!!第一話「ケナブレス、陥落」 !アポナヴィシャスの襲撃 外の声を聞いて、アルシェイルは、子供達に言った。 「今すぐ家に戻って、全速力で旅支度をしなさい。そして、村の入り口まで来るのです。」 そしてラオツェンに近寄ると、 「あなたは例の文鎮も持って行きなさい」 とささやいた。 皆が急いで旅支度をして村の前にいると、そこには恐ろしい数のデーモンがいた。ヴロックやババウ、全部で100匹はいようか。しかも、彼等は村を襲っているのではなく、軍隊のように整然と並んでいた。 そして門の前には、モルガン、アンダルト、ドーレスタ、クラーダ、スラッシュ、そしてアルシェイルが並んでいた。 デーモン達の間を縫って、下半身が蛇で上半身が6本腕の女性が、ローブを被った男を引き連れて姿を現した。そしてアルシェイルを見つけると言った。 「アルシェイル、久しいな、探すのに苦労したぞ。しばらく姿を見かけないと思ったが、こんな所で何をしているのだ?」 蛇女の口調は悪魔のものとは思えぬフランクなもので、明らかにアルシェイルを知っているような雰囲気だった。 「アポナヴィシャス、あなたこそ、この村に何のようですか」 そう答えるアルシェイルも確かにアポナヴィシャスを知っているようだった。 「村?おお、ここは集落だったのか。なるほどなるほど、あの護りはこの村を対象としていたのか。まぁ、こんな村に用事は無い。あるのはお前と、お前が持っているナインドリアンクリスタルだけだ」 「そんなものはここにはありません。お引き取りください」 「アルシェイル、こんな小さな狩り場で満足するお前では無いだろう?こんな所はさっさと引き払って、私と一緒に南へ行くのだ。これから私はネロシャンへ侵攻をかける。もっと大勢の人間を生贄にしようじゃないか」 「アポナヴィシャス、私は行きません。クリスタルも、私が持っているというのは何かの誤解です。私はこの村で静かに暮らしたいだけなのです。どうか、お引き取り頂けないでしょうか」 「フフフ、さすがはデスカリ様配下の中でもマスタースパイの異名を取るサキュバス、アルシェイルよ、こんな時でも芝居を止めないとは。だが、お前が受けている命令がなんであれ、私が受けている命令はデスカリ様の至上命令だ。これから行う作戦で、メンデヴは崩壊し、世界の傷はもっと血を流し始めることになるだろう。さ、速く来い。ついでに、この村も景気づけに破壊しよう。お前のことを信じていた人間の顔が恐怖で歪む様は、数十分をかける価値はあるだろうて」 アルシェイルは黙った。不安に思うサールディン達の頭にアルシェイルのテレパシーの声が響いた。 「これから、あなたたちをケナブレスまで飛ばします。街の人達に、危機を伝えてください。」 そして、ラオツェンの頭にだけ、追加の声が。 「そのクリスタルを誰かの手に渡してはいけません。約束ですよ」 そして、アルシェイルは肉声でアポナヴィシャスに向かって言った。 「アポナヴィシャス、私は変わったのです。私はデーモンかもしれませんが、もはやデスカリの配下ではありません。私はデズナ様の導きに従い、この村を守っているのです。どうしても立ち去って頂けないというなら、かつての仲間とあれ、敵対することも辞しません」 アポナヴィシャスは当惑した様子で、押し黙った。 「…。お前の言うことだからどこまで本当かは全く判らんが、噂は本当だったということか。…くだらん、まったくもって下らん。お前ほどの力を持ったデーモンが、人間と仲良く暮らしたいなどと…なんとくだらない。まぁいい、お前がそう言うなら、こちらも容赦はせん。なに、この村が崩壊して1ヶ月も痛めつけられれば、お前もすぐ昔を思い出すだろう…行くぞ!」 そう言ってマリリスが突撃してくると、アルシェイルはスクロールを抜いて唱え始めた。 「ザンシール!」マリリスが叫ぶと、ローブの男がカウンターをかけようとする。しかし、そこに待ち構えていたらしいモルガンがテレポートさせたアンダルトが。 「サールディン、見ておけ、これがPaladinというものだ、Smite Evil!」ローブの男に剣が食い込むと光が飛び散る。男は呪文を失敗するが、男の体からは小さな黒い虫が飛び散ってアンダルトに食いつき、苦しめる。 「こいつは貸しだ、アルシェイル。ホーリーワード!」いつの間にか敵部隊の真ん中にいたクラーダが唱えると、敵部隊のほとんどが消え去った。 そして、アルシェイルのスクロールが光を放つ。 「I Wish、子供達をケナブレスへ!」 そして突っ込んできたアポナヴィシャスにアルシェイルが吹き飛ばされるを見るか見ないかのうち、君たちの目の前は真っ暗になり、気がつくと、夕暮れのケナブレスが見える丘の上に立っていた。ペンテシレイアが投げたジャベリンが、丘の斜面に空しく刺さった。「この危機を騎士団に知らせなくては!」サールディンを先頭にケナブレスに向かって走り出す。 !ケナブレス城門 ケナブレスの城門は城門が閉められる前に街に入ろうとする人々で混み合っていた。城門を通ろうとしたとき、ティーフリングの容貌が目立ったのか衛兵に呼び止められた。この街でティーフリングは明らかに不審者なのだ。 お前たちは何者だと問われOrder of the Holy Lightの縁者だと名乗るとますます怪訝な顔で見らる。その空気を察した一行は村が悪魔に襲われたことを知らせに急いでケナブレスにやってきたと告げるが、その言葉を信じていない衛兵は「どこの村から来た?」と問い返してくるのであった。「ワールドウーンドの中にある「村」から来た」そう告げると衛兵はワールドウーンドに人は住んでいないと言った。更にアポナビシャスが村にやってきたんだ信じてくれと言うと、衛兵は一連のやり取りを明らかに子供の悪戯だと判断したのか面倒くさそうに通って良いからあっちに行けと追い払われるように街に入るのであった。 !廃墟と化した孤児院 ケナブレスの街に入ったは良いが行くあてのない一行は、まずサールディンが世話になっていたという孤児院に行ってみることにした。だが、いざ孤児院があった場所まで行ってみると、孤児院は潰れてなくなっていた。近所の人に孤児院がどうなったのか話を聴いて回ると、10年ほど前に悪魔に子供を売った罪を問われ取り潰しになったらしい。この話を聴くとサールディンは自分がアルシェイルに連れられ「村」に行ったことが原因で孤児院が潰れたと悟り涙するのであった。 !話を聞いてくれる人を探して 悪魔襲来を知らせるため手当たり次第に騎士団を探して歩いたが、ケナブレスの街の中は無数の騎士団で溢れかえっていた。だが話を聴いてくれる騎士団はなく、このままでは危機を知らせることができないと考えた一行は、この街の偉い人と話をする必要があると考えた。この街の偉い人とは誰だ?まずはその情報を収集することにした。 その結果わかったのは一番偉いのはアイオーメディの神官でもあるハルラン様ということだった。ちょうど明日の正午にハルラン様が今年の祭りの開催の挨拶をすることもわかった。広場で大衆を前に演説をすることになるのでそのときに姿を見ることは可能だろう。そのときに直訴するか?そんなことを考えるのであった。 アイオーメディの神殿なら悪魔襲来のニュースを真剣に受け止めてくれるのではないか?そう考えて今度はアイオーメディ神殿に行ってみることにした。だが末端の神殿は明日から始まる祭りの準備に忙しく、ろくに話も聞いてもらえずに門前払いを食らったのだった。 次の神殿に話を持っていくときには作戦を変えることにした。今まで悪魔襲来を信じてもらえるに足りる証拠を示せなかった。だから誰も信じてくれない。そこで魔法でも何でも使って一行が嘘を言っていないことを調べてくれと持ちかけることにしたのだ。 今回の神殿の神官は、前の神殿の神官よりも親切だった。だが、一行が示したような魔法でも何でも使って嘘をついていないか調べるようなことはこんな末端の神殿の神官には無理で、本殿でしかできないと悲しそうな顔で答えられるのであった。期待に答えてあげられないことを不憫に思ったのか、代わりにパラディンのイラベスを紹介してくれた。 イラベスはイーグル・ウォッチという騎士団の分隊長で、このあたりの自警団のボスのような存在のハーフオーク女性だった。一行はイラベスに会いに行き、先ほどと同じように真実を包み隠さず語り、それが真実かどうかどんな手段を使っても良いから調べて欲しいと訴えかけた。 ハーフオークという生まれで、オークの血が混じっているからと同じように誰からも信頼されなかった過去を持つイラベスはその話を信じてくれたようだが、それを他の人に証明する手立てはなかった。また分隊長に過ぎないイラベスの持つ権限ではたいして力にもなれないのだった。 更にイラベスは、ハルラン様はインクイジターだからハルラン様と話をすることができれば、真実を見抜く力を持つハルラン様のことだから、この話がもし真実であればわかってもらえるかも知れないと語った。問題はそのハルラン様と話をする手立てがないことだが。 !Order of the Holy Lightの末路 アイオーメディ神殿の本殿もハルラン様もケナブレスの内壁の奥にいる。内壁の城門は朝にならないと開かないので、明日にならないとこれ以上どうしようもないことがわかった。 そこで今日はもう諦めて宿を探すことにした。まずはラオツェンの家に泊まれないかと様子を見に行くが、ラオツェンの家はすでに人手に渡っており全く知らない一家が住んでいた。 次にサールディンの家を見に行った。サールディンの家は入口のところにロープが張られており、立ち入り禁止になっていた。入口のすぐ脇に張り紙がしてあり「Order of the Holy Lightの情報をお持ちの方はEverbright Churchまで」と書いてあった。 これを見てかつてOrder of the Holy Lightに何かあったことがわかり、何があったのか情報を収集してみることにした。その結果わかったのは、9年前のコーラムゼイダによるケナブレス襲撃のあと、Order of the Holy Lightは悪魔と通じていたため異端審問にかけられたらしい。元々、コーラムゼイダの襲撃で生き残りがほとんどいなかったが、この異端審問で騎士団は解体、悪は粛清され、残った者達はEverbright Churchに吸収された。そのEverbright Churchも3年前にYathの塔に悪魔討伐のため進軍し塔の爆発によって壊滅した。これで城門のところで衛兵に怪訝な顔をされた理由がわかった。 !ケナブレスの夜 立ち入り禁止になっている場所に勝手に入るわけにはいかないとサールディンは今晩の宿を確保しに出かけた。それを待つ間、ラオツェンはサールディンの家の中を探索することにした。家の中は既に家捜しされたあとでほとんどのものは運び出されたあとだった。そんな中、床に1枚の壊れた高品質の盾が落ちているのを見つけた。裏にはかすれた文字でColdiron wardsと書かれていた。おそらくサールディンの肉親が使っていたものだろう。形見の品としてサールディンに渡そうと持っていくことにした。 宿を探しに出かけていたサールディンは、途中で食べ物を調達していた。サールディンは食べ物屋のおばちゃんにティーフリングであることを同情され、ネロシャンにアシュナス様という強いティーフリングが率いる騎士団があることを教えてもらった。 結局、サールディンは何とか3人分の宿を確保することができた。サールディンは奥ゆかしくちゃんとした寝床は女性陣に譲り、路上で一夜を明かすのであった。 翌朝、それぞれの寝床から集合して朝の打ち合わせをする。ハルラン様の演説は昼からなので午前中は自由行動として昼に演説が行われる広場に集合することにした。半数は悪魔襲来の危機を訴えるために内壁の中にあるアイオーメディ神殿の本殿に、残りの半数は調べ物をするために図書館に向かった。 !アイオーメディ神殿本殿にて アイオメディ神殿の本殿は賑わっていた。だが忙しすぎて誰も子供には見向きもしてくれないようだ。それでも何とか暇そうな人を見つけて悪魔襲来の危機を告げたが、たちの悪い子供の悪戯として片づけられ、屈強だがガラの悪そうな騎士に殴られた挙句つまみだされてしまった。 !図書館 一方、図書館では子供向けワールドウーンズ講座をやっていた。話の内容はアルシェイルが話してくれた内容とほぼ同じだったが、アルシェイルの話の方がまるで見てきたかの如く妙に詳しかったに気がついた。 ラオツェンは密かにナインドリアンクリスタルに関する記述がないか探すが特に見つからなかった。また、ワールドウーンズの中にある「村」について何か記述がないかと調べてみるが、ワールドウーンド内には基本的にだれも住んでおらず、人がいたとしてもガンドランくらいだということがわかっただけだった。 ラオツェンはついでにヤスの塔についても調べてみた。ヤスの塔はあるとき突然出現した。悪魔共が建てた塔らしいが、塔の建設にあたっては人間側に建設の手引きをした連中がいたらしい。ヤスの塔はもともとブラザーフッド・オブ・タラが作った対悪魔用の塔だったらしいが、悪魔共がそれを悪用して作り変えたそうだ。 完成した塔は精神波を出して人々の心を支配して塔に呼び寄せ、悪魔に更なる力を与えるらしい。中でもワードストーンを越えてテレポートできるようになるのが一番の問題と言えた。だが、3年前にそれをEverbright Churchが攻略し塔の大爆発によって幕を閉じた。その時にEverbright Churchも相打ちになって全滅したといわれている。 さらに悪魔化した身体について調べるため、悪魔を人に戻す方法を調べてみたがわかったのは悪魔になった人間のことだけだった。あの伝説の魔女エイリールのことだ。エイリールはワールドウーンドをこの世界に開く大仕事を終えた後、研究に研究を重ねてハーフデーモンになったといわれているが、この話は何の参考にもならなかった。 オーディーはワールドウーンドの生物について調べていた。ワールドウーンドの中に生き物は変異していて異常に生命力が高い。学術的にはフィーンディッシュMMFと呼ばれている。だがオーディーはここではたと気がついた。これらのデータは誰が収集しているのだ?気になったオーディーは司書にそういう調査をしている人はいるのかと質問するが、司書はゴニョゴニョとなぜか口を濁すのだった。そこから得られた情報として、時には女王の命令で調査のために騎士団が派遣されることがあることや、昔はワールドウーンドへ調査の片道旅行に出かけたもののいたようだ。 !コーラムゼイダ再び 正午が近くなったので広場に行ってハルラン様の挨拶を聴くことにする。もちろん真の目的はハルラン様に直訴することだ。だが、そのチャンスはとうとう訪れなかった。 ハルラン様が祭りの開催を宣言しようと口を開いたその瞬間、大爆発が起こり爆風が押し寄せる。爆風が収まったあと、いつもそこにそびえていたはずのワードストーンがきれいさっぱりなくなっていた。 爆発があったワードストーン跡の方に突然、巨大な炎と雷の爆炎が吹きあがり煙が上がる。すると人間に姿を変えて群衆に紛れこんでいたシルバードラゴンのテレンデルヴがその真の姿を現し、上空から迫りくるベイラーロードを迎え撃った。あれはコーラムゼイダ! 奴が再びこのケナブレスに戻ってきたのだ。そしてそれに呼応するように悪魔が続々とテレポートして現れた。 コーラムゼイダとテレンデルヴの戦いでは徐々にテレンデルヴが押されていった。まるでコーラムゼイダは何らかの方法で強化されているかのようだ。ついにテレンデルヴが地面に叩きつけられ、広場が大きく割れる。これまで知られていなったが広場の地下に空洞があったようだ。みんなそれに巻き込まれ地下へと落ちて行った。 そのまま落ちていれば、落ちた時の衝撃とその後降り注いだ瓦礫とで死んでいたかもしれない。だがテレンデルヴは最後の力を振り絞り、地下へ落ちていく人々にフェザーフォールの呪文をかけてくれた。だがその代償としてテレンデルヴはコーラムゼイダの手にかかってその首を飛ばされてしまうのだった。 !生存者 テレンデルヴのおかげでそっと地下に降り立った一行。その後降り注ぐ瓦礫でみんなが気絶する中、たまたま瓦礫を逃れたラオツェンはサールディンにとどめを刺そうと近寄る怪しい姿に気がついた。ドレッチだ! ドレッチとサールディンの間に割って入って庇う。ドレッチに続いて続々現れる巨大ゴキブリや巨大ウジ虫の襲撃も何とか撃退し生存者を集めるのだった。集めてみてわかったことだがドロクとエレンスははぐれていた。地下に落ちなかったのかもしれない。 生存者の1人目はやたらとカクカクした動きの男のガド。商人だが今日会った男に呪いをかけられてしまいあらゆる行動が75%の途中で止まってしまうため、まともに話もできない。 2人目は巨大ゴキブリに食料として連れ去られそうになっていたアネヴィア。イーグルウォッチに所属する戦士で武器の心得もあるのだが手足が折れているため戦力にはならなそうだ。 3人目は身なりが良いやたらと傲慢な男ホルガス・グウェルム。この町の貴族だ。貴族らしく常に尊大に振舞っていた。 最後に眼を怪我して盲目になったエルフのアラヴァシュニアル。自称、魔法の商人。悪魔の剣に目を切られたため眼が見えなくなったらしい。だがやたらと仕切りたがりで、合理的だが空気の読めない男だった。 こちらも一人ひとり自己紹介をしていくと、なぜかサールディンのところでアネヴィアがビクリとしてる。なにかあるのかもしれない。この後、自らリーダーを志願した仕切りたがりのアラヴァシュニアルのに従って脱出を始めるのだが、その言動は合理的で正しいことを言っているにも関わらず何だかムッとするものばかりだった。 !地上を目指して 一行が落ちた広場からは2本の道が延びていた。アラヴァシュニアが冒険者の法則に従って右側の道を選択する。しばらく行くと上のほうにバックパックが引っかかっているのを発見した。ペンテレイシアが登ってとりに行く。バックパックは高品質のバックパックで、中には食料やマキビシ、矢、ポーションなどが入っていた。ポーションはキュア・ライト・ウンズとレッサー・レストレーションだった。 アラヴァシュニアに嫌われたペンテレイシアが斥候を務め先に進む。すると先を歩くペンテレイシアの頭上に石筍のようなものが落ちてきてクルリと巻き付いた。悲鳴が上がる。すぐに助けに行かなければと飛び出す一行を制止するようにアラヴァシュニアルが言う 「前方に危険があるようだから慎重に行こう」 そんな空気が読めない男アラヴァシュニアを無視してペンテレイシアを助けに向かう。石筍はエグゼキューショナーズフードという頭上に落ちてきて、まるで処刑人の頭巾のように頭を締め上げて獲物を殺す恐るべき生物だ。良く天井を見るともう1匹にじり寄って来ているのがわかる。さらに後ろから蛇も2匹やってくる。だが最初の奇襲をかわせばさほどの脅威ではない。エグゼキューショナーズフードと蛇はすぐに制圧され安全が確保された。 !地下神殿 20分ほど歩くと分岐があった。一方から光が見えるのでそちらが地上かもしれないと行ってみるのだが、そこから漏れてくる光が陽の光ではなく不気味な緑色だとわかると期待感は急速に薄れていった。 その道の先、緑の光の奥には石造りの神殿があった。掲げられている紋章からするとトラグの神殿のようだ。扉を開けて中に入ると、祭壇のようにも見えるベンチに座り込んでいる人影があった。サールディンが声をかけてみるとそれはスケルトンでいきなり襲いかかってきた。 それと同時に神殿の外ではどこからともなく現れた巨大蠅に襲われていた。巨大蠅は病気を運んでくるのが厄介なところだが、さほど強くはなくすぐに撃墜された。 神殿の中のスケルトンはサールディンのスマイトで撃破された。スケルトンを倒すとそこにはザックが残されていた。中にはワンドと紙の束が入ったいた。紙の束はどうたら手紙のようで、その内容にざっと目を通したオーディーはその中に知った名前があるのを発見した。この手紙は女に騙されて地下に神殿を作ったトラグ神官のものだった。神官が記していた女の名前はアルシェイル。村長と同じ名前だった。 その時けり案のバックパックから光が漏れてきた。不審に思って中を調べると、いつから持っているのか良く分からない本がなぜか光っている。ケリアンが本を手に取るとなぜか勝手にパラパラとページがめくれ、パズルのようなものが描かれたページで止まった。そこには一言「アルシェイルとは何者か?」と記されていた。それを読んだときケリアンの頭にビジョンが浮かんだが、その意味は良く分からなかった。 ワンドはキュア・ライト・ウーンズで重宝しそうだった。 あとに残してきた生存者たちのところに戻ってみるとホルガスとアネヴィアが喧嘩をしていた。なんでもアネヴィアが怪我をしていて歩みが遅いからさっさと地上に出られないのだとホルガスが怒っているらしい。怪我をしているアネヴィアが少しでも早く歩けるようにとサールディンが肩を貸そうと申し出たが、なぜかアネヴィアは激怒してそれを断り、直後にはっとした表情に戻って謝罪するのだった。 !ダークマント 分岐点まで戻り反対側の道に進む。途中、危険なものに遭遇することはなかった。ペンテレイシアを斥候に進んでいくと、天井付近をふわふわと飛び回る布のようなものがいることに気がついた。だが、同時に向こうもこちらに気がついたようだ。すぐに踵を返し追いつかれる前に報告に戻るのだった。 天井付近を浮遊していたのはダークマントという生き物らしい。飛び回っているのでなかなか攻撃しにくいのがミソだ。アラヴァシュニアルはサモナーが召喚するエイドロンは使い捨てだからシロップを囮にあいつらを下におびき出せば良いじゃないかと作戦提案をする。みんな渋っていたがシロップ当人がOKを出したので作戦決行されることになった。 ダークマントにたかられてシロップが元の世界に送り返されるハプニングはあったが、ダークマントは撃退された。ダークマントを撃退した後、あたりを調べてみると壁に何かが彫り込まれていた。どうやら第1次クルセイドの様子を記した記録のようだった。 !狂ったドワーフ 通路を進んでいくと焚火のような赤い光が漏れているのが見えた。ペンテレイシアが進んでいくとそこには一人のドワーフが座り込んでモゴモゴと言っていた。ドワーフは「おまえは誰だ、ここは俺の城だから出て行け」言うので「私はメイプル」と必要のない嘘の名前を答えるペンテレイシア。だがすぐに偽名が発覚しドワーフが逆上して襲ってきた。それをなだめようと自分はアイオーメディのパラディンだと名乗りを上げるサールディンにさらに逆上しファイアボールを放ってきた。結局、説得は無理そうなので気絶させて捕獲することにした。ドワーフの名前はイローンというらしいが、このまま殺すわけにもいかず縛ったまま連れていくことにした。 !崩れた塔 ドワーフのいた部屋の奥は登りになっていた。そこはシャフトになっており登れるように壁にはピトンが打ち込まれている。そこを登っていくと大きな洞窟にたどり着いた。広間の中央には崩れた塔のようなものがあり、その瓦礫の下敷きになっているのとそれを助けようとする変な生き物がいた。 アラヴァシュニアルはあからさまに怪しいから先制攻撃で殲滅してしまえと言ってくるが、それでは騎士道に反するとサールディンはまずは会話を試みることにした。 見た目はティーフリングに劣らずの怪物じみた姿だったが、話をしてみると意外に良い奴らであった。先ほどの地震で塔が崩落して仲間が下敷きになってしまったので救出を手伝ってほしいということだった。そこでみんなで救出を手伝って、下敷きになっていた2人を救出した。 話を聞くとこの洞窟の近所に住む人たちで、狂ったドワーフを見張るための見張り塔がここにあったのだが地震で崩落してしまったらしい。地上に出る道は知らないが、長老なら知っているかもというので、悪魔の軍勢とケナブレスの戦いがどうなったか心配しつつ長老がいるという集落を目指すことにした。道々名前を聞き出すと、下敷きになっていた2人がクレルとダイラ、2人を助けようとしていたのがリーダー格のランという名前であることがわかった。 !地割れ 集落に向かって進んでいくと途中に地割れができていた。もともとはちゃんと道が通じていて地割れなんか無かったらしいのだが、先ほどの地震で地割れができてしまったようだ。地割れを飛び越える自信がない者もいるのでラオツェンとランが先行して集落まで行って助けを求めることにした。 ラオツェンとランが地割れを飛び越えて更に20分ほど歩くと広い部屋に出た。ランの話ではこの先には恐ろしいキノコがいるらしい。ただ、ねぐらにいなければ安全に通過できるというので、まずはランが様子を見に行くことにした。その結果いないことがわかったので、戻ってくる前にさっさと通過することにした。 部屋の中を進んで行くと、新しい死体が2つあるのを見つけた。肩にはアイオーメディの印が付いているので鎧を見る限りクルセイダーのように見える。だがすでにこと切れているようなので、そちらはとりあえず置いておいて、救援を呼ぶことを優先した。 そこから15分ほど行くと地底湖があり、その真ん中に集落があった。事情を話して裂け目を渡るのに役立つ道具を探してもらい、即席のはしごを作ってすぐに地割れのところまで戻るのだった。 !裏切り者のクルセイダー ラオツェンとランの帰りを待っている間、メイプルはアネヴィアの手当てをしようと申し出たがやんわりと断られてしまった。仕方がないのでその後時間をかけてアラヴァシュニアルの眼の手当てをすることにした。同じころケリアンはホルガスの愚痴に付き合わされてうんざりしていた。 ラオツェンとランが梯子を持って地割れまで戻ってきたので、それを使って地割れを渡り全員で村に向かった。途中、先ほどの鎧の死体があるところに再び差し掛かった。調べてみると死体は男女だった。その時メイプルはバフォメットのホーリーシンボルを握り締めていることを発見する。死因はキノコにやられたからのようだ。時期的には比較的最近。 アイオーメディのクルセイダーがバフォメットに転んでしまっているとは嘆かわしいとアネヴィアが言い、アラヴァシュニアルはこれこそがバフォメット信者がアイオメディのクルセイダーに混じって暗躍している証拠と大喜びしていた。 !ニースホルムにて ようやく全員で村にたどり着いた。村は地底湖の中心の島にあり発光キノコで照らされていた。村人たちは友好的で、案内してくれたランはまずチーフ・スールさんに会ってくれと言ってきた。 チーフ・スールは何となくネズミっぽい人物だった。チーフ・スールからこの村について話をしてくれた。この村の名前はニースホルム。ここに住む住人はモングレルマンと呼ばれている。彼らは第1次クルセイダーの子孫で、この場所にずっと住んでいるらしい。 第1次クルセイダーの当時、ワールドウーンズ対策はまだ十分ではなかった。そのためワールドウーンズの影響を受けた異形の子供たちがたくさん生まれてきた。この町は、そんな異形の子供たちが迫害を受けないよう、人目を避けて地下に移住した者たちの子孫ということだ。ランたちを助けたお礼にキュア・ライト・ウーンズのポーションをもらった。 地上への出口について聞くとここから南に向かったところに出口があることがわかった。だが、その途上に、何らかのカルティストと手を組んだため周辺の集落から「裏切り者」と呼ばれる集落がある。地上に向かうのであれば、彼らの領域を通らなければならないし、そうなれば襲われることは間違いなく、話し合いの余地もないので、この辺一帯の平和のためにも奴らを滅ぼして欲しいと以来を受けた。 出発は明日、今日のところは宿の提供を受けてゆっくり休むことにした。 (次回に続く)