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第19回セッションログ

よお、俺だ。
久しぶりだな、前に会ったのはいつだったか。
まあ、懐かしむのは後にしよう。

どこまで話したっけな。
ああ、ああそうだ、連中がムーンビーストどもの砦に忍び込んだ所だった。
たしか、牢屋と虜囚を見つけたんだ。

そう、牢屋とくれば拷問!当然だよな。
牢屋があって拷問が無いなんてダンジョンにあるまじきことだ。
もちろんこの砦にも拷問部屋は備えられている。
牢屋のすぐ階上がそれでな、ダンジョンの拷問部屋といったらよく意味のわからん無駄なギミックのヤツとか良くあるだろ。
いやまあ、シンプルな奴ももちろん有るんだけどよ、でも連中もこのころにはもう何か人間離れしたあれやこれやが出来るようなバケモンだ。
そういう奴らが行くようなダンジョンにある拷問器具だぜ?
そらあステキな仕掛けが盛沢山よ。
ここの拷問官はなんというかその、人の悲鳴が大好きらしくてな、どうも魔法でわざわざ録音してコレクションしてたらしいんだよ。
拷問自体もゴーレムにしたファラリスの雄牛やアイアンメイデンが勝手にやってくれて全自動!効率的!ときたもんだ。

犠牲者の悲鳴は拷問部屋の壁とかから魔法で吸収していて、3階に置かれた録音機に送られてたんだ。
んで、拷問官を倒した後、連中はその録音機をぶち壊したらしいんだけどさ、大量に撮り貯めた悲鳴が一気に噴き出したもんだからすんごい衝撃波になって吹っ飛ばされたんだと。どんだけだって話だよ。

拷問官はナイトメアドラゴン?とかいう奴でな、特徴と言えばまあドラゴンだ。
酸の息は脅威的だし、ただでさえデカくて強い癖に魔法でさらに底上げしてくる。
強いて他と違う所があるとすりゃ、ヤツの魔法は念力による物だってところかね。
とはいえ、相対する連中も歴戦の冒険者。ドラゴンの対処法など良く知るところだ。
解呪を重ねて最後にミーってヤツが心臓を二突きで仕留めてたな。
さっき言った2体の拷問器具ゴーレムも一緒に襲ってきたけど、結局はゴーレムだからな、リューシンが魔法であけた穴に真っ逆さまよ。

閑話休題、とにもかくにも拷問官を突破した奥の独房で連中は目的の黄色いおっさんを見つけたんだ。
これから拷問するつもりだったのかはわからんし、ムーンビーストどもがいっぱい閉じ込めたい派といっぱい拷問したい派に別れて派閥争いしてたらしいとかの良くわからん話も教えてくれたけど、他に用もないのでさっさとオサラバさ。

翌日、ええと、ここで30日目だな。
黄色いおっさんは「狂える詩人」――ああ、あの「狂える詩人」のことだ。多くは語るまいよ――に取り次いでくれるってんでいつもの砂漠のハコに集まったわけだ。
こっから6時間ほど砂漠を行軍することになったんだけど、その前にヒョウタン入りの魔法薬なんてシャレたもんを渡されて回し飲みなんかしてたな。

行軍の果てにオアシスが見えてだな、小屋もあるから当然駆け寄るんだが湖畔に1本だけ立っている木が蔓をしならせて襲ってくるわけだ。
人参果っていうのか?人の顔をした果実が生っててな、イヤにいーい匂いがすんだよ。
それこそ正気を失う程でだな、連中も2人残して夢中になって齧り付きだしたんだ。
食い始めた連中は酔っぱらっちまって、殴りつけられんのも構わず更に次をと手を伸ばすもんで、まあかなり酷い光景だったな。
4人も居ればそのまま全部食いつくしちまって、その間にアックスが斧で伐採完了だ。

小屋には「狂える詩人」が居てな、流石の大魔術師でね。こちらのことは何でも知ってるし、貢物のお返しに凄い魔法の本をプレゼントしてくれたりすんだ。
まあそんで湖の霧の幻影で知りたいことを一通り見せてくれんだ。
ロールズがもう人間でなくなっていること、スターステラを使ってゴラリオンにカルコサを転写しようとしていること、その果てにザメン=ドゥを復活させようとしていること、連中が記憶を失う前に何をやっていたかあたりだな。

いまいち意味が解らんが幻影の仕上げといった感じで水鏡から自分の鏡像が出てきて襲ってきてだな。
似たような呪いの鏡があったような気もするけど、ここで出てくる奴らには実体が無くてな、やっつけんのに苦労してたよ。
偽物相手だからってここぞとばかりにミーが仲間どもの罵倒を繰り返していたのはケッサクだったな。
どうもこの偽物はロールズのヤツも戦ったらしい。

終わってみて気が付けば「狂える詩人」はもうどこにもいなくなっていてだな。
そしたらよ、起きろって聞こえてきたんだ。
イッチばん最初に夢で聞いた声で、もう自由だっていうんだ。自由であり続けるためには自分を探せってさ。

そうだな、おれもおまえも自由だ。