!!プレイ記録 !裏切りの代償 前回恐るべきトゥームスパイダーと死闘を繰り広げ、たった1戦ですっからかんになってしまった勇者達は、再びシグルの滝に戻って休息した。モタモタしていては墓泥棒に逃げられてしまうのはよく分かっているが、無理して全滅しては元も子もない。一晩しっかりと休んで回復した一行は、今度こそ墓泥棒を殲滅すべく、再び古代の墳墓へと足を踏み入れたのだった。 スパイダーのいたバルコニーから進んでいくと、そこはいくつかの部屋が中央の広間で連結された構造になっていた。一行が部屋に足を踏み入れると、突然幻術が発動し、在りし日の王の姿が映し出される。最初の映像は穏やかで平和なものであったが、やがて映像は血なまぐさい戦いの映像となり、最後には裏切り者の手により王が殺されるという結末を映し出した。もしかして、これは在りし日に本当にあったことなのだろうか。 気を取り直して探索を続ける一行。部屋の中には恐るべきアンデッドが潜んでいた部屋もあったのだが、幸いにして戦士達が多少の傷を負っただけで撃破することができた。なかでもフルプレートを着込んだ騎士の骸骨は、銀の武器以外ではほとんど傷つけることのできない強敵だったのだが、用意の良いドーモが持っていた銀の短剣のお陰で、息の根を止めることができた。 モーリッヒはその骸骨がつけていた魔法のフルプレートを嬉々として身につけた。パラディンともあろうものがアンデッドの身につけていた鎧を使うなんて、と思う向きもあろうが、シビアなD&Dワールドにおいてはそのような瑣末なことにこだわっていては生きてはいけないのだ。多分ね。 もっとも、このフルプレートは運の悪いことに'''呪われていた'''ため、パラディンにとって命の次の次ぐらいに大事と思われるCharismaが大幅減少することになってしまったのは、君たちと僕だけの秘密だ。残念なことにモーリッヒは気付かなかった。 まあ、'''強欲なものが報いを受ける'''というのもD&Dでは良くあることだ。 !裏切り者の玉座 キュアのワンドを使い切りつつ傷を癒した一行は、さらに墳墓の奥へと歩を進めた。すると豪華なカーテンや大きな絵に飾られた区域に出た。おそらくはこの墳墓の中でも重要な地区であろう。となればこの墳墓の主か、あるいは墓泥棒の主犯がいる可能性は高い。以降の歩みも自然慎重なものとなる。 一人先行して偵察を行っていたぺトラが、部屋の中にあった騎士像を調べるべく歩を進めると、部屋の奥から声がかかった。 ''「王の眠りを妨げるのは何者か。姿を見せよ」'' どうやら、部屋の奥が謁見の間となっているらしい。一行は意を決して部屋の奥へと向かった。そこに待っていたのは、玉座に身を沈めた一人の男だった。双剣を身にまとい、黒い髪をなびかせたその姿は威風に満ちている。ひょっとしてこれがこの墳墓に眠ると言われる古代の王なのだろうか? だが、先ほどの部屋で見た幻影の中では、金髪の騎士が王冠を身につけていた。そしてその王を殺した裏切り者こそが見事な黒髪の持ち主だったのだ。一行の間に緊張が走る。 それでも礼儀を重んじたのか丁寧に応対をするモーリッヒ。男もいきなり襲ってくるようなことはなく冷静な受け答えをしている。だがそれもドーモがぼそりと呟いた一言を聞くまでだった。 男が言った「我はこの地の正当なる支配者」という言葉に対して「簒奪者の間違いじゃないのか」と呟いたドーモの言葉は男の逆鱗に触れた。いきり立って無礼な魔法使いを切り殺すべく双剣を抜き放つ男。 すると見よ。男が玉座を離れるにつれその姿が変わっていくではないか。玉座はみすぼらしい石の椅子に。男の姿は生者とも死者ともつかない醜い異形へと変じていく。それこそがかつて王を裏切った罰として永劫の番人としてこの地に縛りつけられていた裏切り者の真の姿なのだ。 それだけではない。裏切り者が大声で呼ばわると部屋の片隅にあった二体の騎士像が見る見るうちに見るも恐ろしげな骸骨騎士に姿を変じていくではないか。彼らは素早くロングソードを抜き放つと、勇者達を蹂躙すべく襲いかかって来たのだった。 戦いは熾烈なものとなった。裏切り者は最初は無礼な言葉を吐いたドーモを狙ったものの、モーリッヒが名乗りを上げるとその挑戦に応じて激しく二刀で打ちかかってくる。一方、骸骨騎士たちはロングソードと蹄を駆使して暴れ回り、ドーモとぺトラのチルタッチにより撃退されたものの、その時には既にリラとギリは戦闘不能に陥っていた。 モーリッヒは裏切り者相手に一人で良く戦い、良いところまで追い込んだものの、最終的には力及ばず地面に伏すことになった。 こうなってしまっては魔法使い二人に勝ち目はない。もはや魔法も使いきっていたドーモとぺトラは仲間を見捨てて逃げ出すという苦渋の決断を強いられることとなった。 !ストライク・バック さて逃げ戻ったぺトラとドーモは滝つぼでシグルに傷をいやしてもらい、拝み倒して力を貸してもらうことにした。やはりこのまま仲間を見殺しにしたとあっては夢見が悪い。正直かなり絶望的な状況ではあるが、急いで助けに向かえば、一人ぐらいは助けることができるかもしれない。 もはや呪文の尽きた二人にはほとんど戦闘力は残されていないが、それでもシグルを援護することぐらいはできるだろう。そう決意を固めた二人は、命を賭して最後のチャンスにかけることにしたのだった。その勇気に感じ入ったシグルは快く助力を承諾してくれた。三度墳墓の奥へと踏み込む勇者達。その背には不退転の決意が満ちていた。 一方、取り残されたモーリッヒ、ギリ、リラの3人はまだ生きていた。もちろん、裏切り者が突然慈愛の心に目覚めたりしたわけではない。その逆だ。このまま意識のないまま死なせたのでは面白くない。歪んだ悪意と限りない憎悪に満ちた裏切り者は、モーリッヒだけを目覚めさせると、いやらしい笑みを浮かべてこう言った。 ''「その二人を殺せばお前だけは助けてやっても良いぞ」'' 無論誇り高いパラディンであるモーリッヒがそんな取引に乗るはずがない。裏切り者は様々な甘言を弄してモーリッヒを堕落させようとしたが、頑としてはねのけるモーリッヒに業を煮やしたのか、邪悪な魔力でモーリッヒを操ってリラを殺させようとした。根性で抵抗するモーリッヒ。 そこにシグルを先頭にぺトラとドーモがなだれ込んでくる。もはや呪文も使いきっているため、せめて挟撃を提供しようとナイフを握りしめて突進する魔法使い達。その勇気が天に通じたのか、ついにシグルのバトルアックスが、実は先ほどの戦いでひどく傷ついていた裏切り者を打ち倒すことに成功したのだった。 無論、これ以上戦うことなど考えられない。一行は急いで負傷者の応急手当てをすますと、シグルの滝壺まで撤退した。ただし、お宝を漁ることだけは忘れなかったが。 !王の墓 一晩休んだ一行は、裏切り者と戦った広間へと再び向かった。前回はそんな余裕はなかったが、よく調べると隠し扉を発見。隠し扉の奥には下へ下る階段が続いている。いよいよ墳墓の最奥部である。慎重に階段を下る一行の耳に何やら話し声と鉄が意志を叩く金属音が聞こえてきた。どうやら今まさに盗掘真っ最中といったところか。 慌てて階段を駈け下り、玄室になだれ込む一行。玄室の中には古代の英雄をかたどった彫像が並び、ここが本物の王の墓であるのは間違い無いように思える。そこに招かれざる侵入者が二人。蛇人間ユアンティとハーフプレートに身を固めたホブゴブリンである。その傍らにはひっくり返された棺と床にあいた大穴。 盗掘に夢中になっていたのか反応の遅れたモンスターたちを尻目に素早く散開する一行。勝負は一瞬で付いた。ドーモが放ったBlindnessであっさり盲目になったユアンティソーサラー、クセロン。ハイ詰んだー。なんとか機会攻撃を受けつつマジックアイテムを起動し、凶暴な魔獣ナーガサは召喚したものの、本人は1回も魔法を唱えることなく死亡するユアンティソーサラー4Lv。一応ボスなのにマスターとしては悲しい限り。 ナーガサが多少暴れたものの、3ラウンドで持続時間が切れて帰還。一人残されたホブゴブリンはなすすべもなく降参しましたとさ。裏切り者にはあんなに苦戦したのにね。 とりあえず身ぐるみ剥いだ後降参したホブゴブリンを尋問する一行。すると恐るべき事実が判明した。この墓泥棒たちは「サートラスの尖兵」という悪魔教団の手のもので、この墳墓で手に入れたマジックアイテムと王の遺骨を使うことで、太古の悪魔"サートラス"を復活させようとしているのだという。キーとなるアイテムの一部はすでに発見しており、クセロンの部下に託して地下世界アンダーダークに送り出してしまったというのだ。 !英雄の後継者 そうと聞いては放っておくわけにはいかない。一旦キングスホルムの街に戻って善後策を練ろうと考えた一行だったが、部屋を出ようとしたところで突然玄室に柔らかな光が満ちた。見ると英雄達の像から彼らの英霊が姿を現すところである。 英霊たちは一行が墓荒らしを倒してくれたことに感謝の意を示した。その上でサートラスの尖兵の陰謀を防ぐため、奪われた武具と遺骨を取り戻してくれまいかと一行に頼んできた。無論、パラディンたるモーリッヒや善良なリラがその頼みを断るはずもない。一方、ぺトラやドーモもそれぞれの理由で頼みを承諾する。すると王の英霊は一本の剣を取り出すとそれをモーリッヒに託した。夜のように黒いアダマンティンの刃。かつて王が携えた伝説の名剣メルトゥーヴィアルである。 かくして太古の悪魔復活を阻止するため、そしてまた古代の英雄王の遺志を継ぐため、一行の英雄譚が幕を開けたのであった。