を聞いたか、それを誰かに話したか、我々と接触のあった人物を片っ端からとらえてここで尋問していたのだという。
とんでもない組織だが、何というか我々も買いかぶられたものだ。正直ヴェスク軍と揉めないためにもこの秘密は墓まで持ってくつもりだったのに。
とは言えこうなっては我々を逃がすつもりも無い様なので戦うほかない。ただ我々がここに持ち込めるのはせいぜいSmall Armぐらいだろうと高をくくっていたのか、次々取り出される剣やピックに驚いていたのはちょっと気分が良かった。
アダマント・スケイルの隊長はなかなかの精鋭だった上、洗脳されたディギーが戦闘ロボットを連れて乱入してくるなどなかなか大変だったが、アルマトランとタイタスの息の合ったコンビネーション攻撃の前に隊長が倒されると、ロボットも程なく倒された。
なお、武器を置いてきてしまったシアンは隣の部屋にあったドシュコを手に参戦。重い、使いづらい、とぶつくさ言いつつも結構活躍していた。
ヴェスク人たちを倒して奥を調べると、そこにはマインドサイフォンという記憶などを弄る装置があり、リンドールとアガバナも捕まっていた。当然彼らもおかしくなっていたが、何とかなだめすかして脱出する。しかし地上に出ると警備ドローンが既に警報を鳴らしており、マリクサーの治安部隊も間もなく到着するようだ。万事休すか。
そこに天の助けかウィンターモーンがやって来た。捕まったのはニバ船長とディギーだけで、他のメンバー2人は救出の機会を伺っていたようだ。急いで着陸したウィンターモーンに乗り込み、ドローンを振り切って逃走に成功したのだった。
エピローグ
しばらくマリクサーに潜んで様子をうかがっていたが、この事件に関する報道は全くされず、この襲撃は闇に葬られたらしい。おそらくアダマント・スケイルの存在が明るみに出ることを避けたのだろう。アガバナはこれでアダマント・スケイルの暴走に歯止めがかかれば名誉回復できるかもと言っていたが、その後収容所襲撃犯にされてしまった。闇は深い。
エシャバヨはどうするのか聞いてみたら、秘密を知ってしまったのでもはやヴェスク帝国に居場所はないだろうとのことで、アブサロムに帰還する我々に同乗してパクトワールドに移動することになった。
我が社も当分ヴェスク帝国やマリクサー共和国には近寄らない方が良いだろうなあ。