!!第8話「ワールドウーンド探索行」 {{outline}} !前回までのあらすじ いくつもの試練を乗り越え、ネロシャン陥落の危機を救ったOotRMにガルフリー王女から新たな密命が下った。 一つ、ワードストーンを復活させるため、サルコリスで産出するという強力な魔力を秘めた岩を手に入れること。 二つ、女王の命でワールドウーンドの探索に旅立ったまま音信不通となったパスファインダーのジャガリーを探し出すこと。 三つ、ナインドリアン・エリクサーの供給源を突き止めて破壊すること。 一番はまだしも二と三は手がかりもろくにないらしい。頑張れ!超頑張れ! !セスカーズガリー OotRMの一行はガルフリー女王からの使命を果たすべく、次の行動について話し合った。 とは言え、ジャガリーの居所やナインドリアン・エリクサーを作成しているというアイボリー・サンクタムの在処については全く手がかりがないのが現状だ。 ある程度場所のはっきりしている石切り場を目指し、ワードストーンの原料を手に入れるのが良かろうと言う事になった。   レジット達から得た情報によると石切り場はドレゼンの北にある湖の湖畔に存在したという話なので、まずは湖に到達するべくアハリ河を遡ることにする。 まあ、河と言っても現在では干上がってしまっているのだが、ランドマーク替わりにはなるだろう。 川に沿って西進していくと2日ほど進んだところで廃墟を発見した。ケリアン曰くセスカーズガリーという町の跡ではないかとのことだった。 遠目に見る限り特に何かが住んでいると言う事はなさそうだったが、念のため探索しておく事にする。万が一デーモンやカルト教団が巣食っていては後々脅威となるかもしれないからだ。   街を探索しても特に何も見つからない。かなり破壊の跡があり、おそらく第二次クルセイドの時にデーモンに攻め滅ぼされたのだろうと推測される。 ただ一点、町はずれの墓地で興味深いものが発見された。ダントワース家の家名が刻まれた霊廟である。かつてこの町にはラオツェンの先祖が住んでいたのだろうか? 霊廟を調べようと一行が近づくと驚くべきことが起こった。なんと霊廟の中から怒りの表情を浮かべた霊体が現れたのだった。 霊体はラオツェンを見ると憎悪と怒りに満ちた呪いの言葉を吐き散らした。 「恥知らずのボルテの子孫が何の用だ。ダントワース家の名をさらに穢しに来たのか」 霊体は襲い掛かってきそうだったが、何の気まぐれか思いとどまったようなので詳しい話を聞いてみた。 この霊体はアーリス・ダントワースと言い、第一次クルセイドのころに活躍したクルセイダーで、このセスカーズガリーの守護者として尊敬されていたらしい。 しかし、第二次クルセイドの失敗によりこの町にもデーモンの軍勢が押し寄せ、奮戦虚しくアーリスは殺され、セスカーズガリーは放棄された。 その時の戦いでアーリスと共にこの町を守るはずだった、弟のボルテが女と逃げてしまったことを恨みに思って成仏しきれないようだ。 ラオツェンの記憶では曾祖父がボルテという名前だったはずで、どうやらラオツェンがボルテの子孫と言うのは間違いなさそうだ。 どういう事情があったか分からないが、先祖が敵前逃亡したという事を聞き複雑な表情をするラオツェン。とは言え、それをラオツェンに言われても仕方ない。 アーリスもそう思ったのか、自分がこんな不浄な存在となってしまったのはボルテへの恨みだけが原因ではないといいだした。 この霊廟の下に不浄な存在が住み着いており、その為に負の感情が増幅されて地縛霊になってしまったのだという。 その存在を滅ぼし、この場所を清めればきっと成仏できるはず。もしそうしてくれないなら全員を呪ってやるとの事だ。   まあ、呪い云々はともかく、その様な不浄な怪物の存在を知ってしまっては放っておくわけにはいかない。一行は迷わず霊廟の中に踏み込んだ。 霊廟の中には遺体を安置するための小部屋がいくつも並んでいたが、そのうちの2つからわずかに気配がする。 鬼が出るか蛇が出るか、武器を構えて扉を開けると白い体に目だけぽっかりと底知れぬ闇を宿したアンデッドが待ち構えていた。ボダックだ! その暗黒の眼窩は目が合ったものの生気をたちどころに吸い取る恐るべき邪眼である。運悪く目が合ったオーディーとラオツェンはごっそりと生気を奪われフラフラになってしまった。 これ以上生気を奪われてはボダックの仲間入りである。2人はまだ体が動くうちに逃げ出した。 一方、他のメンバーはボダックを見ないように目をそらしたり、持ち前の抵抗力で邪眼に抗ったりしながらボダックに戦いを挑んだ。 2体いたボダックのうち1体は程なく撃破されたが、もう1体は邪眼で攻撃しつつ防御に専念したため非常に手こずった。 更に奥の扉があき、1体のナバッスゥ・デーモンが戦闘に加わった。ここワールドウーンドではボダックとナバッスゥは奇妙な協力関係にあるらしく、よく一緒にいるのを見かけるらしい。 ナバッスゥもボダックほど強力ではないものの死の邪眼を持っており、非常に厄介な相手だった。 オーディーとラオツェンが戦力外になってしまっていた事や、こちらの陣形が良くなかった事もあってかなり手こずったが、どうにかボダックを撃破するとデーモンはテレポートで逃げ去った。   翌日、言われた通りに霊廟をコンセクレイトするとアーリスは妄執が晴れたのか礼を言って消え去って行った。 感謝の気持ちとしてダントワース家の宝の在処を教えてくれたので、ありがたく頂戴して旅を続けることにした。 !シールストーンの石切り場 セスカーズガリーを出てしばらくすると湖を発見したので、今度は湖岸に沿って反時計回りで探索を続けた。 すると1日半ほど進んだところで、それらしき場所に行き当たった。 そこは地面の隆起により地層が露わになっており、その一部を切り出したと思しき痕跡が残っていた。 とりあえずサンプルを入手しようと近づいていくと、何かがやってくる物音がする。 物音がするほうを見ると、何やら一頭の鹿がこちらに向かってやってくるのが見えた。…鹿と言っても象ぐらいの大きさで、背中から甲殻類のような足が4本ほど生えていて、口から泡を吹きだし、目を血走らせているクリーチャーだが。 驚いた事に、この鹿モドキを見た途端、いつもは冷静沈着なシロップが突然怒りをあらわにした。理由は分からないが、あれは不倶戴天の敵で必ず滅ぼさなければならないと何かが叫んでいるのだという。シロップの失われた過去、サルコリスの歴史上の因縁があるのかもしれない。 鹿モドキの方もシロップを敵と認識しているらしく、他のメンバーには目もくれずシロップに突進して来る。二頭の獣の戦いが始まった。 恐るべきことに鹿モドキの角には強力な破壊の力が宿っていた。角で突かれたシロップの体が、まるでディスインテグレートの呪文を受けたかのように粉微塵に分解されそうになる。しかしその時メイプルの額の紋章が光を発し、その魔法的な繋がりの力によって辛うじて耐えることができた。 とは言えシロップもメイプルもダメージは大きく、次は耐えられないかと思えたが、助っ人に割って入った他のメンバーの力もあって、どうにかその前に鹿モドキを倒すことができた。 鹿モドキを倒した後、念のため他にも似たようなクリーチャーがいないか探してみたところ、あれほど大きく強力ではないものの似たような姿のクリーチャーが何頭かいたので、全て退治した。この石切り場には何度も来ることになるかもしれないので安全は確保しておく必要がある。 それにしてもこの辺りにはああいったクリーチャーを生み出すような要因が何かあるのだろうか?シロップの態度も変だったし気になるところではある。そう言えばオーディーがMythic化した時の姿にちょっと似ていたような気も… それはさておき周りの探索を終えたところで改めて石切り場を調べてみた。ディテクト・マジックをかけると、切り出した跡のある白い岩の地層から強力な防御術のオーラを感じる。ケリアン曰くこれはシールストーンと呼ばれるサルコリスで産出する特殊な石らしい。なるほどワードストーンの原料として相応しく感じる。 石を適当な大きさに切りだして一旦ドレゼンに戻ることにした。 !ワードストーン復活! ドレゼンに戻り、持ってきたシールストーンをレジット達に渡したところ、これで材料は揃ったので早速儀式を始めると言う事になった。 オーディーやケリアンらキャスター陣は全員儀式の手伝いに駆り出される。本来なら何日もかかる儀式を人海戦術で強引に進めるという事だが、それでも1週間ぐらいかかってしまうらしい。 その間、魔法がさほど得意でないメンバーは暇なので、色々と調べ物をしていた。   サールディンは古いクルセイダーの記録を調べてCold-Iron Wardenについて調べてみた。 資料によるとCold-Iron Wardenは第1次クルセイドの時期に活躍したクルセイダーで、ワードストーンを作ったとされているグライドウェルというクルセイダーが率いていたらしい。 ただ、グライドウェル自身は有名だが、彼が率いていたというCold-Iron Wardenはあまり有名ではないようだ。 以前Mythic化した時に盾から飛び出した顔がグライドウェルのものかと思ったが、彼の肖像などは残っていなかったので確認できなかった。 ついでにOrder of Holy Lightを潰したというEverbright Churchについても調べてみたところ、彼らは第3次クルセイドあたりから有名になった比較的新しいクルセイダーである事が分かった。第3次クルセイドで名を上げたと言う事は、やはりインクィジターを中心として魔女狩りをしていたクルセイダーだったのだろう。   ラオツェンはシールストーンとナインドリアン・エリクサーやナインドリアン・クリスタルを組み合わせて何か反応があるか色々と調べてみたが、あまりはかばかしい効果は得られなかった。   更に、ドレゼン攻略時に捕虜にしたバフォメット信者を尋問してアイボリー・サンクタムの場所を吐かせようとしたが、残念ながら捕虜の中にアイボリー・サンクタムの場所を知っている者はいなかった。バフォメット教団はあまり相互に緊密な関係を築いておらず、どこかが捕まっても芋づる式に他に被害が及ばないような組織構造になっているらしい。厄介な事だ。   そうこうする内にワードストーン作成の儀式は着々と進み、最後の儀式を行う事になった。 これまで儀式の手伝いをしていた術者達はもちろんのこと、パラディンやファイターといった兵士達も皆集まってこの歴史的な瞬間に立ち会おうとした。 ドレゼンの街の中央にワードストーンを備え付けると、グレーター・プレーナー・アライのスクロールを使用してアイオメディのヘラルドを呼び出す。更に新たなスクロールを取り出して使用しようとしたが、ヘラルドはそれを制止した。 「それは今回は必要ない。ここに集った勇者たちよ。ワードストーンの復活を心から祈るのだ」 もちろん全員が喜んで祈りをささげた。その祈りと共にヘラルドがワードストーンに祝福を授けると、ワードストーンは柔らかな光を放ち始め、聖なる力が放出されるのが感じられた。   その後は街中総出の大宴会が始まった。今日ばかりは誰もかれもが心から喜びを感じている。 中でも嬉しそうなのはエルファスだ。大きな声で何度も「この街はもう安全だ。私の役目は終わった」と言っている。 そんな中、一行は一番苦労したであろうイラベスに祝いの言葉を述べに行った。 イラベスも安堵の表情を浮かべてはいたが、まだまだ心配事の種は尽きないらしい。 ガルフリー女王から授かった使命があるとはいえ、恩人であるイラベスの力にもなりたい。一行はイラベスの悩み事について聞いてみた。   1つ目はジョッドと言うエラスティルの神官の事だ。 彼は南のテストラシアから流れてきた力のある神官で、このドレゼンでもかなりの信頼を得つつあったという。 しかし、最近彼の様子がおかしくなり、ついにはドレゼンの南西にあるというエラスティルの聖地に向かうといって姿を消してしまったらしい。 力のある神官は今のドレゼンにとっては非常に貴重な存在だ。どうにか彼を連れ戻したいとイラベスは考えている。   2つ目は現在ドレゼンの補給路を脅かしている山賊団の事だ。 彼らはブルードラゴンを引き連れたバーバリアンの一団で、ワールドウーンドのどこかを拠点として補給部隊をたびたび襲撃しているらしい。デーモン教団と関係があるかは不明だ。 これを放置すればドレゼン防衛に深刻な影響を及ぼす。とは言え、討伐隊を出すほどの余裕もないというのが悩みの種だ。   一行はガルフリー女王からの使命を果たすためにもどのみちワールドウーンドの探索は行わなければならないし、その際に気にかけておくと約束してイラベスと別れた。   イラベスと別れた後で、アネヴィアが挨拶に来た。レジットとは異なり、彼女はサールディンに対する敵意はかなり薄れてきたようだ。 アネヴィアたち新生Order of Holy Lightはドレゼンでの使命を果たしたと言う事でネロシャンにもどり、ストラスタ攻略に加わるつもりらしい。それで別れの挨拶に来たのだそうだ。 更に一行がアイボリー・サンクタムの場所を探している事をどこかで聞きつけたのか、ドレゼン近辺で発見したバフォメット神殿について教えてくれた。 彼女らはOotRMとは別に行っていた探索でそこを発見したが、その時はワードストーン復活のための調査を優先したので見逃したらしい。 一行はその情報に感謝し、お互いの武運を祈って乾杯したのだった。   !ジョッド救出 明けて翌日。一行はジョッドが向かったエラスティルの聖地について調べるべく行動を開始した。 ガルフリー女王からの使命を果たすならばバフォメット教団にあたるべきではあるが、目の前で苦境に立っているかもしれない人を見捨てるのを良しとしなかったのだ。 調査の結果、大変な事が分かった。ジョッドは最近様子がおかしくなり、デラメアという異端者の教えに傾倒していたらしい。 ジョッドの住処で見つけたデラメアの教えが書かれた本によると、この世界で一族として信頼できるのは53人までで、54人を超えるメンバーは全てコミュニティを脅かす敵だと書かれている。 確かにエラスティルは大都市などを好まず、牧歌的な小規模なコミュニティでの生活を良しとする神ではあるが、こんな狭量な事は一言たりとも言わないだろう。とんでもない異端だ。こんな教えにかぶれるとはジョッドに一体何があったのだろうか。 不安な気持ちになりつつも、そこにはジョッドが書いたらしきデラメアの墓に向かうという言葉と墓の場所が記されていたので、とにかく墓に向かう事にした。   再びワールドウーンドを旅する事数日。手記に書かれた場所に到達すると確かにデラメアの墓があった。 デラメアの墓はマグマが溜まったチャズムの底にあり、人の身長を超えるような巨大なクリスタルが林のように乱立している。その中でもひときわ大きなクリスタルの中に人間の女性らしき姿が封じ込められており、そのクリスタルの上に話に聞いていたジョッドらしき人相の男が立っている。何をしているのだろうか。 一行は困惑したが、とにかく説得して連れ帰ろうと話しかけてみた。するとこちらの話を聞いているのか聞いていないんかジョッドが叫んだ。 「私は取り返しのつかない過ちを犯した。もはや死んでお詫びをするしかない!」 ジョッドは溶岩に飛び込もうとしていたようだが、その前に猛烈な勢いで突進したシロップががっぷりと咥えこんで阻止した。続いて何か良くないものに憑かれているのでは?と疑ったオーディーが接近してプロテクション・フロム・イービルの呪文をかけると、やはりというべきかジョッドがはっと表情を変え、「私はここで何をしているんだ?」と言った。 しかし、安心するのはまだ早かった。 なんとジョッドの背中から一体のデーモンが飛び出してきたのだ。このデーモンは自分の肉体ごと犠牲者の中に入り込む珍しいタイプのデーモンらしい。 デーモンはもう少しでジョッドを絶望させ自殺に導くことができたのに邪魔しやがって、と大変立腹しており問答無用で一行に襲い掛かってきた。 デーモンはブラスフェミィを唱えてシロップを麻痺させたが、所詮は多勢に無勢、程なく討ち取られた。   ジョッドは助けてくれたことを一行に感謝し、デラメアの装備をはぎ取って一行にくれるという。 いくら異端者とは言え死者の装備をはぐことに若干の抵抗を示すものもいたが、ここを放置すれば異端者にとっての聖地が残ることになり邪教がはびこる元になる、というジョッドの主張ももっともだったので、結局デラメアの入っているクリスタルを破壊し、装備をはいだ後遺体は溶岩の中に廃棄した。 デラメアの着ていた鎧はセレスチャル・アーマーという非常に高価なもので、それをジョッドから譲り受けてラオツェンが装備することになった。   !バフォメット教団討伐 ジョッドをドレゼンまで連れ帰った一行は、今度こそアネヴィアに教わったバフォメット教団のアジトに向かう事にした。 規模から言ってここがアイボリーサンクタムである可能性は低いが、場所を知っている者がいる可能性はある。 アネヴィアに教わった場所に行ってみると洞窟があり、バフォメット信者たちはそこに住み着いているようだ。 その洞窟を見た時、突然ケリアンに不思議な感覚が湧き上がってきた。何か相応しくない者達が神聖な場所を穢している事に対する怒りのような感情だ。普段クールなケリアンにしては珍しいほどヒートアップしている。 とは言え突っ込む前にまずは偵察と言う事で、アーケインアイを送り込んでみる。 すると牛を意匠とした鎧に身を包んだ重装戦士が6人いるのが判明した。数はそう多くない。数々の試練を経て強くなった一行なら十分に勝ち目があるだろう。小細工抜きで正面から突入することにした。 実際のところ、セレスチャル・アーマーの防御力を頼みに前に出たラオツェンが、実は呪いの鎧だったためにアンチパラディンのスマイト付袋叩きの刑にあって危ないところだったが、それ以外はシロップが暴れまわって次々とアンチパラディンたちを薙ぎ払っていった。 遅ればせながら奥の部屋から相手をグラップルしてくる謎のエレメンタルっぽいクリーチャーや、ボスらしき女サモナーの連れたドラゴンモドキっぽいエイドロンが現れたが、いずれもシロップに瞬殺されてしまい、全く良いところがなかった。女サモナーはどうもメイプルの額の紋章に覚えがあるらしかったが、一瞬でエイドロンを倒されて呆然としていた。 なお、その女サモナーはシロップが無双する横でサールディンが地味に非致傷ダメージを与えてとらえることに成功したのだった。 女サモナーをペンテシレイアが尋問してみたが、残念ながらアイボリー・サンクタムの場所は知らなかった。 アイボリー・サンクタムについて彼女から得られた情報は、ボスのザンシール以外にジェリベスという女エルフの幹部がいるという事だけだった。 しかし、彼女からは思わぬ情報が得られた。 彼女は裏切り者のサキュバスがこの辺りを通らないか見張れと命じられていたが、つい先日、そのサキュバスらしきものとそのサキュバスを追いかけるアニス・ハグの一行を見かけたらしい。 裏切り者のサキュバスと言えばアルシェイルの事に違いない。彼女が苦境に立っているのなら何としても救わなければ。 一行は予定を変更して、その一団が向かったという西を目指すことにした。 ここで、女サモナーの扱いについて意見が分かれたが、彼女がサールディンらの説得に応じて改心すると言ったため、Goodな人達が多数決で彼女を信じることにした。ただ、彼女を連れていくのは難しいというケリアンの意見に従い、女サモナーには一足先にドレゼンに向かって一行を待っていてくれるよう頼んだ。 まあ、結局約束の場所に彼女は姿を現さず、ケリアンとオーディーはやっぱりなと思ったが、他の連中を思いやって特にコメントはしなかったそうな。   また、この洞窟は元はエイローデンの神殿だったところにバフォメット信者が住み着いていたらしい。エイローデンなどもはや死んだ神にすぎないし彼に対する信仰心など欠片もないのに、なぜ怒りを感じたのか不思議に思うケリアンだった。   !過去の去来 アルシェイルとハグを追って西に進む一行だったが、なにしろ西の方に向かったという大層あやふやな情報しか手がかりがない。本当にこっちであっているのか不安になりつつも探索を続けていると洞窟を発見した。特になんという事もない洞窟だが1つだけ特徴があった。昔、オーディーが両親と共に探索を行った洞窟にそっくりなのだ。急ぐ旅の途中とは言え、流石にこれを見過ごすわけにもいかない。一行はこの洞窟を探索することにした。 まずはアーケインアイを飛ばしてみるが、洞窟の中には何もいない。 意を決して中に入ってみたが、やはり何もいない。ただ、中もオーディーの記憶そのままであり、ここがオーディーが次元の裂け目に呑み込まれた洞窟であるのは間違いないようだ。一応探索してみたが何もない。まあ、両親の遺体がないというのはある意味良い事だ。 ただ、洞窟の奥にはルーンが刻まれているのが発見された。ルーンは様々な言語を組み合わせて意味不明な内容が書かれているようだ。読んだものは狂気に陥りそうになったが何とか耐えることができた。ただ、このルーンは出鱈目に書かれたわけではなく、何か明白な意図をもってこのように書かれたのだと感じた。あるいはケリアンの持つ石板の様に通常とは異なる方法で禁じられた知識にアクセスしようという試みなのかもしれない。 このルーンにも興味は尽きないが、本格的に調べるとなると時間がどれだけかかるか分からないので、今回はアルシェイルの救援を優先し、この洞窟を後にすることにした。   !棚から牡丹餅 それから更に西に進んでいく。今だアルシェイルの手がかりはなく不安になるが、その一行の前に古い神殿跡が姿を現した。 今回もアーケイン・アイを飛ばして偵察してみると、これこそ神の御導きかターゲットらしきアニス・ハグがいるではないか。神殿中央付近は魔法で守られているのかアーケイン・アイでの偵察は不可能だったが、見えた範囲でヘズロウにカマキリのようなデーモン、ベビリス、ドレイクにまたがったカルト員らしきライダー達。そしてグリムスレイクという巨大芋虫が3体見えた。 ウィッシュすら使用可能な強力なサキュバスであるアルシェイルの討伐に差し向けられる部隊が弱いはずもないのは分かっていたが、予想以上に強力な戦力である ただ一つ有利な条件は、敵が神殿内に散らばっており、迅速に奇襲をかければ各個撃破できそうな点だけだった。 とは言え、恩人であるアルシェイルを脅かす敵となれば何としてもここで討ち取っておきたい。一行は相談の末、大将首のハグに狙いを絞って強襲する事にした。   結果としてこの判断は甘かった。 奇襲は成功したものの、ハグの放ったブラスフェミィは通常をはるかにしのぐ恐るべき力を発揮し、突撃したサールディンやシロップ、ペンテシレイアはバタバタと麻痺して倒れ伏した。恐らくはこのハグもナインドリアン・エリクサーで強化されていたのだろう。 その間に主の危機を感づいたヘズロウやカマキリ型デーモンがテレポートして現れ一行に襲い掛かる。ドレイクライダーや大芋虫達が戦場に辿り着くのもすぐだろう。このままでは返り討ちに遭ってしまう。 その時思わぬ援軍が現れた。先ほどアーケイン・アイで見えなかった範囲にあった塔の中から一団の冒険者が現れて戦い始めたのだ。 魔法使いたちがドレイクライダーにコーン・オブ・コールドを吹き付け、戦士達が大芋虫に立ち向かう。また、どこかシロップに似た雰囲気のエイドロンが空中を飛んでドレイクライダーに接近戦を挑む。どうやらこれ以上の援軍は彼らが阻止してくれるようだ。   この隙に体勢を立て直したOotRMの一行はハグ達に反撃を開始する。 羽音で混乱を巻き起こすカマキリ型デーモンをラオツェンが射落とす。ブラスフェミィを使って更に混乱を巻き起こしたヘズロウもまたその後を追った。 自らをディヴァイン・パワーで強化し、ヒールで回復したハグは目についたサールディンを叩き潰そうと猛攻を加えるが、サールディンはこの攻撃にかろうじて耐えた。その隙に透明化したペンテシレイアやケリアンの呪文で回復したシロップの攻撃がハグに痛手を与えていく。 最後は回復しようとヒールを唱えようとしたが失敗し、ペンテシレイアの攻撃の前に倒れたのだった。恐ろしい相手だった。   ハグとの戦いが終わると、同様にドレイクライダーや大芋虫を片付けた冒険者達が近づいてきて、こちらは何者かと問いただしてきた。警戒を解く様子がないのはこちらがティーフリングばかりだからだろうか。特にエルフの女パラディンはひどく警戒している。 まあ、それでも何とか誤解を解くと、驚くべき事が分かった。なんと彼らはパスファインダー協会のジャガリー一行だというのだ。ガルフリー女王からの使命の中でも最も手掛かりのなかったジャガリー捜索が思いがけず果たせるとは何たる僥倖。 しかも、ジャガリー達はアルシェイルを保護しているという。彼女を保護した事でハグとの戦いに巻き込まれてしまったのだろう。OotRMに負けず劣らずお人好しな連中である。アルシェイルは塔の2階で臥せっているというので急いで駆け付けるとそこには懐かしいアルシェイルの姿があった。 流石に村とは違い翼や角は魔法で隠しているようだが、その顔は間違いない。彼女は一行を見ると非常に驚いた様子だったが、無事を心から喜んでくれた。アルシェイルと一行は別れてからの情報を交換しあい、アンダルトやスラッシュら犠牲になった者達に祈りを捧げたのだった。   !ジャガリー伯爵 アルシェイルとの面会後、一行は今度はジャガリー達と情報交換することにした。と言ってもジャガリーは自分の任務については話そうとせず、主に現在の情勢について一行から話すことになった。 ジャガリーはワードストーンの復活に驚くとともに喜び、ワールドウーンドから直接テレポートするのは危険なので、まずはドレゼンに戻ってからテレポートでネロシャンに向かうつもりと言ったため、念のため護衛しつつドレゼンに戻ることにした。 その晩はジャガリーの護衛達と色々と話す機会があった。 女パラディンのオパラルはいまだにティーフリングに対する露骨な警戒心を露わにしていたが、同じアイオメディのパラディンであるサールディンには少しだけ心を許しているようだった。 一方で同じくパラディンのエイプリアンは気さくで細かいことを気にしないタイプらしく、一行にも分け隔てなく公正に接してきた。まさにパラディンの鑑である。 ティーフリングのロドヴァンはオパラルとは逆に非常になれなれしく、一行もティーフリングが多いと言う事で親近感を覚えたのか何くれとなく世話を焼いてきた。 それを尻目にソーサラーのジェラニはこちらに関心が無いらしく、一人離れたところから騒ぎを見ていた。 そして、サモナーのアレイス。彼女との出会いはメイプルにとって運命的であった。 彼女もまたメイプルと同じゴッド・コーラーだったのだ。彼女のエイドロンであるトンバースはアレイスがいたウィドウナイフ・クランで神とあがめられていたトーテムで、シロップの古い友人だという。ただトンバースもシロップ同様記憶が封じられているらしく、自分達がどういう存在だったかはっきりしないのだという事だった。 ただ、トンバースとシロップが出会ったことで記憶の封印が緩んできているのを感じるとも言い、もし自分たちと同じ存在である4体の存在が一堂に集まれば封印が完全に解ける可能性があるそうだ。ただ、トンバースは3体目の仲間であるタメリにはあった事があるが、彼の主人はダイモンと取引してデーモンから護ってもらう代わりに村人を生贄に捧げるような人物だったし、最後の4体目に関しては行方も知れないとの事だった。 その後、アレイスとメイプルは色々と語り合い、あまり自分のベイルムーン・クランの事を知る前に村を飛び出したメイプルにとっては自分の事を知る良い機会となった。 なお、先の戦いでジャガリーのカードのような形状の特殊なスクロールを操る技に関心を持ったオーディーは色々と教わっていた。   また、長生きな上にもともとはデーモン側にくみしていたアルシェイルなら知っているかもしれないと聞いてみたところ、なんとアイボリー・サンクタムの場所を知っているという。ジャガリー達をドレゼンまで送り届けた後、アルシェイルの案内でアイボリー・サンクタムに攻め込むことにした。 アイボリー・サンクタムにはネロシャンで遭遇した恐るべき魔法使いがいるはずである。厳しい戦いが待っているだろうが、デーモン達の侵攻を押し返し、平和をもたらすためにはナインドリアン・エリクサーの供給は何としても止めなければならない。覚悟を新たにするOotRMの一行であった。 続く