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第五回

貪るものの教団を追って

カストロベルでの冒険を終えたStarfinderの契約社員たちは無事にアブサロム・ステーションに帰ってきた。
一行の報告を聞いたStarfinder協会上層部はCult of Devourの活動に強い危機感を示し、契約社員たちにさらなる調査と必要な対応を命じた。
そこでカストロベルの遺跡で手に入れた通信ログを解析してみたところ、どうやらディアスポラの一角にCultの拠点があるらしい事が分かった。
その辺りはField of the Lostと呼ばれるディアスポラでも星がまばらであまり人の行き来がない宙域らしい。なるほど隠れ潜むにはうってつけといえるだろう。
とは言え、まばらといっても小惑星帯なので候補範囲に746も小惑星がある。これを1つ1つ調査していてはキリがない。どうにか絞り込みが必要だ。
相談の結果、ディアスポラで資源の採掘を行う宇宙鉱夫なら情報を持っているかもしれないと言う事になり、以前にコネを持ったHard Scrable Collectiveに接触を取ってみることに。
幸い快く対応してもらえ、周辺宙域の詳しいデータを貰う事が出来た。
その情報とログを突き合わせることで候補の小惑星を33個にまで絞り込むことができた。これなら最悪虱潰しにやっても何とかなる範囲だろう。これ以上は現地に行った方が早いだろうという事でさっそくField of the Lostに向かう事にする。

Field of the Lost

Field of the Lostに到着してさっそく調査を開始すると、不審な宇宙船が小惑星の陰に隠れているのを発見する。
一応通信を送ってみると、案の定攻撃してくる。カルトに待ち伏せされたのか?それともこの辺りに出没するという宇宙階賊だろうか?
どちらにせよやる事は一緒である。反撃だ。
幸いなことに今後カルトとの戦いが激しくなる事を見越したStarfinder協会はピーチリーフの設計に従ってサンライズメイデンの武装強化を図っていた。
OSの最新化、長距離武装の搭載、シールドの強化などなどを施されたサンライズメイデンは格段に強力になっており、敵宇宙船を圧倒した。
また、搭載された1人乗りの戦闘機アーチャーフィッシュも大活躍であった。
不利を悟ったのか敵宇宙船はすぐに降伏を打診してきた。
カルトの連中なら勝ち目がなくても最後まで戦うだろうから、これは無関係な宇宙階賊だったらしい。
これ以上戦ってもこちらに益は無いので船長のピノと護衛役のグラッグ、スーシーが敵船に乗り込んでいく。
向こうのキャプテンはメンゴメンゴみたいな何とも軽い感じで1000クレジットで示談を申し込んできた。特に異存はなかったのでその条件を呑む。
示談交渉はサクッとまとまったのでついでに情報交換しておく。この辺りを根城にしているならカルトの事も何か知っているかもしれない。
するとK9204ポイントで目撃したという話を聞いたことがあるらしい。
そこはこちらで絞り込んだポイントにも合致する。なかなか信憑性が高そうなのでそこから調査を開始することにする。

K9204ポイント

K9204ポイントにつくと、そこには反射率が妙に高いの小惑星がある。どうやら表面全体に金属層があるようだ。人工物ではなさそうだが。
表面はかなり起伏が激しく、宇宙船が着陸できそうな開けた場所は一カ所しかない。
と言う事は絶好の待ち伏せポイントでもあると言う事だ。接近する前にアーチャーフィッシュにのったピーチリーフを偵察に出すことに。
すると、近くの小惑星の陰に2隻の宇宙船が潜んでいるのを発見した。
発見されたことを悟ったのか無言で迫ってくる宇宙船たち。こちらの通信にも一切答えず、明らかにやる気である。
これはコープスフリートで使われている駆逐艦で、先ほどの海賊船よりも格段に強力な武装を積んでいた。重粒子砲とミサイルの連続攻撃でアーチャーフィッシュが撃沈されてしまう。
大ピンチだったがサンライズメイデンは満身創痍になりつつもこの試練に耐え抜き、どうにか2隻を撃破することに成功した。うーむ、対ミサイル装備を考えなければならないかもしれない。
撃沈されたアーチャーフィッシュだったが、ピーチリーフは脱出に成功していたので無事に回収する。アーチャーフィッシュ自体も爆発まではしなかったので、ちゃんとしたドックに行けば修理できるだろう。
それにしてもEoxの反乱軍がこんなところで何をしていたのだろうか?明らかに待ち伏せしていたように思えるが。

地表

K9204ポイントの小惑星に着陸するとその地表は銀色に輝く微粒子に覆われていた。妙に反射率が高かったのはこのせいらしい。過去に金属を多く含んだ隕石でも落ちたのだろうか。
着陸場所の傍にいかにも怪しげな大きな洞窟があったのでそこを調査してみることに。
いつものようにクロオビを先行させて偵察させると、なにやら蜥蜴のような生物が3体ほど宙を飛んでいる。一応薄いとは言え大気はあるようだが、よくこんなところで飛べるものだ。
フィラーによればこの蜥蜴のような生き物はSkreelingという生物で、Cold Iron以外の武器では傷つけにくいという魔法的な性質を持っているらしい。厄介な連中だ。と言ってもこちらの武装はほとんどレーザーなので問題ないだろう。
ただ、SkreelingはSkreesireという怪物の幼生で、生体になるとSuggestion能力を身につけてさらに厄介になるようだ。幸い近くに親は見当たらないようだが、どこかに隠れているのかもしれない。油断しないようにしなければ。
どうせ近寄れば襲われることは目に見えているので先制攻撃したいところだが、残念ながらかなり近寄らなければ射線が通らない。近寄るのはリスクが高いのでここは逆転の発想で遠くから射線が通るところまで相手を誘い出すことにした。クロオビに攻撃を仕掛けさせると狙い通り向かってきたのでそこを遠くから狙い撃つ。この作戦は功を奏し、こちらの被害はほとんどなく3体とも撃ち落とす事ができた。なかなか幸先が良い。
 
脅威は排除できたので周辺の捜索を行う。
Skreelingがいた場所には食い散らされたサーセシアンの死体と随分と古い白骨がある。これが持っていた装備のいくつかは使えそうだったので回収。
洞窟の一角には無残な死体が積み上げられていた。これもSkreelingの犠牲者かと思ったが、調べてみると刃物で殺された様だ。どうもカルトの儀式か何かで生贄にされた人たちの様だ。
更に奥を探索すると何かの液体が溜まった場所がある。この環境下で凍結も蒸発もしないとはどういう液体なのだろう。
近くには死体も転がっており、ここも危険な処なのは確かなようだ。
確認しようと慎重に近づいていくと突然スーセイが走りだした。はやくあの池を確認しなければ!とか叫んでいる。これはおそらくSuggestionだ。近くにSkreesireが潜んでいるに違いない。
案の定池に近寄ったスーセイにそこに身を潜めていたSkreesireが襲い掛かってきた。
Skreesireに捕まれて池に引きずり込まれるスーセイ。ものすごい煙が上がる。どうやら腐食性の液体だったらしい。スーセイは危うくドロドロの流動物になってしまうところだったがその前に突撃したグラッグが助け出すことに成功した。その後Skreesireはグラッグ達を追いかけて上陸してきたところを総攻撃を受けて沈黙した。危ないところだった。
 
しかしなかなかカルトの手がかりが見つからない。あの生贄の死体の山から見てもここが無関係とは思えないのだが。
諦めずに捜索を続けているとなぜかサーセシアンがやってくる。
友好的な様なので話を聞くと、彼の名前はイエックスと言い、近くの小惑星っていうか宙域に住んでいたらしい。故郷の政争から逃げて隠遁していたが、最近急にこの場所を守らなければならないという強迫観念に襲われ、ここを護っていたらしい。おそらくはSkreesireのSuggestionだ。Skreesireが死んだので解放されたのだろう。
イエックスの話ではCult of Devourの連中はつい最近ここを引き払ってどこかへ行ってしまったらしく、行先は彼にもわからないらしい。
こうなっては何とかして連中のアジトを見つけて奴らが向かった場所の手がかりを見つけるしかないだろう。
もう一度洞窟内を隅々まで捜索してみた結果、例のSkreesireがいた池の近くに地下に降りる隠し通路を発見した。さっそく中を調査することにする。

シークレット・チャンバー

通路を下りていくとチャンバーがある。入り口にはヘルメットを通り抜けてくる毒ガスという謎の罠がかかっていた。魔法ってすげえ。どうやら防衛機構は生きているようだ。気を付けて行こう。
入り口には案内用の操作端末があったのでそこからハッキングを試みる。一応表層には侵入でき照明や空調を入れることはできたが、どうやらFake Shellが仕掛けられているらしく、セキュリティを操作できる深層にはアクセスできなかった。諦めて先に進むことにする。
奥の通路にはダブルドアと数本の柱が並んでいるが、底に奇妙なボロクズの様なものがある。近寄って調べてみるとどうもアンデッドの残骸の様だ。何故こんなところにこんなものが?
危険を感じたのでまたクロオビさんに頑張ってもらう事にする。
クロオビが通路に突入するとこの通路の恐るべき仕掛けが牙を剥いた。通路の壁から無数のレーザーが発射され犠牲者を切り刻む。クロオビは戻ってくる暇もなくあっという間に残骸になってしまった。おそらくはさっきのボロクズはこれに引っかかったアンデッドの成れの果てなのだろう。
レーザーは透明になれば無効化できるので、ピーチリーフにInbisibilityをかけて調査してもらうも物理的な解除は難しそうと言う事が分かっただけだった。まあ、クロオビの残骸は回収できたのでネズミによる応急修理とMake Wholeの呪文でなんとか再稼働に成功する。
 
ボロクズになるのは嫌なので入り口の端末から解除できないか再チャレンジすることに。何度か失敗したがどうにか成功したので奥に進む。
奥にはいくつも扉が並んでおり、スーセイがメリケーンと叫ぶ。ラションタの言い回しでめんどくせーといったニュアンスらしい。ところが扉の奥の小部屋はみんなつながっており、実質一部屋だったのであんまりメリケーンじゃなかった。
小部屋の奥は防具置き場になっており、電撃を撃ってくるロボットが2体護っていたがなんとか撃破。ラックは殆ど空になっていたが、いくつか壊れた防具が置き去りになっており、修理すれば使えそうだったので回収しておいた。
 
反対側に進むとそこにはこの施設の管理コンピューターがあったが、そこには気持ち悪い怪物もいた。これは別名をヴォイド・バジリスクともいうベオリスクという怪物で、その虚ろな瞳を見てしまったものは混乱に襲われるという危険な怪物だ。まあ、本物のバシリスクであれば混乱どころか石化してしまうのでそれよりはマシと言えなくもない。
とは言え、そんな事は実際に襲われた身では気休めにもならない。オベリスクは物理的な攻撃力も高く、混乱している間にグラッグとスーセイが倒れる。しかしその間に何とか残りの全員で撃ちまくって倒すことができた。
改めてコンピュータールームに行くともう1体のベオリスクの死体がある。最近冷気系の武器で倒されたもののようだ。こいつが生きていて一緒に出て来ていたらヤバかった。ありがとう名も知らぬ人。
コンピューターを調べるとどうやらアクセスは声紋認証になっているらしく、手持ちの機材では突破できそうになかった。仕方がないので他の場所を探索を先に行う事にする。
 
コンピュータールームをはさんだ反対側も似たような構造になっており、そちらは武器庫になっていた。ここも警備ロボが配置されていたが、それは既に破壊されていた。これも先ほどのベオリスクと同じ冷気武器によるものの様だ。付近を捜索すると修理すれば使えそうな武器と、コープスフリートのホーリーシンボルなどが見つかる。
これはおそらくこういうことだ。
Cult of Devourが追っているStellar degeneratorの情報を、どこからかコープス・フリートも手に入れたのだろう。
Stellar degeneratorに興味を示したコープス・フリートは我々に先んじてこの場所にやって来たが、Cultは既にここを引き払った後だった。そこで彼らもこのチャンバーに侵入し情報収集を行った。入り口にあったアンデッドの残骸はその時に通路のレーザートラップの犠牲者というわけだ。
そしてここでロボやベオリスクを倒して引き上げたのだが、他の連中に情報が渡らないように見張りとしてあの駆逐艦を残していったのだろう。
この基地を爆破したほうが手っ取り早かったのではないかとも思うが、まさか駆逐艦二隻がかりで負けるとは思わなかったのかもしれない。
まあ、我々としてはカルトに渡ろうとホープフリートに渡ろうとどっちにしろまずいので大した差はない。敵が増えたのは厄介だが…
 
更に個々のカルトメンバーが使っていたと思われるデータパッドも発見された。流石に個人用のデータパッドには大したセキュリティもなく容易にハッキングに成功する。
中には様々なアプリに混じってカルトの儀式を取った動画が入っていた。おそらくこのメンバーは新人でチャントを覚えるために残しておいたのだろう。
このデータを利用してメインサーバへのアクセスを試みたところ、何度かの失敗の後に成功した。
中にはActivity、Intelligence、Sacred Loreのデータモジュールがある。
順番に見ていくと、Sacred Loreの中にCult of Devourのルーツが記されていた。
それによるとかつてElfのニアラという予言者が居て、こいつがStar Eaterという存在を発見した事で何らかの啓示を受けてこのカルトを作ったらしい。
ニアラはこのカルトを作った後、そのStar Eaterの影響なのか徐々に狂っていき、世界そのものを破壊するという妄執に取り付かれていったようだ。
うむ、全く理解できない。
また、Intelligenceに残されていた通信記録によるとカストロベルの遺跡でニアラが予言した約束の地へとつながる秘密を発見したため、カルトの総勢をあげて約束の地へと向かったらしい。
約束の地というのはGate of Twelve Sunsの奥にあるというDemiplaneと何か関係があるのだろうか?
Star Eaterという存在も星のエネルギーを奪いつくして滅ぼすという Stellar degenerator を思い起こさせる。すべては繋がっているのか?
ただ、彼らが向かったという場所の情報については念入りに消されており復元することはできなかった。
おそらくはコープス・フリートの連中がここを調べた時に消していったのだろう。困った。手がかりが途絶えてしまった。
 
とは言えどうにもならないのでいったん船に戻りドリフト通信でアブサロム・ステーションのキスキスクに報告するとキスキスクも非常に状況を憂いているようだ。
彼の考えでは手がかりは途絶えてしまったものの、コープス・フリートが絡んでいるとなれば逆にそちらから追う事ができるかもしれないと言う事だ。
実態は分からないがコープス・フリートは公式にはEoxの反政府勢力という事になっているので、Eoxの方でコープス・フリートを監視している組織があるらしい。キスキスクはその組織にコネがあるのでそこに紹介してくれるそうだ。
その人はWaneda Thuxといい、元は人間だったがEoxの文化や歴史を研究しているうちにのめり込み、帰化するためにわざわざグールになったんだそうだ。まあアンデッドになれば飯も睡眠もいらないからなあ。好きなだけ研究に没頭できるわな。
コープス・フリートが絡むと政治的な話になるのでStarfinder協会として大っぴらに動くのは難しいと言う事で、継続して調査・対応を命じられた。ここまでくれば乗り掛かった舟である。さっそWanedaがいるというEoxのOrphysに向かう事にしたのだった。


つづく