!少し時間を巻き戻して Mordant Spireからの使者モズクがやって来るまでの約一ヶ月間、開拓者達は思い思いに過ごした。 とりあえずは前回救出した人々の治療を試みるキャスター陣。幸いリムーブ・カースで治ることが分かったので毎日少しずつ治療していった。一方最近魔法への興味が増してきたウルバノは団長と共に研究用ラボの建築を行った。残るヴィクターは愛刀の強化をイスカに依頼した後は女性たちの元に通って過ごしていた。 治療が済んでからはキャスター陣も自分や仲間のマジックアイテムの作成に精を出し、今後の戦いに備えていた。また、アルコーは精神面のケアと称して救出された人々に布教をして周り、地味にグロトゥス信仰を広めていた。 !海底都市タラサントリー 前回殺人昆布に襲われ酷い目に遭った一行は漸くもう少しで目指すタラサントリーの街だという所まで来ていた。すると何処からか歌が聞こえてきた。見れば一行が進む先の小さな岩場にマーフォークの女性が居り、歌を歌っていた。タラサントリーの人だろうかと一行は彼女に話しかけようと近付くが、それよりも早く突如海中から現れたサハギンの集団が彼女に襲い掛かった。 見過ごすわけにもいかず助けに向かう一行。サハギンは全部で四体、皆かなりの手練れだった。特に4本腕の奴は獲物も魔法の武器で危険だった。しかも先の昆布との戦いでリソースをかなり削られていた上に場所が海であることもあってこの戦いは油断のできないものだった。 サハギンを倒しマーフォークの女性を介抱すると思った通り彼女、ドレシサはタラサントリーの住人だった。彼女と一緒に海に潜っていくと段々太陽の光が遠くなり水圧も厳しくなっていった。それらに耐えさらに潜ると赤いサンゴのドームに覆われた海底都市タラサントリーが一行の前にその姿を現した。 タラサントリーの入り口では衛視がサーフェイサー(地上に住む種族の事)は通せないと言ってきたが、Mordant Spireからの使いでこの都市の首長、リルキマタイに会いに来た旨を伝えるとどうにか入れてもらう事が出来た。 タラサントリーは主にマーフォークとアクアティックエルフがその住人で他に少数の珍しい種族も住む総人口5000以上の都市だった。水深250ft.であるために陽光はほとんど届かないが発光するクラゲ等が漂っているので、月明かり程度の視界は一行にも得る事が出来た。ドレシサは自分の家によって欲しいと言ってきたが、一行はまず目的をと入り口から街の中心へと続く通りを直進し、広場にあるCity Hallへと向かった。 目的の人物リルキマタイは白髪のアクアティックエルフだった。オラクルだという彼に一行はVeiled Masterことオチミュアが復活し、過去の兵器を使って大破壊を目論んでいることを伝え助力を請うた。 そんな時突然、衛視が入ってきて何事かリルキマタイの耳元に告げた。するととりあえず占ってみるので2、3日滞在して欲しいと言ってリルキマタイと衛視は外へ出て行ってしまった。 !Crimson Current ただならぬ様子のリルキマタイ達について一行もCity Hallの外に出ると広場で騒ぎが起きていた。どうやら危機が近いと煽っている者達がいる様だった。地上から一行が災厄を運んできたせいでRuinquakeが目覚めるとか何とか。リルキマタイに聞いてみるとRuinquakeと言うのは昔タラサントリーを襲った異形のPlanktaの事らしい。不穏な空気を感じ取った団長が場を鎮めるためRuinquakeを倒すと宣言したことでその場は収まったが、今度はそこにCrimson Currentだと言う叫び声が響き渡った。 再び騒然とする広場。Crimson Currentとはその名の通り紅い毒の潮流の事らしい。興味を持った団長がその潮流の方へ行ってしまったのでアルコー、イスカ、ウルバノもこれに続いた。 逃げ惑う住人の中に泣き叫ぶ女性を見つけた4人。聞けば子供がCrimson Currenに巻き込まれてしまったらしい。暗視の無い一行は苦労しつつCrimson Currenの中で救助に当たると子供を含む複数人の逃げ遅れた住人を見つけ出した。しかし、Crimson Currenは大変DCの高い毒で見つけ出した人々の治療どころか自分達が毒に耐えるのが精一杯で結局、誰一人助けることは出来なかった。 能力値が減ってしまってもう休みたい一行だったが、そこへさらに巨大ゴカイが現れたという知らせが舞い込んだ。そちらに向かうとそには巨大サイズのワームが暴れていた。 大きな口で噛みつかれると即座に飲み込まれてしまい、イスカが一時ピンチに陥ったが腹を掻っ捌いて地力で脱出に成功。その後はウルバノとヴィクターが毒に耐えつつ力で押し切り、どうにかここでは大きな被害は出さずに済んだ。 !海底の一日 色々あって疲労困憊の一行は是非にと言われドレシサの家に来ていた。ドレシサはこの都市の有力者の一族だった様でその家は豪邸だった。出迎えてくれたドレシサの母親はエレガントな女性であり、また一族の長でもあるらしく娘を救ってくれた事に対する感謝を述べて一行を手厚くもてなしてくれた。 翌日、一行はドレシサの案内でタラサントリーを巡りつつ情報収集等を行った。まず訪れたのはShell&Stylus。貝殻に特殊な錬金術インクで文字を書いた物を売る、要はScroll屋である。耐水性の紙なども売っており水中での戦闘の多い一行は諸々買い込んだ。また、イスカは過去にRuiquakeを撃退したというWave Walkerの叙事詩を見つけて買っていた。 次に向かったのは宝石屋でトレイシーは海底都市のファッションに興味津々の様子。一方、イスカは一人City Hallに来ていた。先ほど見つけたようなRuinquakeやWave Walkerについての資料はないかと考えての行動である。しかし、図書館あるいは公文書館と言ったものはないらしい。それならば伝承について詳しい人はいないかと聞いて周ると夕方にまた来て欲しいと言われたのだった。 そのころ残りの面子は通りで様子の可笑しいロキャーサと出会っていた。デベベディと名乗るそのロキャーサは暗黒街の元締めジュリックスから借金をしているのだが、返済のためのお金5000gpを盗られてしまったらしい。盗った相手の人相を聞くも異種族の判別は難しく、それでもできる限り力になってあげると件のお金はあっさりと見つける事が出来た。謝礼を払うと言い出すデベベディにいや先に借金返せよと思った一行はお金の代わりに最近この街で変わった事は無いかと聞いてみた。すると見慣れないディープマーフォークが多いという情報をデベベディは教えてくれた。ディープマーフォークはタラサントリーにもそれなりの数住んでいるが基本的にはもっと深いところに住む種族。深いところで何か起きているのだろうか? 夕方、再びCity Hallを訪ねたイスカは衛視の隊長タルトランによって何処かへと連れていかれた。誰か昔の事を知っている人物を紹介されると思っていたイスカは到着した場所が辺鄙な所だったので困惑した。そこにはマーフォークの衛視が二人いた。どういうことか尋ねるとタルトランはあれが実物だと言った。何とその場にある超巨大な瓦礫の山にしか見えないものが眠っているRuinquakeだというのだ。 戻ったイスカは祖先の霊にRuinquakeについて色々と聞いてみる事にした。その結果やはり何者かが眠りを覚まそうとしている事、戦うには生半可な攻撃ではだめだという事等が分かった。 夜になってリルキマタイに呼ばれた一行は、明日広場で占いを行うので来て欲しいと言われた。それから今街では地上から来た一行が悪いものを運んできたという噂が流れているので気を付けてほしいとも言われた。 翌日行われた占いは所謂亀甲占いというもので熱せられた甲羅は六つの欠片となって弾けた。予想はしていたが、六つの欠片はそれぞれ一行の足元に落ちた。そしてリルキマタイはRuinquakeを撃退したWave Walkerの墓へSeaspikeという魔法の槍を一行が取りに行く事となったと宣言した。 !Wave Walkerの眠る場所 昔タラサントリーの街を突如として襲った強力な魔物、Ruinquakeという名を持つそのPlanktaを撃退したのは地上から来ていたWave Walkerと呼ばれる人間のバードだった。後年、Wave Walkerが寿命で死んだ時、タラサントリーの人々は彼をBlood Lily Cayという地上の小島に丁重に埋葬した。愛用の槍Seaspikeと共に。 Blood Lily CayはBlood Lilyが咲き誇っていることからその名が付いたようだった。中央の山から流れる川をアパラタスで遡上していくと両岸は赤い花で埋め尽くされていた。不思議なことに段々と標高が上がっていくとBlood Lilyは巨大化していき、そしてその中に脅威が紛れていた。 Blood Lilyに擬態していた植物モンスターが突然立ち上がり、長い蔓を伸ばして襲い掛かってきたのだ。ウルバノとヴィクターがアパラタスから出て応戦すると、幸いそれほど強くなかったのですぐに退治できたが、やはりWave Walkerの墓までの道のりは簡単ではないようだ。 次なる脅威は酸の血と毒の滴る牙を持った蛇型のモンスター、Sepsだった。押しつぶされ酸を浴びたBlood Lilyからその存在を察した一行が、準備をして能動的に襲いかかったのでこの戦闘も少ない被害で終わらせる事が出来た。 目的地である墓所にも先客はいた。そこでキャンプをしていたのは海賊達でボスに誰も墓に入れないよう言われているとのこと。どうも様子が変なので一人捕まえてみるとチャームされているらしかった。さらに詳しく尋問すると恐らくナーガが先にWave Walkerの墓に侵入しているという事が分かった。 墓所は槍の飛び出るトラップ付きの狭く真っ直ぐな一本道の先に棺の安置されている部屋があるという構造だった。攻めづらい作りに嫌なものを皆感じたが、その悪い予感は的中してしまうのだった。 棺の部屋にいたのは何と4体のナーガ。問答無用で始まる戦闘、炸裂するFireball*4。前衛はともかく後衛はあっさりと崩壊した。イスカとトレイシーの炎と氷の壁で僅かの時間を稼ぎ、大惨事の一歩手前という所で撤退できたが、黒焦げの団長を回収することは出来なかった。 外に出て回復した一行は再度アタックすることにした。ここで待ち伏せすることも考えたが、まだリソースに余裕があったので積極的に行く事にしたのである。ウルバノとヴィクターをバフりもう一度突撃すると今度もFireballが飛んで来た。しかし、火に耐性の付いた二人を止めることは出来ず、今度は倒れるのはナーガの方だった。 戦闘後、棺を開けるとそこにWave Walkerの遺体は無く、収められていた槍も聞いていた形状と異なる物だった。事前に墓には盗掘対策がされていると聞いていたので一行はすぐにこれが偽物だと分かった。詳しく部屋を調べるとやはり棺の下に階段が隠されていた。 このまま突入して早くSeaspikeを手に入れたいところだったが、懸念事項が一つ。海賊から聞いていたボスの特徴が先ほどの4体と一致しないのだ。つまり、この先にボスナーガがいる。既にリソースの尽きた一行は墓所の入り口を見張りながら一晩休むことにした。 次の日、隠し階段を下るとそこは広大な地下空間だった。真ん中に本物と思われる棺、そしてその隣にボスナーガことラガシンがいた。 さすがにボスだけあってラガシンはCone of Coldを連射してくるなど上にいたナーガ達に比べ確かに強力だった。だが4体いる訳では無かった。 ラガシンを倒すと棺からWave Walkerの亡霊が現れた。ナーガ達に執拗に嫌がらせをされていたらしくWave Walkerの亡霊は大変お怒りで一行にも襲い掛かってきたが、Ruinquakeを倒すために来たと言って説得するとやがて話を聞いてくれる様になった。 Wave Walkerの了解を得たので目的の槍Seaspikeを取り、また亡霊の最後の頼みとして遺体を陽の光に晒して成仏させて欲しいとも言われたので遺体も持って一行は墓所を後にしたのだった。 なお、チャームされていた海賊は一緒に行きたいと言っていたが、タラサントリーには連れていけないので開拓地に帰るとき拾っていくと言ってこの島に残ってもらった。 続く。